愛玉子さんの感想・レビュー一覧(443)

愛玉子 >> 炎上する君
炎上する君 見えるものや見えないものと戦い続ける日々に疲れて、立ち止まりたくなる。もう二十代も終わりを告げ、以前なら若さだけで乗り越えられた色々な事どもが重くなってくる。そんな「あなた」たちが現実から、ふ、と解き放たれ、そして少しく軽やかに降りてくる。まさかのナオコーラにニヤニヤし、大東亜戦争に思い切り吹き出し、舟の街で憩い、風船の落下に切なくなった。「人間は愚かだ、でも、だからこそ尊いんだよ!」柔らかな手触りの寓話集。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
02/11 コメント(0)
愛玉子 >> 人質の朗読会
人質の朗読会 これらの話を語った人びとは、もうこの世にはいない。人質にされる、という異常事態に巻き込まれなければ、語られることもなかったであろう静謐で小さな記憶は、忘れられていく死者たちの祈りの言葉のようで。幻想的な文章の末尾には、語り手の年齢職業が記されており、そのことで語り手はもういないのだ、と思い出し、さらに彼らの人生そのものに思いを馳せずにいられない。濡れた葉を捨て、前に進んでいける賢さを私は持っているのだろうか。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
02/11 コメント(0)
愛玉子 >> 13番目の物語 下
13番目の物語 下 荒廃した館、崩壊する家族、さまよう幽霊。それらは余計な善意が生み出してしまったのか、それとも必然だったのか。抑制の効いた文章で綴られる物語は、悲しみと恐ろしさと切なさ、そして愛に充ちた、一人の女性の人生そのものだった。内容を全く知らずに装丁借りしたのだけれど、読み終わってこんなに余韻に浸った本は久しぶり。ジェイン・エア、嵐ヶ丘、レベッカ、その辺りが好きな方には激しくお勧め。寒い夜に、飲みものはぜひココアで。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
02/06 コメント(0)
愛玉子 >> 13番目の物語 上
13番目の物語 上 父を手伝いながら古書店で働くマーガレット。愛する本に囲まれて静かだが満ち足りた生活をしていた彼女の元に届いたのは、伝記を書いて欲しいというベストセラー作家からの依頼だった。今まで謎に包まれていた作家の人生が、マーガレットとの対話で次第に明らかになっていく。没落旧家、エキセントリックな子供たち、何らかの悲劇の影。古き良きゴシックロマンスの気配を濃厚に漂わせながら、真実はまだまだ闇の中。流れるように下巻へ。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
02/06 コメント(0)
愛玉子 >> ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
ものすごくうるさくて、ありえない ツインタワーに飛行機が突っ込んだあの日。愛する父を喪った悲しみから立ち直れないオスカー少年が、ある日遺品から見つけたのは小さな鍵だった。鍵にあう錠を探すために街に飛び出すオスカー。ギリギリのところで踏ん張っているくせに、ユーモアを忘れず小生意気なこの少年が愛おしい。立ち直るのではなく、乗り越えるでもなく、悲しみと共存していくということ。3.11と重ねずにいられなかった。ヴィジュアルライティングという手法も、オスカーの思考をそのまま表すようでグッとくる。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
12/28 コメント(0)
愛玉子 >> きつねのつき
きつねのつき 何かとてつもなく酷いことが起きた、らしい、世界。ふわふわと優しく描かれる父と娘の日常生活の足元にはぱっくりと裂け目があって、恐ろしいモノやグロテスクなモノが蠢く。何もかも不確かな世界で、抱き上げた娘のぬくもりだけが確かに父を導く。すっかり変わってしまった世界で、それでもわずかに残された日常を生きてゆく、という祈りのような想い。ラストが美しく切なかった。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
12/28 コメント(0)
愛玉子 >> 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
桑潟幸一准教授のスタイリッシュな これを称してスタイリッシュというならば、私の知らないところで言葉の意味が変わってしまったのであろう。底辺大学で下流生活を送りながら、覇気もなければ努力もしない桑潟准教授通称クワコー。謎めいた事件に巻き込まれた途端、突如変貌して鮮やかに事件を解決…なんてこともなく、メソメソ泣き自虐妄想に浸るのみ。私はサディストではないが、なんだろう、このむくむく湧き上がる捻り潰してやりたいという気持ちは。もっと不幸になりやがれと思いながらも、うっかり笑ってしまったり謎の解決にホッとしてしまった自分がニクいわ(笑)
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
11/13 コメント(0)
愛玉子 >> こちらあみ子
こちらあみ子 好きだと伝えたい。励ましたい。笑顔になって欲しい。純粋なはずの思いが捻れ、歪み、どうしても伝わらない。それでもあみ子は発し続ける。誰にも届かない、誰からも受け取れない、たまさか交感があっても、気づくことも出来ないのに。純真というにはあまりに鈍く、治療が必要なレベルでは、とすら思える、タロットの愚者の如きあみ子の周囲で、家族は緩やかに崩壊していく。人は変わってしまうと言うけれど、変わらない、変われないのもまた残酷なことなのだ。ヒリヒリと痛いストーリーの中、名前さえ覚えてもらえなかった少年の存在が光る。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
11/05 コメント(0)
愛玉子 >> 無花果の実のなるころに
無花果の実のなるころに 父親の転勤で祖母と二人暮らしをすることになった男の子。中学生といういわゆる難しい年頃なのに、この望くんがめっぽう良い子でかわいらしい。思いやりがあって料理上手だなんて、本人の知らないところで絶対モテてるはず(笑)彼の人格形成に大いに関わっているであろう祖母は、粋でいなせで気っぷのいい元芸者。この二人を中心に、東京下町を舞台にした日常の謎系…というには少し人情寄りかな。あたたかくて読みやすい連作短編集。西條さんは時代物しか読んだことなかったけど、現代物も書かれるんですねぇ。楽しみ。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
11/05 コメント(0)
愛玉子 >> 四畳半王国見聞録
四畳半王国見聞録 どこまでも広がる四畳半、限りなく繋がる世界、立ち込める阿呆スメル、溢れ出る男汁、世界の中心で水玉ブリーフの阿呆神が妄想を迸らせる。シュレディンガーの猫は生きているか死んでいるか。観察という行為そのもので対象は変化する。誰も見ていなければこんなに素晴らしい俺を、誰かに見てもらいたいこの狂おしい二律背反。あまりの阿呆ぶりに吹き出しながらも、なぜか彼らが愛しくなってくる、ような気がしたが、全くもって気のせいであろう。気のせいだってば。
ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​
10/31 コメント(0)
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