Tetchy
『空飛ぶ馬』よりも各編が長くなり、事件が起きるまでに「私」を取り巻く人々のエピソードにページが費やされている。純粋に推理だけに終始する物語は好きではないものの、謎そのものがメインでない物語も好きではない。逆にもどかしさを感じずにいられなかった。日本推理作家協会賞受賞であるから尚更である。確かに各編で語られる人間模様、「私」の感性豊かな主張、落語や日本文学について語られる侘び寂び溢れる薀蓄、日本の良さを強く感じさせる品の良い自然描写などどれをとっても一級品でそれら「寄り道」は確かに面白い。

夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
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- 10/20
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ナイスした読書家さんと感想
テレビでマスターシェフみてたら、食材でルバーブが出てきたので思い出して再読。三度目くらいか。前作は散発的な日常の謎だったのに対し、今作は続編への意識もみられるような、登場人物の成長を眺めるような印象をうける。謎は3つ。それぞれ日常の謎は鮮やかに展開される。まぁ、といってもこの本のなかで何よりも素敵なのは、「水の口紅」のシーンではないだろうか! 誤解をおそれずに言えば、本当にエロティックで透明で大人とかいう階段をことりひとつ上がるようなそんなシーン。それを書いているのが温厚なおじさんというのも面白い。
「夜の蝉」はとてもいい。美人の姉の話。微妙な姉と妹の関係。気のいい弟のみを持つ姉の私としては、女同志というのはこんなにも複雑なものかと思ってしまうけれど。 どの話も恋の香り。素敵素敵。
「私」と正ちゃん、江美ちゃん、そしてお姉さんの関係が前作よりはっきりしていて面白かったです。「日常の謎」がうまく描かれていて、こういうミステリーもいいなあと思いました。「六月の花嫁」が特に好みでした。
円紫師匠と私シリーズ第二弾。前作同様、実に綺麗な文章で、落語も文学も知識がなくてもとってもオモシロイ。円紫師匠の洞察力はホント凄い。神懸かり的な洞察力ではあるが、そんなの気付かねーよ的な突飛な洞察ではないんだよね。第一、二弾と図書館で借りたがコレは買いだな。手元に置いておきたい良い本^^
感情がとても細やかにつづられていて柔らかいトーン。ゆえに、ふと男女の関係に言及した文章が出てくるとなんとも艶めかしくてドキドキしてしまう。いくら円紫さんと「私」の博識ぶりが披露されていても、謎解き重視の物語だと飽きるだろう。しかし、「私」の成長譚として見るとこの先も、もっともっと読みたくなる。今回は表題作の「夜の蝉」が秀逸だった。姉セレクトの服に身を包み、鏡に向かう「私」がとても素敵。そして星座のエピソードで正ちゃんがますます好きになりました。
★★★★ 先日、夜の蝉が部屋に闖入してきたので、いったいこのタイトルでどんな物語になるのか気になって読んでみた。「空飛ぶ馬」の時は『私』をはじめキャラクターたちがあり得ない感が買っていた気もするのだが、こちらは恋心からコンプレックスまでいろいろとリアルに「私」を感じて楽しめた。困ったことに推理はまったくできないのも楽しめた理由。円紫師匠の論理の展開が怖いくらいだ
精神的に嫌な事件や、正ちゃんが隠す星座の理由、姉と私の姉妹関係など、いろいろ印象に残ってる。なかでも1番印象に残ってるのは江美ちゃんの事。ショックや・・・、次作読みたくないわ・・・(笑) 全体的に内容は今回も素人には不親切な気がした。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
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- 08/22
「空飛ぶ馬」の続編。相変わらず主人公の〈私〉は、著者の元教師らしい目を通して理想化された女学生として「きれいすぎる」きらいはあるし、国文学や落語の素養がまったくない自分には全編に散りばめられた蘊蓄を味わいきれないもどかしさも残るが、端正な推理小説というフォーマットの裏で、ここで描かれる人間性の淵を覗き込もうとする著者の目には、ある種の凄みすら感じさせる。謎解きそのものの評価とは別に、「空飛ぶ馬」よりも作品としての深みが一段と増している。表題作は吉田秋生の「海街diary」をちょっと思い起こさせるところも。
