宇宙消失 (創元SF文庫)
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宇宙消失の感想・レビュー(360)
再読。イーガンの最新短篇集である「フランク・ダイブ」を読む前にふと読みだしてしまった。発売当時からもう何年だろう。今読むと当時より遥かに読みやすい。今や量子力学的な世界をもっとうまく着地させてる「涼宮ハルヒ」もあるしね。それにしてもやはり処女長編作だったということだな。まだまだ長編としてはアイディアを羅列しただけになっている部分があるし、物語としての収束がうまくいってない。短編は凄まじいのだけどなぁ。こうなるとまたまた遡って読みたくなってきた。
ハードSF。量子力学に関する知識がある程度ないと、読み通すことすら叶わないのではないだろうか。しかしながら、幸いにして、シュレディンガーの猫や多世界解釈についてはある程度の知識があった。シュレディンガーの猫に対するイーガンの解釈は面白く、人間(世界)は常に拡散し、収縮しているとのこと。また、全体の構成も興味深く、スケールが徐々に小さくなっていく、いわば半漸層的とでも言うべき技法が用いられているように感じられた。SFではなく、ハードSFが読みたい人にオススメしたい一冊。
指数関数的に「拡散」していく世界、その拡散の出発点になる「選択」のタイミングって、実際はどういう点なんだろう。たとえばこうして、いくつかの言葉を頭に浮かべて選び取った時点で、頭に浮かんだ言葉の数だけ世界は拡散していくのか? 浮かんだ言葉の数-1だけ、存在は失われていくのか。やっぱり量子力学は頭がこんがらかる(笑)。ので、ディテールの話をすると、モッドの価格が紹介してあるのがちょっと面白かった。おかげで、ぶっ飛んでるはずの小説世界が妙に生活に近くなる感じで(錯覚なんだけど)。
量子力学とか少し難しい言葉や設定に疲れた。楽しめる内容ではあったけどバブルの謎や奈落の子たちをメインにしてくれたほうが好みかな(笑)SFはもっと単純な感じのほうがいいな(笑)もう何回か読み返してみないとちゃんと理解できないかな〜。
量子力学などの単語が前面にでているが、実は非常にオールディな内容で、八十年代のSF作品のような心地よさがあった。初めにドカーンっと、大きな設定をぶつけておいて波動関数の収縮へとテーマを持ってくるあたりは、作者の想像する内的宇宙へ引きずり込むのが狙いであり、それだけを楽しめれば、もう本作を読んだかいがあるということ。それでいいと思う。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
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- 11/20
量子力学を題材として書かれたSF…というよりは、書きたかったアイデアを上手くこじつけられるのが量子力学だったのかな、という印象。宇宙のような大きいスケールで何かが語られるとき、やたら人間中心的な論であると受け入れにくくなる…という心情は誰しも覚えがあるだろうが、この小説はそれにも答えを出している。つまり「人間が宇宙の中心でもいい」のだと。自己の存在に疑問を抱き始める中高生に読んでもらいたい一冊。きっと何かのパラダイムシフトを得られるはず。
5回目くらいの再読。すべて知ってるのだが、やっぱりこの世界観にしびれる。初読は波動関数の収縮におどろくのだが、今では洗脳からの脱出の論理のアクロバットが大好き。
決して読みやすくはないガチなハードSF。題名からもっと宇宙宇宙した話かと思っていたが映画『ブレードランナー』を思わすハードボイルドな幕開け。初めて量子論に接した者なら誰もが感じる驚異を確信犯的にマクロの世界に拡大して描いてみせた混沌の物語。量子論に関する専門知識は不要だが、どの辺で話を膨らましているか知る為に入門書位は読んでおくことを勧める。「拡散・収縮・固有状態」の物語と言っても良い程、この三語が繰り返される。この語のイメージが掴めるかが楽しめるかのポイント。観測者よ!あなたは誰?全てが起こる世界とは?
量子論(量子力学ではない)を中心に据えたSFの中では物凄く出来がいいと思う。シュレディンガーの猫の喩え話が誤解されやすいのは周知の通りだが、それを逆手にとってその解釈を物語の肝にしてしまう手腕はさすがの一言。また、"モッド"の導入により、主人公が葛藤する様子は、意識や自我とは何かという21世紀的な問いになっていて、このあたりの書かれ方も素晴らしい。
評判が高く、ハードSFの傑作として期待していたのですが、内容的には残念なものでした。メインのシナリオが量子ネタですが、これは、量子力学の基礎をしっかり理解している立場から言うと、あまりに現実離れしている印象です。ミクロとマクロの世界での波動関数としての存在確率に関するスケールの違いに対する考察が抜けており、量子力学をご存じない読者には「拡散」「収縮」などの言葉をうまく活用して、「それっぽく」読めるかもしれませんが、私自身は、ロジックに無理が有るので、なかなか、読むのに苦労しました。
本書を読んでイーガンが現代SF界の頂点であることを嫌というほど思い知らされた。アイディア、世界観、何といっても読後のセンス・オブ・ワンダーが半端ねぇ。量子力学がSFにとって恰好のネタであることは間違いなく、日本でも他ジャンルの小説家が度々このネタ用いている。例えばミステリ界では山口雅也、ラノベ界では谷川流といった人がそう。ただ、本書と比べてしまうとどうしても密度に差が・・・。でも、精力的に量子力学を小説に昇華した手腕は拍手もの。イーガンを頂点とする量子ネタの拡散が今後の良質なSFに収縮されることを願う。
