小さな男 * 静かな声
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小さな男 * 静かな声の感想・レビュー(135)
吉田さんの言葉遊びにクスリと笑って、小さな男の変わったこだわりにまたクスリと笑って。自転車を手に入れてからの小さな男の無邪気な行動がかわいらしくて、そうか、兄は弟になれるのかと妙に納得してしまった。
題名通りとても静かで小さな物語です。もちろん良い意味で。吉田さんらしい言葉遊びもたくさん出てきて、思わず口元が弛んでしまいます。自転車に乗って遠くへ行きたい気分。もちろん日曜の夜はラジオを忘れずに。読むと、ほんの少しだけ日常が愉しくなる本です。
私は妹として、もう少し奔放になるべきかもしれないと思った。でも、姉よりの性格だと思うんだよなあ。点燈夫という物が良かった。実に良い。私も、町に一つ一つ、手づから灯りを差し上げる様な仕事がしたい。catcher in the lie程ではないけれどそういうちょっと世俗から離れた様な、逆に凄く生活に密着して改めて意識するのが難しいような仕事がしたい。 ラジオの電源の入る時、灯る光。この姉弟は互いに同じ事をしていたのだなあ。ここが印象的だった。午睡屋が気になるので別の作品で取りあげてくれないだろうか。
しみじみ…雨降りの夜、ラジオを聞いているような感覚に陥るお話。
小さな男の何気ない日常、小さなこだわり―空白、シャツ、ひらがなの品やかさ―それらを乗り越え、自転車に飛び乗り風になる。そんなきっかけを作るのが、静かな声のラジオ。弟、ミヤトウさん。ひっそりひっそり、小さく明かりが灯るように繋がっていくひとたち。
『ロンリー・ハーツ読書倶楽部』、ちょっと参加してみたいかも。あと『古詩集屋“午睡屋”』に行ったり、弟の作る『卓上灯』もほしい。
捕らわれてしまった。小さな男と静かな声の二つの話が交互に進められる構成なんだけど、真ん中で接点ができてからが本当に素敵。小さな男も、静香さんも、ミヤトウさんもそれぞれ愛おしいキャラクター。この本も人称が交互に替わったり、言葉について考えたり、特にラジオの生放送の感じとか、吉田さんの実感に繋がっているようで、それが身近に感じられて嬉しい。ユーモアもたっぷりで、読みながらクスクスにやにやすること請け合いです。
しみじみの味噌汁とかコリゴリの煮凝りとかコンリンザイの炒め物とか。「カスタマイズには終わりがあってはならないのです」「自分が変化してゆく以上、自分が乗る自転車も変化してゆくべきです」「変化して更新された自分に合わせて自転車もあらためる。これが正しいカスタマイズです」夢の話の描き方とか道順の書き方、居酒屋のだべりの書き方とにかく言い回しが好きだ。この吉田さんの理屈のこねかたが、秋田禎信に似ている気もする。
デパートの寝具売り場で働く「小さな男」と、深夜のラジオ番組をまかされた「静かな声」こと静香さんの日常が淡々と綴られる、静かな雰囲気の作品。B6ノートの余白に宇宙の広大さを読みとることのできる作者の感性がとても素敵だと思いました。ちょっとした出来事を深く妄想、いや考察?するスタイルは『原稿零枚日記』(小川洋子)を彷彿とさせます。点燈夫のエピソードがとても好き(*^-^*)。夕方になるとガス燈にひとつひとつ灯をともして歩く点燈夫のよぅに、私も誰かの心にひとつひとつ「灯り」をともしていけたらいいなぁ♪♣3.5点
序盤は「小さな男」と「静かな声」の往ったり来たりで、入り込むのに少し苦労した。しかし、中盤以降は吉田篤弘の描くゆったりとした日常にどっぷりと浸り、美しい余韻を残すラストまで一気に読み終えた。所々にある控えめなユーモアもいいスパイス。
小さな男が真面目に熱く語るこだわりが面白くて、何度クスリと笑わされたか!! 静香さんの日常の様子は読んでいるというより彼女の深夜ラジオを聞いてる気分。 本を読み吉田さんの世界に浸っている間は、時間がゆっくり流れる気がする。
物語がいろんな角度からつむがれているので、なんだか舞台をみているような気分で読書を楽しむことができる。淡々と進んでいく作中で、たまにくすりと笑ってしまうようなユーモアもちりばめられている、一粒で楽しめる一冊。
最初読んだときはあまり感心しなかったけど、再読し、すごく心にしみじみと来た。この物語は、つまりは「自分は今、ここにいる。間違いなく」ということなのだと思う。
