通話 (EXLIBRIS)
通話を読んだ人はこんな本も読んでいます
通話を追加
通話の感想・レビュー(115)
売れない文学者、暗躍する男たち、変わった女たちの3テーマ、14短篇集。決してサクサク読めるわけではないが、どれも長篇にできるであろう重い題材(人生)を最小限の言葉で軽妙に切っているので、一見心地よいがなかなか抜け出せない迷路に迷い込んだような不思議な感じになる。訳者あとがきの「ウディ・アレンとタランティーノとボルヘスとロートレアモンを合わせたような奇才」というガブリエルの評の前2者についてはとっても納得(後2者は?)。カバー写真も印象的。
立ち呑み屋でいい具合に身を持ち崩した変人たちと呑み合うような短編集。訳者あとがきにもあるようにタランティーノの確信犯的B級映画のように楽しめる(特に『刑事たち』)。作者は、文学っ!みたいな感じに気負わず、ただ筆の進むままに文字を綴ったんだろう。だからといって、「自分はアウトサイダーだ」っていうダサい使命感もない。三流作家でいいや、みたいな開き直りがとても気持ちいい。この作家が大好きになりました。とくに『芋虫』が好きだった。
人生を設計しその設計を意識して生きる、設計は無意識の行動規範、行動規範の根底にはより豊かで満ち足りたいという本能を隠して、倫理や道徳という“常識”でオブラートする。倫理や道徳というと大げさなので、価値観やリテラシーといった上品な意識に置き換え、人生を洒落た階級競争のゲームに仕立てていく。少なくとも現代社会はそういう一面を持っていて“悪くない”今がある。この短編集は、設計されない、行きつ戻りつ誤解やすれ違いを繰り返す、他愛無くも愛すべき人生を描く。人は感情の動物で感情そのものが人生だと語っている。
切れ味鋭い剣の刃のうえをおそるおそる渡っていくような、狂気と隣り合わせの世界。ときに淡々と語ったのちに、気持ちの揺れ動きを恥ずかしいくらいに綴る、語り口の濃淡。人間の喜怒哀楽を飾り立てることなく見つめたすばらしい短篇集だった。チリの歴史を初めて知ったが、だからこそなのだろうか、作者の芸術にかける信念、信仰が伝わってくる。際どくアブない話も多かったけど、せつない読後感は不快ではない。
この本を読んで過ごした初夏の夜は、旅先の酒場で喉が灼けるような強い酒を飲みながら超絶的に話がうまい男と過ごしたような、そんな特別な時間でした。
すうっと入りこんではこない、鉄みたいな銀色をした短篇集。ひんやりとしているように感じたはずが、気付くと熱を帯びていました。それぞれの風景を自分はしっかり見ることができているのか惑うのだけれど、それも楽しい。
「ここでおしまい? もうちょっと何かない?」というところで終わってしまう短編ばかりいっぱい読んだという印象です。どの主人公も、作者自身かな、と思う。ぱっとしない日々のなかにも、だれかに「このあとどうなる?」と思わせるような束の間がある。(だからといって、このあと、何かまぶしいことがあるはずもなくて、物憂いのでした)
短編集。 だめな感じの人々の結構普通じゃない人生の話が詰まっている。一編目の「センシニ」の本文の内容と付言の対応に顔がニヤけた。
衒いのない語り口に引き込まれる。答えのない謎めき方がエリアーデを思わせる前半の方が好みではあったけれど、ジャック・ホームズのイチモツのよるべない異物感が印象に残った。Ann Rhoneyの表紙写真も素晴らしい。
「生きて語り継ぐ」ことが不可能となってしまった作家の中に巣くう記憶。歴史に刻み込まれることのない人びとの声。彼らとの間にコミュニケーションは成り立たない。そこはかとなく漂う悲しげな感情は、名も無き取り残されたものたちから発せられる。
「刑事たち」が良かった。インドシナのこれ系の小説ってどっかから出版されないかなと思ってるが、スペイン語圏気質とは大分違うものになるのだろうな。
面白かったけれど、私的にはもう少しウェットな方が好み。「通話」「芋虫」「クララ」がよかった。特に「通話」は、主人公の行動が徐々に常軌を逸していくところや、2人の作家の奇妙な友情みたいなところが、とても面白かった。
FIGAROやいしいしんじさんのオススメなど、ちょこちょこ書評で目にしたので、読んでみた。「センシニ」が一番良かった。どんどん進むごとに難解になっていった印象。
ボラーニョの語り口の淡白さは愛嬌があっていい。もっと読者を突き放した書き方だってできるだろうに、そうはならないところが(といって媚びてるわけでは決してないところが)読んでいて楽しい。若干、後半の「僕」と関係のあった女性の話になるとトーンがちがってはくるけど。個人的には三流文士の肖像系の話が痛きもちよくて好き。例えば「エンリケ・マルティン」のラストなんか凶悪なくらい痛いツボをさらりと刺してていい。
数多くの数奇な人生が詰まった短編集。これを名付けて“Zip小説”(←勝手に造語しました)。優秀な解凍ソフトが頭にないと楽しめないかも。わたくし?ありがたいことに存分に楽しみましたよ~。
ハードボイルドのB面、という印象。あまり好みの文体ではなかった。少しづつ読み進めたんだけど、比較的楽しく読める日と、目が文字の上を滑る日の振れ幅が大きな一冊だった。
美味しいかどうかじゃなく生理的というか感覚的にサンマは塩焼きのほうがカルパッチョやマリネよりも絶対イイと思ってしまう私には多分この本の真髄は捕らえられないのだろう…話のオチがクロスオーバーイレブンのスクリプトみたいなのがいくつかあった…発行:2009年6月25日…本体2200円
聞いたこともないラテンアメリカやスペインの詩人、作家がてんこもりの短編集。かろうじて、コルタサールやビオイ・カサレスは知っていた。「文学の冒険」とかメチャおもしろい。印象的な一句にことかかない。
哀しみ。皮肉。陽気さ。孤独。笑い。ユーモア。逞しさ。不安。熱気。セックス。空虚さ。作家・詩人・落伍者・刑事・ならず者・女。いろんな人間の人生が凝縮されたかのような短篇集だった。時代やさまざまなものに押し潰されそうなった彼らの、もがきにも見える。舌にほろ苦さが残るような読後感。
筋とは関係ない余計な語りが冴えない主人公たちをより情けなくさせる。読中は笑っちゃうんだけど結びが美しくも怖くもあり、このオープンエンド的なちょっと先にある不安を、切なさにするか不満にするかでこの本の評価は変わりそう。/09/06/27『通話』刊行記念のトークセッションに参加。記念にもらったエクスリブリスのうちわが小っちゃいよ!
クーデタで祖国が荒れようと、作品発表の場がなくても、不安と恐怖にびくびく怯えようと、自虐趣味に溺れようと、それでも文学元気です。そんな愛らしくもへもい三流作家を描いた第一部の「通話」が一番好み。
通話の
%
感想・レビュー:52件














ナイス!
























