ぱせり
恐怖も孤独も超えて、ただ清潔なほどの静けさを感じる。そして、究極の寒さ暗さなのに、何かが啓けていく一種の明るさを感じる。印象的なバイオリン・・・

極北で (新潮クレスト・ブックス)
ナイス! ★★★ -
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- 04/09
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明けても仄暗い空の下、極寒の地に一人残った男。誰もが無謀な賭けの果ての死を思った極北で、男が目にしたものと行動の真の理由は。想像を絶する過酷な環境は、半ば主人公一人を描く物語を、単調どころか異様な緊迫感で結末へと導いていく。けれど物語冒頭、去っていく船を見送る男を振り返ると、訪れたのは絶望と孤独のみか、そこに狂気に近い福音はなかったかと思う。「ただの人間にどんなことができるか知ったら、驚きますよ」という言葉の影に、氷の前で奏でるバイオリンの調べと、もがきながら泳ぐあのアザラシの仔の悲鳴を聞いた後では。





