ajinさんの感想・レビュー一覧(405)

ajin >> 羽月莉音の帝国 9 (ガガガ文庫)
羽月莉音の帝国 9 (ガガガ文庫 1京円にものぼる資金を市場に供給し、同時にレバレッジを限界までかけた金融商品を買わせるべく群衆をアジって空前絶後のバブルとその末路である大恐慌を演出する他方、これは革命部の面子一人一人の「覚悟」のお話でもあった。真摯だなぁと思う。 ここから先は「羽月莉音」が虚構でなければならない理由の、その回収作業にほかならない。9巻は本シリーズの位置付けを考えれば、このラストで完結していても充分良かったレベルだった。これ以上、至道流星は「何を」語ろうというのだろうか。シリーズも佳境。最終巻は喪に服する面持ちで臨みたい。
ナイス! ★​★​★​
10/20 コメント(0)
ajin >> 異国迷路のクロワーゼ Le cahier d’ Yune (富士見
異国迷路のクロワーゼ  Le c 一見たわいのない日常の風景のようで、その実湯音の精神性がよく表れている短編集。萩原先生の鋭い筆致がクロードと湯音の間に横たわる擦れ違いの「溝」を浮き彫りにする! それは湯音が「ナガサキ」にいた頃に叩き込まれた生き抜くためのルールであり、商家に奉公に出る前の湯音にとってまだ平穏で幸せな頃の汐音との苦くも優しい「お祭り」の思い出に他ならない。かくしてクロードは湯音を湯音として受け入れることを学ぶと同時に、湯音もまた「日本人」としてのアイデンティティに自信を持つことでギャップを取り除く過程に主眼が置かれていた。
ナイス! ★​★​★​
09/18 コメント(0)
ajin >> 禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン
禁断の市場 フラクタルでみるリス 金融市場におけるチャートの価格変動の分布はバシェリエらの功績によって従属性をもたずに、ブラウン運動のような動きをして、正規分布に従うランダムウォークモデルに近似していると考えられてきたが、実際には市場は長時間記憶を持っており、非整数ブラウン運動の確率過程に沿って「ベキ分布」に従うためスケールに依存せずに随所に自己アフィンな相似性をみせるマルチフラクタル・モデルに近似しているとマンデルブロは述べる。本当に経済を理解するには「禁断の金融10カ条」が重要であり、正しいリスクを定量化するための方針を概説した一冊。
ナイス! ★​★​★​
09/18 コメント(0)
ajin >> 丘ルトロジック3 女郎花萩のオラトリオ (角川スニーカー文庫)
丘ルトロジック3    女郎花萩 蜂須が筋金入りのマゾだからこそ「怒り」に特別な意味が生まれる。本質的な怒りはマゾの快楽を否定する。ゆえにそれが描写されたのは価値があり、同時に彼が「狂人に成りきれない」ラインの分水嶺でもあった。蜂須と萩先輩の関係に集約された対立が、丘研サイドの沈丁花桜の「怒り」を浮き彫りにする。そして咲丘の窃視症の特権性を否定しようとする玲儀音の「未来視」の能力に対し、未来は可変的であるというロジックでその優位性は否定され、インターネットという監視権力が賞揚されることで寓話の通りに咲丘の手に権力が戻ってくるシリーズ3巻。
ナイス! ★​★​★​★​★​
09/07 コメント(0)
ajin >> 展翅少女人形館 (ハヤカワ文庫JA)
展翅少女人形館 (ハヤカワ文庫J 男子禁制の修道院を舞台にしたゴシックSFファンタジー。人形に欲情する女たちの愛欲にまみれた狂おしくも甘美な物語は絶品。その場限りの自瀆は打ち震えるほどの快楽を以て読み手に襲いかかってくる。挫折した人形細工師の釘がまるで人形師のように人間を人形に造り替えてしまうアイロニーはさらなる悲劇の物語を生み、過去の断章から啓示を受けた少女はその真に成すべきことが愛しのフィアンセと添い遂げることだと識る。なんとも救われない話だが、皮肉にも確かな永遠を獲得する話でもある。ずぶずぶと堕ちていく頽廃の物語に鳥肌が止まらない。
ナイス! ★​★​
09/03 コメント(4)
[09/08 21:11] キキハル
ajinさん、読みました! 最初はちょっと停滞していましたが、中盤のクライマックスは本を置くことができなかったです。三人の少女たちは本来の形とは違ったかもしれないけれど、満足だったんじゃないかなと思いたいです。そして終わっていない世界に私も鳥肌が立ちました。いい本を紹介していただいてありがとうございました(^^)
[09/07 09:08] キキハル
ありがとうございます。ぼちぼち読み始めました。図書館本は無限ループのようなものなので途切れることがないのですが、でもやはり、読みたい優先順位はこちらに。中盤のクライマックスを楽しみに読み進めま~す!
