司書つかさ
物語の力を描いたファンタジーであり、ファンタジーが紡ぎ出されていく様子を描いた物語。山賊に毛が生えた程度のアーサーに対して、人々は好感を持っていない。しかし、ひとたび、吟遊詩人が着色するや、全てが幻想に彩られた冒険譚として上書きされていく。この読者の印象さえも操る物語化が見事で、多少なりともアーサー王伝説を知っているのなら、後にエピソードとして織り込まれていく出来事を目撃し、心揺さぶられる。物語の力を利用しながら、物語自体は信じていないミルディン。そんな彼が、物語の力と真実の間で最後に語る物語が感動的。

アーサー王ここに眠る (創元ブックランド)
ナイス! ★★★★★★★★★★ -
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- 11/18
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ナイスした読書家さんと感想
現実と物語が混ざり合っていく感じが心地よい。物語の中のアーサーは今まで消えなかったし、これからも消えてしまうことはないと思う。物語の力の凄さである。 最初グウェナはアーサーの妻になるのかと思ったけど(それってなんか嫌だな)、まさかの湖の精だった。そしてミルディンは不器用だなぁ…しくしく。随所にみられる今に伝わるアーサー王伝説を発見するのも楽しい。挿絵も美しい… お気に入りの場面は湖でのカリバーンを渡すシーンと、ミルディンの告白からのラストまで。特にグウェナが語るアーサーの最期の物語が!
アーサーの物語であり、アーサー王物語の物語でもあり。時代と社会の制約の中でほのかに光るグウィナの抑制の利いた賢さが頼もしい。挿絵もすばらしい。子供に読ませたい本リストに入れる。これを読んだ後では、巻末広告の物語本がどれも面白そうに見えて困る。
最後でぼろ泣き。大きなことをなしとげようとした魔術師が、最後に語った物語。見返りがそれで充分だと思えた彼の人生は、豊かだったんだろうなと思った。
最初に想像していたような話ではなかったけれど、その違ったところがまたよかった。既存のアーサー王伝説と違ったところが。物語とは、こうして生まれていくのだと…その瞬間を目にした思いだった。久しぶりに井辻朱美さんの訳された文章を読んで、やっぱりあぁいいなぁと感じた。












