れどれ
美意識を絶え間なく刺激するばかりの凄味ある文章で埋め尽くされた1頁1頁は読みながらにして宝物化されていった。ゆっくり大切に熟読玩味しながらもこの小説を読み終わるのが惜しく、最後の章は数日かけて読んだ。人工的な文体もここまで完成されていれば掛け値なしの敬いを捧げる他なく、またそれに対話の瑞々しさが織り込まれるのだからずぅっと才気にあてられっぱなし。主人公の思考は狂人のものとバッサリ処理するより、歴を辿って極めて人間的なものと通釈しないと、せっかく狂気を整序しきった本作品がもったいないよう思う。

金閣寺 (新潮文庫)
ナイス! ★★★★ -
コメント(0)
- 07/12
Tweet
share
ナイスした読書家さんと感想
三島由紀夫はこの作品が初めてです。本作の中に登場する、そのへんの禅僧以上にはるかに悟りを開いている柏木は、もしかしたら作者の投影された姿なのかもしれません。そして最後に主人公と出会う禅海和尚は、この作品内に置いて唯一柏木を凌ぐ哲学の持ち主であり、作者の思い描く理想の禅僧の姿なのでもあるのかもしれません。…個人的に、この作品は自殺というテーマについて書かれたものかな?という印象を受けました。三島由紀夫さん。現代においても色あせていない文章といい、なるほど、天才なのだなぁ…
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(1)
- 07/10
☆8 予想以上に狂気はなかったような気がした。だからこそ、なぜ金閣寺を放火するにいたったのか、というのを読み解くのは難しいと感じた。世界には自分しかいないと思っているような主人公が少しずつずれていくのがわかる。想像を下回る現実の美というのはだれしも多少は感じたことがあると思う。それでも世間の価値観に合わせるために、現実ならではの美があるという認識を自らに創りだし、想像に近づけていくのが平穏な人間だと思う。世界は認識一つで変わると思う。行為で変わるのは現実。再読する必要はあるが、とりあえず楽しめた。







