嬉々
淡々と、第三者の目線で描かれているにもかかわらず、こんなにも艶かしく、一人の人間を慈しみつくし、宗教的に尽し切る狂おしい佐助の情愛が滲み出る。けれど、その有様に目を反らしたくなる。蜜の甘さは妙薬の苦さ如し。幸か不幸か表裏一体。

春琴抄 (新潮文庫)
ナイス! ★★★★ -
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- 11/29
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ナイスした読書家さんと感想
滅私奉公という言葉が浮かぶ。究極の愛と言っても過言ではないだろう。この作品の味わい深さは読み手の想像が入り込む余地を残してくれている点にも見出せると思う。佐助の見ていたものを過去の春琴と彼の理想を練り込んだ虚像とし、春琴をシャイなサディストと捉えた場合、二人の世界は共有されているとは言い難い。どこまでも身勝手な男と、その男に愛されていると誤解した、もしくは自分を通して理想を盲愛した男を理解しつつ全てを愛した気の毒な女の物語とも取れる。微妙でいて決定的な世界のブレ。今回はその辺りに酩酊にも似た陶酔を感じた。
金子國義、井上文太に美意識を叩き込まれた。であるがゆえに、『春琴抄』はただならぬ存在感を放つ特別な作品だ。心は実在を歪め、時に純化する。そこに耽溺して生きることはこのうえなく切なく美しい。「春琴の遭難は自傷行為によるものではないか」と友人は言った。自分もまったく、そのとおりであって欲しいと思う。
大学時代に友人から薦められたのがずっと心にひっかかってて、やっと読めました。すごく綺麗な文章。淡々としていながらも艶やか。春琴の関西弁も美しかった。生きている相手を夢でのみ見ていた佐助。それは幸せなのかなぁ…






