ナイスした読書家さんと感想
毛穴から吹き出す閉じられた世界の情念、これぞ安部公房。大好きな作品です。映画では岸田今日子が女を演じているそうですが、想像するだけで恐ろしくなります。
社会生活から逃避するように昆虫採集に出かけた主人公は部落の女の家に囚われてしまう。日常生活に戻るために脱出を何度も試みるが、最終的には自らの境遇に安堵を抱いてしまうようになり、外に出ても忙しい生活に追われるだけだと思い出したのか、民家での生活を受け入れるまでになる。このラストで、映画のCUBEを思い出した。この砂の女のいる家は男にとっての子宮のようなものであり、この物語は子宮回帰願望を取り扱ったものなのではないかと個人的に思う。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(1)
- 09/28
昆虫採集の為に立寄った集落にて砂に埋れたあばら屋に監禁されてしまった男が脱出すべく奮闘する話。矢継ぎ早に策を繰出すのではなく監視者の目を意識しながらじっくり対策を取る形式なのでスピーディさはない。だがそこにリアリティを感じた。日常剥離→恐怖→怒り→対策(割りとショボい)→失敗→閃き→諦念→目的と手段の逆転。日常や交流から弾かれた結果生きる意味を懐疑、過去と現状の明確な違いさえ見失い恐怖の概念は砂に濁される。脱出算段は昆虫採集に替わる趣味となったのか。適応と狂気に然程の違いは無いのかも知れないなどと思った。
砂〈虫探し〉砂砂〈村〉砂砂砂〈穴宿の女〉砂砂砂砂砂砂砂砂〈ぇ?消えた縄梯子〉砂砂砂砂〈登れない〉砂砂砂砂〈怒怒怒〉砂砂砂砂「すみませんねぇ」砂砂砂砂砂砂「んな、ばかな」砂砂砂〈怒憎怒憎〉砂砂砂砂〈汗暑汗暑汗暑喉渇喉渇喉渇渇渇渇渇ぅあ〜〜〉砂砂砂砂〈計画〉砂砂砂〈脱走〉砂砂〈失敗〉砂砂〈失意〉砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂〈鴉の罠〉砂砂〈ラジオ〉砂砂〈発見!溜水装置〉砂砂砂砂砂〈女妊娠〉砂砂砂〈縄梯子〉砂砂砂〈ぁ〜、戻らないのね〉砂砂〈失踪届〉砂砂砂砂。初安部公房でした、もう砂まみれw。他の作品も読んでみようかな。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(6)
- 07/20
読みながら自分も砂に埋もれていきそうに錯覚する。それほど強烈な物語でした。砂の底の家に閉じ込められた男が徐々に状況を受け入れていく様に恐怖しながら、一緒に麻痺していく感じです。人間て恐ろしく強く弱い。
賽の河原は、どうにもならないからこそ、地獄の罰なのだ。だが、人間の生活が獄と違ったものだと誰が言い切れるだろう。無為な日々をどうにか乗り越えても、最期には――鬼に崩される小石の山のように――死を迎える。それは奇しくも終わりのない砂掻きに似ている。その狂った循環から逃れるために、人々は様々な手段をとる。誰かにとって、それは運動をすることであり、本を読むことであった。男にとって、それは昆虫採集であり、溜水装置の研究であった。そして、我々はそれを<希望>と呼ぶ。街中でも砂漠でも、場所は関係が、ない。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(2)
- 10/20
★★★★★なぜこんな不条理が存在するものか。主人公はとても強くて賢い印象を受けましたが、こんな目に合うとは悲惨でしたね。安部氏の作品は初めてでしたが、表現力もメッセージ性もレベル高い。ノーベル賞候補者に位置付けられたことが本書一冊で納得。納得。
この不条理さ・・好きだ。いいかも。一気でした。息苦しく重苦しい理不尽さに圧倒される。何様なんだ・・とムカツキつつも、最後の方になると、しょうがないよね的思考に陥った自分が怖い。それにしても、この比喩の表現力ときたら。。砂が恐ろしいものに思えてくる、が、逆に今行きたい所は鳥取砂丘。
これは傑作。何で今まで読まなかったんだろう…。突然不条理な境遇に陥った男の葛藤。カフカの「変身」とも通じるか?文章も素晴らしい。砂の感触、喉の渇き、怒り、恐怖、欲情すべてが生々しく感じられた。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(4)
- 08/04
初・安部公房。面白かった~(笑)虫を捕りに来た男が砂の街に囚われ・・・不条理な世界に閉じ込められ必死に脱出しようとする気持ちと徐々に変わっていく気持ちが面白かった(笑)そして女が妙にエロチックな感じだった(笑)安部公房読みやすいし面白い他の作品も読んでみよう(笑)
監禁された男に対する読者の感情移入を、いつしか不気味さへと転化させていく技量。後味悪いことこのうえないです。お見事。
再読。安部公房の最高傑作。不条理な理由で隔離された男が砂をかくという労働力として扱われ、一人の女との奇妙な同棲生活を送る…蒸発ブーム?とも言えた1960年代を象徴するかのような名作。同テーマで「他人の顔」「燃えつきた地図」などあるが、完成度ではこの作品がずば抜けている。ノーベル文学賞、取って欲しかった。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(0)
- 11/25

























サラサラ流れる砂をサクっとガラスの器に集めたような、素晴らしい感想文ですね。
どうもありがとうございます。自分で書いたはずなのに、今となってはなんだか人の感想文読んでいるような気分です。笑