owlmanさんの感想・レビュー一覧(342)

owlman >> 別れの手続き――山田稔散文選 (大人の本棚)
別れの手続き――山田稔散文選 ( タイトルだけでほれ抜いた稀なる1冊。
ナイス! ★​
01/26 コメント(0)
owlman >> 失われた時を求めて〈1〉第一篇「スワン家のほうへ1」 (光文社古典新訳文庫)
失われた時を求めて〈1〉第一篇「 「プルーストを読むにあたってあらすじはほとんど意味がない。ただプルーストの言葉を堪能すべし」という訳者の姿勢に敬意を表し、ここでは「天空のアスパラガス」の描写を紹介しよう。「私が心奪われ陶然としたのは、薄紫色と碧空色で念入りに彩色された穂の部分から、苗床の土でまだ汚れている根もとまで、地上のものとは思われない虹色の輝きで、かすかにではあるけれど、色がぼかされてゆくように見える、ラピスラズリのごとく深い青色と薔薇色に浸されたアスパラガスを前にした時である」――これほど豊穣なアスパラガスの描写があるだろうか!
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
01/25 コメント(0)
owlman >> リチャード三世 シェイクスピア全集 〔4〕 白水Uブックス
リチャード三世  シェイクスピア 王冠を失った女たちの呪いぶりがすさまじい。かつての王妃はリチャードとイングランドすべてを呪い、それを見た国王の母は「私の言葉はなまぬるい。どうか注いで、あなたの毒を」と懇願する。「ことばとは、悲しみの身代わりになって訴えるはかない弁護人、遺産も残さず死んでいった喜びのむなしい相続人、みじめさを嘆くあわれな雄弁家」――なんと饒舌。なんという憎悪の渦。悲しみはことば数を多くする。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​
12/15 コメント(0)
owlman >> 他者の苦痛へのまなざし
他者の苦痛へのまなざし 私たちはどんなに心が優しい人間であれ、自分が実際に触れられる距離の人間でなければ、悲しむことなどできはしない。遠くの国で死んでいる人、となりの町で死んだ人、彼らの死を知ったところで何もできないし、それを知らなければならない理由も本当のところはないのだ。報道写真で傷つくのも、非道なことは知らなければならないと義憤にかられるのも、興味本位でのぞく「のぞき屋」と同じこと。おのれのための心地よい前提をすべて排除してから、ようやく問いは始まる。「他者の苦痛へのまなざしは何を生み、世界の何を変えうるのか?」
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
11/16 コメント(1)
[11/16 13:24] owlman
3.11でたいがいの人は、自分の無力さを痛感したはずだ。そのことを忘れてはいけないと思うのだよね
owlman >> 沼地のある森を抜けて (新潮文庫)
沼地のある森を抜けて (新潮文庫 人は血と肉でできているのではなく土と水でできているという考え方は、湿気と原生林におおわれた日本ならではのものだと、いろいろな国の文学を読むと強く思う。物語の軸からして、一族の記憶を媒介するものは細胞かと思いきや、文書や日記などの言語情報が多いのはすこし意外。とはいえ最後はやはり細胞レベルの話になるのだが、非言語の世界を言語化するための挿話「シマの話」は別になくても良かったのでは。重層構造にしては妙に象徴的で半端な気がする。登場人物は体臭がしない、性欲を捨てた者ばかり。でも、みんな繁殖する。ざわざわと。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
10/14 コメント(0)
owlman >> 他人まかせの自伝――あとづけの詩学
他人まかせの自伝――あとづけの詩 ウィリアム・フォークナーが「自分の臓腑をすっかり書きこんだ」と告白したように、虚実をまぜこんだ“己”をさらけだすのが作家という生き物であるならば、作品が世に出た時点でもはや、彼らが自作について語りうることなどそうそうは残らない。語り騙った先はすべて後づけ、あとのまつりである。しかし、宴の後にタブッキはすてきな食後酒を用意した。作家という理不尽な生き物はまた、言葉だけで人を酩酊させることができる生き物でもある。
ナイス! ★​★​
10/04 コメント(0)
owlman >> V.〈下〉 (Thomas Pynchon Complete Collectio
V.〈下〉 (Thomas Py V.が恋した挿話とその結末が壮絶。アフリカでの立てこもりパーティーもすごかった。とりあえず1周目は、ばらばらの挿話を楽しむくらいしかできなかったけれど、不可思議な余韻が残る。これがピンチョンの魔力なのかなんなのか。とりあえず笑って泣きながらへたばったぜベイビー。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​
09/25 コメント(0)
owlman >> V.〈上〉 (Thomas Pynchon Complete Collectio
V.〈上〉 (Thomas Py NYの地下があつい。ワニ狩りと狂神父のネズミ改宗計画、女ネズミとの関係がおもしろい。<チュウチュウ・タイム>やら異常にこまかい鼻の整形手術やら、ひたすらゆかいな挿話の中に、「V」という文字がちらちらと踊りつづける。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
09/25 コメント(0)
owlman >> ペドロ・パラモ (岩波文庫)
ペドロ・パラモ (岩波文庫) 日本には此岸と彼岸があって、真ん中には両者を分かつ川が流れている。ここ、メキシコのコマラでは生と死の境目は存在しない。坂をくだっていたらいつのまにか土の中にいるかのように、あちらとこちらはぐるぐるとまざりあって、回って回ってかちりと閉じる。読んだ人は本書をもはや忘れえず、読んでいない人は南米文学への見方ががらりと変わる傑作。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
08/21 コメント(0)
owlman >> 春琴抄 (新潮文庫)
春琴抄 (新潮文庫) ああ、恋は盲目。そんな陳腐きわまりない言葉しか吐けないほどの、狂った執着と恋焦がれる心。佐助にとって春琴はこの世でただ1人の「至上の女」。美しい記憶を残すためにみずからの黒目に針を刺し入れるシーンには肌が粟立ったが(白目は硬いけれど黒目はやわらかいというあたりの描写がもうね……)、それ以上に、男と女が互いに盲目になったことを沈黙のうちに喜び震えるくだりは強烈。愛した者は3割美しく見えるというが、もはやこの2人に光はいらない。白い世界で2人きり、吐息で、肌で、声と奏でる琴の音で相手を感じるばかり。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
08/01 コメント(0)
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