こまこ
途中まで今作は自分には合わないかも?と読み進めていたけれど中盤でガラリとその印象が変わった。淡々と生きたいだけて部分でガツンとやられる。傍からみれば淡々と生きているようにみえるひとでも実際はわからないし生きていれば心が波立つことがないわけがない。わたしも淡々と生きることに憧れを抱くけどそんな風に生きていけるわけがないんだ、と。淡々とはいかなかった年月が積み重なったラストのばかものに泣けた。

ばかもの
ナイス! ★★★★★★★★★★★★ -
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- 06/20
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ナイスした読書家さんと感想
どこにでもいそうなダメ男の物語。男は弱い動物なので、年上の女に甘えたいのかなぁ……などと読みながら考えた。言葉遣いも態度も乱暴だった額子が丸くなったのは歳のせいなのか身体のせいなのか。大人になってからも成長するのが人間なのだ、とも考えさせられた。
作者なりの人間賛歌。人生の応援歌のような作品だった。この小説の主人公のように酒に溺れ周りを苦しませる相当なダメ男でも、それでも、再生するチャンスは与えられる。冷たいようでいてなんだか優しい。いろんな苦労をしてきたであろう絲山さんの人間的な深さが書かせた良作だと思った。
本当にばかものの話。救いようがないと思うし、アル中に落ちていく主人公が友人や恋人の話を聞けなくなってしまって只管酒に溺れる件、最悪だと思った。暴力も最悪だ。「治療して治りました、また遊ぼう」なんて言われたって、虫が良すぎ。それでもラストには純愛に見えてしまうのは、私が絲山作品を好きだから。【図】
私はこんな素晴らしい恋愛小説を知らない。物語はアルコール依存症でどこまでも落ちて行く主人公が中心。それは読むのも辛い内容。しかしこの小説のラストは素晴らしい。人と人との関わり合いをとことん突き詰めた作品。本当に読んで良かったと思えます!
数点読んだ絲山作品の中でも、これは好きな方だ。上位。冒頭の男女関係が凄まじかったのが、功を奏しているのではないだろうか。ラスト、木登りしたふたりにはどんな景色が広がっていたのだろうか。お似合いだよ、ふたり。
振れ幅の激しい思いはいつか、許しと受容に形を変えていくけれど、それもまた良し。ということで。ばかものという言葉は、いろいろなものを包みこんで、深い。絲山さんの恋愛は、直接描写があってもあまり色気がないんだが、そもそも恋愛物は苦手なもんで、どうもね・・・おばちゃんが良かった。あったかくて。
西原理恵子作品男側視点バージョンといった趣の作品。私だったら百回くらい蹴りを入れてしまいそうな主人公だが、そんな男だからこそ惚れる女性もいるわけで。タイトルの通り「ばかもの」なんだけど、100%否定できるかっていうと、そうでもない。男女関係って因果なものだなぁ。
絲山さんにしては珍しいハッピーエンド。それだけでも満たされた気持ちになれた。互いに欠けた部分を持つ二人の「ばかもの」が、傷を舐め合うために一緒にいる訳ではなく、欠けた部分を補え合える存在なのが良かった。そしてワタシの1番のお気に入りは額子のお母さん・「よしたけ」のおばやんだったりします。
一気読み。想像してない方向に話が転がっていきそしてきちんと着地するのがすごい。アルコール依存の様子がきちんと言語化されていてすごい。病院実習思い出した(笑)平易なことばで疾走感を保ちつつ最後まで読ませる。しかもばかだけど愛おしい話だなんて。
「だって、友達だけだよ。一緒にいられなくても信じてあげられるのって」(p157)ばかでも、弱くても、心底人というものを嫌いになることなんてきっと、できやしない。
物語の前半、ヒデが転落していくさまがありありと描かれていた。退院後、親友から突き付けられた言葉が生々しく現実を知らしてくれた。