モッド、ナノマシン、その他不思議なデバイスがサイバーな雰囲気を醸してサイバーパンク、だけど日常にすっかり馴染んだような世界観が素敵。壮大すぎて驚いた、前半の失踪の話が後半の話に繋がるなんて読む前では想像つかないわ。
評価が難しいなぁ。面白くて、すごい作品だ、ということは分かるのだけど、量子力学を自分がさっぱり分かっていない。(お話を理解できる程度には)なんとなく分かった気もするけれど。「バブル」の正体には痺れた。専門用語をもう少し減らし、もう少し物語を動かしてくれれば、もう少しSF初心者にもとっつきやすくなったかもしれない。
途中、テクノロジーの解説に疲れるところもあるけど、面白かった!可能性世界の洞察も表現も気持ち良かったし。翻訳本は読みにくいという先入観が無くなった。もっと読んでみたい。
中盤、「バブル」の謎が解けるあたり以降から、ちょっとグダグダな感じ。とは言え大変濃厚で、最後まで引き込まれる世界観はすばらしい。(あ、改めて表紙見てたら、ようやくイラストの意味が分かった)
星2つ。面白く無い訳ではないが、若干まとまりがわるいような(それもこの本の感想が拡散しているとでもいえばいいのかww)気もする。モッドの概念はあまりスタイリッシュではないような気がするし(攻殻機動隊などが念頭にはある)、最後のオチとしてはどこまでもSFっぽいのだがすっきりとしない。ライトノベルに慣れたことも原因なのだろうか? なんか色々と冗長なのである。
確かに面白かった。<モッド>と呼ばれるコンピュータを脳内に埋め込むのが当たり前の世界と云う設定からサイバーパンクなのかな? と思っているとどうもそうでもない。この世界の特徴は<バブル>と呼ばれる怪現象により、太陽系がすっぽりと覆い尽くされ人類は題名通り宇宙を失った。そんな世界が何故、現出したのか、と云うのが本書の主題なのであろうが、それを解明するのに作者が利用した量子論的アクロバットはすんなりとは納得しかねるものではあった。特に人の意志の関わり合いと、<収縮><拡散>という現象がどうにもピンとこなかった。
『ディアスポラ』『順列都市』と読んできたけど、一番の完成度。読む前に知ってた方がいい予備知識もそんななく、電子の二重スリット干渉実験なり、物質の波動性についての素人向けのごく簡単な解説程度を知っていれば十分だと思う。あとは作中で順序だてて説明してくれる。その説明は理解にそれなりの労力がいるが、とはいえ他のイーガン長編ほどじゃない。いい作品だった。
主人公は、万能の力を手に入れたように見えて、実は無数に枝分かれした世界の中から、「万能の力を手に入れたように見える現実」を選び取る能力を得ただけで、今まで読んできた部分が実は選ばれずに消えてしまった世界のことだったと明かされる部分には、奇妙に現実感の捩れる感じを受けました。設定は面白いのですが、観測することで、他にあったはずの選択を抹殺しているという考えには、馴染めません。しかし、確率を収束させることなく存在する知性(生命)という概念には、想像力をかき立てられます。
ナノテクを駆使したサイバーパンクっぽいハードボイルドタッチの主軸に、空から星が消えた世界観、量子力学を組み合わせた超大ネタが組み合わさった大傑作。この小説一冊で普通のSF小説何十本近いアイデアが詰め込まれながら、おまけにそれぞれのプロセス、科学的解説までしっかりしているのがすごい。奇想の部分は宇宙規模なのにちゃんとメインストーリーを邪魔していないのもよかった
正体不明の暗黒の球体〈バブル〉に太陽系が包み込まれ、地球の夜空から星々が消えた未来。病院から消えた女性患者の行方を追う元警察官のニックは、人類を震撼させる衝撃の真実を突き止める……。/密室からの人間消失の謎と、夜空から星々を消した〈バブル〉の謎を、量子論――波動関数の収縮――を軸にした論理のアクロバットで通底させたホワイダニットの快作。終盤のファンタスティックなカタストロフィが印象的でした。
イーガンの積読本一冊目。予想に反してハードボイルドタッチだった。題材がマクロな小説にしては珍しくキャラクターの造詣(主人公)に重きを置いていた。ギミックとしてのアイテムの値段などを逐一記述するのをリアリズムの追及と見るか、うざいと見るかは読者次第。疑似科学に偏りすぎた感はあるけど、作者なりの量子論の解釈が面白かった。量子論の基礎を理解するのにも役に立つ気がする。バブルメイカーの正体なんかはちょっとあっさりし過ぎてたきらいはあるけど、骨太な作品でした。
原本が1992年著。翻訳は1999年。「酔歩する男」とどっちが先なんだろうな。元にする理論は同じだけどやっぱり使い方がだいぶ違うなー。終わり方は割とよかった気がする
再々読くらい?「絵になる」文を書く作家というイメージ。何回読んでも、今まで追いかけてきた主人公が(事実上)リタイアするシーンでテンションが上がる。
冒頭の攻殻ちっくなサイバーアクションmeetsミステリな展開でときめいてたら、中盤以降のガチの量子論考察を下敷きにした展開でとても頭がくらくらしてる間にいつの間にかきちんと着地してたっつうか。正直拡散と収縮の関係とか解説読んでもなんとなく分かったような気がするだけだったのだけども、量子論とアイデンティティ絡めたネタはやはり良い。もっと早くに読んでおくべきだった。
★★★★☆ 量子論的問題を個人的な悩みや葛藤と上手く結び付けているのが印象的。「拡散」によってほぼ不可能な事象を可能にしていくシーンにワクワクさせられた。結末はやや強引な感が否めなかった。難解な世界観を解説で分かりやすく説明してくれている。 コメントする(0)
宇宙消失の
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