ナイスした読書家さんと感想
タイトルと中身は一切関係がない。だから必然的に想像していたものと中身は異なる。異なってよかった。とてもおもしろかったので。ジャンル不明の井上節が多い中、これは正真正銘の本格に分類されるべきものであると思う。特筆されるべきは、その推理がすべて"間違っている"ことである。二段オチのミステリーは数多いが、たいていはどんでん返しで驚愕の真相を持ってくる、しかしこの作品では真相がとてもつまらなく描かれる。これは論理なんてこんなもんだよって挑戦かもしれない。最近読んだものでは道尾秀介のカササギたちの四季が近いかも。
フリーターの余り役に立たない超能力者、パチプロでそれも推理があたらない安楽椅子探偵、この二人を同居人に持つ牛丼屋でアルバイトをする主人公。この主人公のもとに、超能力者の噂を聞きつけた、何故か美人の女性が、事件の解決を求め押しかけるという短編連作集。風が吹けば桶屋が儲かるというが、この話のように一応各物語は、「風が吹けば、・・・、桶屋が儲かる」の話のように続いてはいるが、それぞれ各章のタイトルと中身は全く一致しない。それも、結局本編での推理と事件解決が一致していないように、関連がないという意味なのだろう。
本物なのに労多くして効少ない趣味の超能力、華麗で理知的な推理が当たらない安楽椅子探偵、好みのタイプの美女と遭遇できるが全員ステディありの通年モテ期、が気の毒やらおかしいやら。水戸黄門的定型展開なのに毎度噴き出させ納得させてくれる、子供を公園で遊ばせながらベンチで完読できる短編集。本格ミステリを愛する人のための良いバカミスだと思いました。
この本に出てくる超能力者・ヨーノスケは、僕ことシュンペイに言わせると「低能力者」というくらいで、到底そんなレベルのものではないのだ。が、そのうわさを聞きつけて相談にやってくる…のは、おきまりの「美女」。ヨーノスケの能力ははたして役に立っているのか、そしてもう一人の同居人・イッカクの「論理的な推理」は真相をついているのか…、といったような話が続く、連作短編である。読み進むごとに面白い。繰り返しの美、というか「水戸黄門的お約束の黄金率」というか、面白いです。
ユーモア短編集。推理小説なので、超能力者を笑い者にするパターンは多いが、本作は知性と教養溢れる名探偵をも笑い者にしてしまった点が新しい。


ナイス!








「風が吹いたらほこりが舞って」「目の見えぬ人ばかりふえたなら」「あんま志願が数千人」「品切れ三味線増産体制」「哀れな猫の大量虐殺」「ふえたネズミは風呂桶かじり」「とどのつまりは桶屋がもうかる」