デパートに勤める小さな男と静かな声のDJ。2人の生活が交互に描写され、やがて部分で重なり合っていく。微妙に非現実な雰囲気が駄目な人には駄目かも。でも、絵空事になりそうでならない、不思議な存在感を感じた。
二人の登場人物を一人称と三人称とで語る。 ひっそりとしたものがたり。 内容があるようでないようで。力があるようでないようで。 読み終わった後も、物語が終わらないような。
ベッドサイドに置いて毎日読んでました。2ページで心地よい眠りに誘ってくれます。後半繋がってきてからはどんどん進みました。弟が好きでした。
百貨店に勤めながら百科事典制作にも勤しむ"小さな男"と、日曜深夜の「静かな声」の密かな人気パーソナリティ静香さんが主人公。一人が好きで世間や他人から少し距離を置いていた二人が後半少しずつ自分の扉を開いてゆく様子が緩やかに穏やかに描かれる。吉田さんならではの丁寧な暮しの中に散りばめられた幸せがしんしんと心に届く良作。
混沌とした箱の中、迷路のような日常を過ごす男。ラジオから届く静かな声は、今夜も私にささやいているようだ。そして、多くを持たない静かな声の女。 本の中の世界に居て、いつも待つ身の女。 小さなきっかけ、小さな出会い、少しの安心感・・・それだけで充分満たされて・・・ そして、時間は動き出す。
小さな男の歩幅の話、静かな声の息と消息、生きることの話、それぞれとてもよかった。小さな男も静さんも会わないのだけれども、ミヤトウさんを通して通じ、深夜のラジオで通じる。うぅーん、いかにも吉田さん。そこが好き。従業員通路は通りたくないです。なんなんだ、汗をかいたような壁って笑 怖いよ…
百貨店に勤める小さな男と放送局で深夜のラジオ番組を担当する静かな声を持つ女性の話。繋がりがあるようで繋がっていない。「支度中」の料理屋とその店に集う人々、タカトウさんなど愛すべきキャラが多数登場。心がほっこりしてくるような温まる話です。文体も良い。
なんだか、むしょうに音読したくなった。リズムの良い文体だからかな?「われわれの世界には限りがあり、にもかかわらず、日々、生産は繰り返される。何やらびっしり書き込まれた余白のないものが次から次へと作られ、限りある世界を追いつめるように埋め尽くしてゆく。が、ノートだけはほとんど唯一といっていい余白の生産、可能性の生産、空き地の提供である。これを手に入れずして何を手に入れよう。場合によっては、百五十円で宇宙さえ手に入れることができるのだから」
ともすればつまらない話のはずなのに、なんとも好ましく感じる物語でした。何でもない思考がつらつらと繋がっていく様が面白い。迷路な従業員通路の話と、ミヤトウさんが金色の手帳を読む場面が特に好き。
吉田篤弘の世界がそこにあった。何気ない言葉や事柄に小さく光をあてて物語りにしてしまう。1日の終わりに読むのに最適。
☆☆☆☆ 小さな男視点、さらに彼を客観的に捉える視点。静かな声視点、さらに彼女を客観的に捉える視点。という構成。独特で面白い。「従業員専用通路」が謎に満ちていて妙に惹かれる。描写読んでる間はちょっとうざいけど(笑)。小さな男と静かな声はXに交差していくような。共通の知人がいることにいつか気付くのだろうか。
ゆるやかに交わり繋がり、共鳴し合う静かな2つの物語がたまらなく愛しい物語。それぞれのパートで紡がれる些細なようで些細じゃないエピソードの一つ一つが、しみじみした余韻を残しながら胸に落ちてくるのがいい。印象に残ったのは「迷路のような百貨店の従業員通路の話」「魔の話」そして、「点燈夫の話」。詩集屋さんに支度中にも行きたいし、読書灯も欲しー!
好きなエピソード、「小さな男」→百貨店の壁をはさんだ迷路のような従業員通路。「静かな声」→手帳より、西野氏のトースターの話。会うことのないふたりの物語だけど、ひとくせもふたくせもある脇役がストーリーに花を添えています。生意気な後輩茂手木さんや 「金色の手帳」のミヤトウさんとか…。
○主人公の一人「小さな男」が「明日に向かって撃て!」とチーズバーガーに感動する件りで思わず自省。当たり前と思って放ってある物事が自分も沢山ありそう(ある)。前向きに生きよう小説。というと如何にもつまらなそうだが、小さな男の珍妙なキャラがとにかくナイス。
「結局、いちばん残しておきたいものはいつでもこうしてこぼれ落ちてゆく。(中略) 代わりに、どうでもいいことばかりが克明に記録されてゆく。」… 本の感想も一緒だな
小さな男 * 静かな声の
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