人工の冬

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人工の冬の感想・レビュー(5)

ヘンリー・ミラーとその妻ジューンとの不思議な三位一体恋愛関係が元と思われる『ジューナ』、20年振りに再会した父と娘の愛を描いた『リリス』、ジューナもリリスも訪れる精神分析医との物語『声』を収録した作品。ジューナもリリスもアナイスの分身。他者の必要に自らを埋没させる習性がこの2人の登場人物の人生観の根底にある。『リリス』の中で、父とリリスの脳内でのオーケストラの饗宴という、類い希な比喩を駆使して描かれた全く直接的な表現をしていない場面は、美しい性愛の場面。この本が何故発禁処分を受けたかわからない。

三編収録の内、最初のジューナで挫折。感覚だけで話が進んでいくような感じ。ふわふわ宙に浮いたまま進んでく。たかだか120ページを読むのにずいぶん時間がかかった割にはぜんぜん読んだ感じがしない。今見るとこれを発禁にした意味すら分からないが、当時の人たちにはそれほどの危ないものがこの本に発見しえたのだろうか。

これは小説か?否、日記であろう。あまり人に読ませるために書いてるとは思えないなー。日記だと、自分だけにわかる感覚とか逸脱とか暗号とかそのまま書ける。そういう雰囲気でしたので。あとがきにもあったけど、発禁になっていた理由は、性的な描写云々ではなくて、思想的にやばいからだと思う。

あまり深く考えずに読み進めないと、一向に読み終わらないので、さっと流してしましました。

形容詞につぐ形容詞、そして抽象的な文体。どっぷりフランス文学でした。実はこの作品、再読です。と言っても以前読んだのはアメリカ版。この度のパリ版はアメリカで発禁処分を受けた部分も収載されているとの事で、期待して手に取りました。一体どこが発禁処分を受けなきゃならなかったのか、私には理解できません。「抽象的なエロス」って事でよろしいかしら。

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人工の冬の 評価:100 感想・レビュー:5
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