北村薫「夜の蝉」読了。俄然面白い。完璧な美貌の姉と【私】との間に漂う一筋縄ではいかないわだかまり。それがまた通じ合う様子がとても嬉しい。生き方は違っても聡明な二人。出会いや別れ、すれ違いが人を成長へ導く。姉妹として、大人として、女として、その前進する姿は、在り方はとても綺麗だ。円紫さんもやっぱり魅力的。第44回日本推理作家協会賞授賞作品。
前作のように澄んだ空気のような文章は心地よく清涼感さえ覚える。それも私と円紫さんのもつ間にとても合っていて、だからこそ私と円紫さんにすごく好感が持てる。人間の影のような悪意に一瞬ゾッとさせられるけど、二人の人柄や夜の蝉の最後のエピソードもあり読み終わりは心穏やかな気持ちになった。
登場人物の育ちの良さを感じさせる言葉遣いや立ち居振る舞い、容易に脳内イメージできる感情表現や背景描写、そして「うーん」と唸らせる論理的な推理展開 上手いですぅ!! ただ・・・ 「餡ドーナツ」の「あんどーさん」とか「この雨を君にあげよう」、「つー、ゆー」とか、おやじギャグに降参!! <(^_^;
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
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- 07/19
2話目の「六月の花嫁」がとても好きでした。警察は出てこなくても、そこには事件と謎があり、それに心を痛める人も、後悔する人も、自分の悪意にすら気づかない人もいる。彼女たちは今、生きているのだなぁと漠然と思いました。
一作目に続き。大事にはならないけれど、リアルに日常の中に潜んでいてだからこそといった怖さがある。そして蝉が部屋に入ってきたら今の俺でも泣く。
それまで顔を見せなかった北村薫が、メジャー入りし覆面をとったきっかけともなる、円紫師匠と私シリーズの2作目がこれ。タイトルの「夜の蝉」他2編の中篇になっている。あいかわらず、北村のやさしい言葉遣い(これは円紫師匠のキャラクターがそうさせているのか・・・)と、ミステリーとは一味違う謎解きが絶妙。和歌や古典文学、それに「鰍沢」や「つるつる」など古典落語の話を謎解きの事件に組み入れるなど、巧みな物語の展開に興味を惹かれる。ただ、残念ながらストーリーとしては第一作の方が僕好み。
柔らかく知的で清涼感のある文章。表題作「夜の蝉」が一番よかったです。お姉ちゃんてこんな感じですよね。
【図書館】姉の恋が切ない。
日常の謎系ミステリと言うよりも、漂う雰囲気や優しさを感じて楽しむ作品なんだなぁ…。 …と書いているものの、悪意や狡さもチラチラと見え隠れする。 小咄に近い構成の作品…かな?
殺傷事件の起こらない「日常の謎」ですが、軽くて爽やかという話だけでなく、心理的には意外とダークな話が多い。こういう部分を通して、「私」は成長していくのかな?円紫師匠と私の微妙な距離感がもどかしくも、おもしろい!
「円紫さんと私」シリーズ第2作目。少しずつ大人になっていく「私」の心身の変化に、二度と返らない時のかがやきを感じた。まるで「夜の蝉」の旦那のように、嫉妬を感じるくらい。それにしても著者は男性なのに、どうしてこんなに女性の感覚や気持ちがわかるのでしょうか。
北村薫さんの文章はとても好きです。のびやかで清潔で、柔らかくてうつくしい。ただ推理作家協会賞ということでしたが、謎とき部分はあまり印象に残らず。必要な要素以外を切り落としたミステリを美しいと感じる性質なので、「日常」部分が多いとどうしても気になってしまいます。物語の豊かさと本格物の両立は難しいなと感じました。
★★★★作中にある噺(落語)や和歌・良寛の話など上手く使っていて、友人・姉と<私>との関係も面白かったですね。ミステリと云うより人間関係や心情が中心の文学作品系だと思うけど、嫌いじゃないです。3編の中では私は「六月の花嫁」が良かったですね。

























