雪の宿
これを読んで喉がかわくのは暑さのせいだけではないだろう・・・。男は虫を探しにこんな所まで来たが、逆に男が部落というアリ地獄に捕えられた虫のようになるとは、皮肉なものだなあ。でも、つまらない以前の生活から隔離された、ラジオと そして水のある穴の中で家庭を築きつつある男は、きっと幸せなのだと思う。文中で多く用いられている比喩は、読みづらいどころか物語の流れをひきたたせるような美しさをたたえていて、読者をひきつける力がある。

砂の女 (新潮文庫)
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★ -
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- 06/29
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ナイスした読書家さんと感想
社会生活から逃避するように昆虫採集に出かけた主人公は部落の女の家に囚われてしまう。日常生活に戻るために脱出を何度も試みるが、最終的には自らの境遇に安堵を抱いてしまうようになり、外に出ても忙しい生活に追われるだけだと思い出したのか、民家での生活を受け入れるまでになる。このラストで、映画のCUBEを思い出した。この砂の女のいる家は男にとっての子宮のようなものであり、この物語は子宮回帰願望を取り扱ったものなのではないかと個人的に思う。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(1)
- 09/28
昆虫採集の為に立寄った集落にて砂に埋れたあばら屋に監禁されてしまった男が脱出すべく奮闘する話。矢継ぎ早に策を繰出すのではなく監視者の目を意識しながらじっくり対策を取る形式なのでスピーディさはない。だがそこにリアリティを感じた。日常剥離→恐怖→怒り→対策(割りとショボい)→失敗→閃き→諦念→目的と手段の逆転。日常や交流から弾かれた結果生きる意味を懐疑、過去と現状の明確な違いさえ見失い恐怖の概念は砂に濁される。脱出算段は昆虫採集に替わる趣味となったのか。適応と狂気に然程の違いは無いのかも知れないなどと思った。
読みながら自分も砂に埋もれていきそうに錯覚する。それほど強烈な物語でした。砂の底の家に閉じ込められた男が徐々に状況を受け入れていく様に恐怖しながら、一緒に麻痺していく感じです。人間て恐ろしく強く弱い。
この不条理さ・・好きだ。いいかも。一気でした。息苦しく重苦しい理不尽さに圧倒される。何様なんだ・・とムカツキつつも、最後の方になると、しょうがないよね的思考に陥った自分が怖い。それにしても、この比喩の表現力ときたら。。砂が恐ろしいものに思えてくる、が、逆に今行きたい所は鳥取砂丘。
これは傑作。何で今まで読まなかったんだろう…。突然不条理な境遇に陥った男の葛藤。カフカの「変身」とも通じるか?文章も素晴らしい。砂の感触、喉の渇き、怒り、恐怖、欲情すべてが生々しく感じられた。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(4)
- 08/04
初・安部公房。面白かった~(笑)虫を捕りに来た男が砂の街に囚われ・・・不条理な世界に閉じ込められ必死に脱出しようとする気持ちと徐々に変わっていく気持ちが面白かった(笑)そして女が妙にエロチックな感じだった(笑)安部公房読みやすいし面白い他の作品も読んでみよう(笑)
再読。安部公房の最高傑作。不条理な理由で隔離された男が砂をかくという労働力として扱われ、一人の女との奇妙な同棲生活を送る…蒸発ブーム?とも言えた1960年代を象徴するかのような名作。同テーマで「他人の顔」「燃えつきた地図」などあるが、完成度ではこの作品がずば抜けている。ノーベル文学賞、取って欲しかった。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
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- 11/25
〇不思議なお話。『人類が平等と言えるのは死と性病だけかもしれない。性病は人類の連帯責任なのだ。』
”孤独とは、幻を求めて満たされない、渇きのことなのである”―結局、最後に男は気付いてしまったのだろうか、これまでの日常生活も砂穴での生活もさして変わらないものであり、逃げることが出来ないということに。
「不条理」な小説だと感じました。自分となんらかかわりのないところで決められた運命にもてあそばれる個人。よく考えて見るとありえない話でもなんでもないようです。しかし自分は被害者であるという自明のことに疑問符がつけられたとき・・・考えさせられます。
監禁された男に対する読者の感情移入を、いつしか不気味さへと転化させていく技量。後味悪いことこのうえないです。お見事。
