[09/07 00:16] ajin
キキハルさんこんばんは! 上にはああいう風に書きましたが、個人的にぼくが好きなカップリングは中盤がクライマックスだったので、部分的にはわりと惰性で読んでしまった箇所もあったりしますw とはいえ、ゴシック系のジャンルがお好きでしたら隅々までお楽しみになれるかと! まったり読みたくなる一冊なので期限の迫った図書館本を消化し終わったタイミングが宜しいかと思いますっ。
[09/04 09:26] キキハル
うっわ~! 素晴らしい感想を読んで思わず鳥肌が・・・。是非読みたいです。ちゃんと買ってはあるのですが箱に入れたまま。さっそく、・・・あっ、図書館本もたまっている。期限までに返却しないとならないし、こういう時にはジレンマを感じますね。
ajin >> プラナス・ガール(4) (ガンガンコミックスJOKER)
プラナス・ガール(4) (ガンガ 百合カップルの関係性をみて槙が自身の気持ちに気付きを得るのが良かった。それだけでも手に取った甲斐がある。
ナイス! ★​
09/01 コメント(0)
ajin >> 惡の華(4) (少年マガジンコミックス)
惡の華(4) (少年マガジンコミ 仲村さんの上気した表情が最高。春日の愚鈍で単細胞な姿を微笑ましく見守っていた仲村さんが、自分のぱんつを盗られて嬉しそうにしたのが良かった。仲村さんが一度は突き放した春日に再び関わろうと思ったのは奈々子のぱんつを盗らなかった理由が決め手だったのだと思うと、彼女の欲求不満は思春期の性衝動と密接な関わりがあることが窺い知れる。ここで春日のテクストを「読む」営みが、仲村さんの日記を解釈し、意味上の「向こう側」を見出そうとした第四巻。三つ巴の男女関係が決壊し、奈々子をこちら側の闇の淵へと沈める幕引きに目が離せない。
ナイス! ★​
09/01 コメント(0)
ajin >> カミオロシ―縁結びの儀 (電撃文庫)
カミオロシ―縁結びの儀 (電撃文 良い伝奇だった。天降姫神にまつわる逸話を元に、神降ろしの儀式が常世へと続く人の縁をとり結ぶお話。神による異能の力がアイロニカルな帰結を生む洗練された御堂節は健在。ただ、ミステリとしてもそれなりに読める緻密な構成だっただけに、欲を言えば先の展開が推理できるフェアな語り=騙りであっても良かった。前作と比べると長編なだけあって、やや地味で間延びした印象を受けたが雰囲気作りは流石の出来。キャラクター造形が魅力的で挿絵も素晴らしかった。今後のシリーズ展開は不明だが、個人的に著者のファンなので気長に次回作を待ちたい。
ナイス! ★​★​★​
08/28 コメント(0)
ajin >> 特異領域の特異点―真理へ迫る七秒間 (電撃文庫)
特異領域の特異点―真理へ迫る七秒 「特異領域理論」を巡る世界観設定や白熱したバトルシーンは魅力的で大変面白かった。けれど肝心の「基本方程式」が陳腐な撞着法でしかなくどうにも「子供騙し」な印象を受けてしまった。本作の趣旨は「現代科学」を否定することにあるから「科学的な理論」に準拠する云われは勿論無いが、それと世界観を意味づけるアナロジーを混同してはいけない。つまり細部のディテールは既存の枠組みに準拠する必要はないが、読み手がそれとの違いを類推するには「科学的な理論」が必要だということ。だからここは惜しみなく著者の知識を総動員して欲しかった。
ナイス! ★​★​★​★​★​
08/27 コメント(0)
ajin >> ウィキリークスからフェイスブック革命まで 逆パノプティコン社会の到来 (ディスカ
ウィキリークスからフェイスブック 「インターネットは公共空間ではない」という指摘が鋭い。現実世界では金融業が他のビジネスの血流である決済システムを握るように、ネットは寡占企業が胴元を管理する私的空間だと説くキム。その一方で政府の監視から逃れソーシャルメディア上で展開した市民運動が革命を成功させる事例を取り上げて透明化・共有化・組織化というソーシャルメディアのもつ本質を抽出する。それこそがウィキリークスの標榜する「完全透明化社会」を担う構造であり、市民が監視権力を掌握して政府を監視する「逆パノプティコン」な社会システムの到来を指摘していた。
ナイス! ★​★​★​
08/22 コメント(0)
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