パイド・パイパー - 自由への越境 (創元推理文庫)
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パイド・パイパー - 自由への越境を追加
パイド・パイパー - 自由への越境の感想・レビュー(113)
★4/5 子どもにたいする大人の責任という、大変基本的な、でも一番大切なものを考え直した。自分のこどもだけでなく、大人はどのこどもに対しても責任を負っているのだ。戦争が、ごく普通の日常をじわじわと破壊していく様子もとても怖かった。
アメリカ人に対する意見が面白いなぁ。また、イギリスへ戻った時の感想も。解説の北上次郎さんがこの小説のテーマの一つとしたニコルさんの台詞って、今の日本にはないよな、きっと。
初・シュート作品。ひょんな事から子供を預かり、一緒に戦火の中を旅することになった老紳士の冒険小説。永い人生から得たハワードさんの忍耐強さやあの温かい眼差し、尊敬します。小さな優しさやたくさんの人との縁で動いていく物語。大変な旅だったけど子供達にとっては友達も出来て、素敵な笛を作ってもらった掛け替えのない思い出になったのでは。辛く悲しい思いをしていたハワードとニコルが出会えて本当に良かったです。戦争による多くの犠牲、前を向き生きる人々の力強さや善意の心、子供の無垢な笑顔がキラキラと眩しく印象に残りました。
主人公の英国老紳士の気概と責任感の強さが素晴らしい。なるほど「笛吹き男」とはそういう事か。ハワードが子供達の行く末を見届けられることを祈りたくなる。
冒険譚ではないのにハラハラし、派手な展開はないのにページをめくる手が止まらない 子どもたちが愛おしく、また馬鹿さ加減に納得する(子どもってこうなんだよね~) こんな年寄になりたいと思い、ただ長く生きているだけでなれるものではないと絶望する いい本を読みました
胸を打つのは『役立たずの余計者に甘んじることを潔しとしない彼らは欲求不満に陥り、戦争はますます老人の心を深く蝕む。』という主人公ハワード翁の回想に導入する処の重要な一句。出かけた動機も、そこから帰還する間に出会う物事もこれ以上なく具体的。非常時の日常とはこういうことなのだ。がんばろう、というスローガンよりハリスツイードのスーツをグレーのスーツにお着替えなさい、とアドバイスされることの大事さよ。安っぽい冒険活劇ではない。さすが、『渚にて』の作者。御見それしました。
いろいろ考えながら読んだ。各所に各国のお国柄の良いところ、ダメな所をおりまぜてあって、ニヤリとしてしまう。でもちょっとイギリス贔屓すぎるかなあ。あと、アメリカに対する期待と、期待される側のアメリカのポーズって今も空回りしながら継続中なのかなあと思ったりした。良き人間であるには何しろお金がかかるんだなというのも身に染みました。
子供達の奔放な振る舞いにはらはらし通し。ニコルとジョンのエピソードは微笑ましく、美しい。少佐の罵りに反論したニコルの言葉が胸に残った。p295l12
久々に、読んでよかったと思える本に出会った気分。派手さや意外性はないが、よく練られていて飽きさせない展開は素晴らしいと思う。良書
あくまで子供たちと対等に接し、長年の経験で培った忍耐力で困難な局面を切り抜けていくハワードさんがとてもすてきだった。最後の場面でははらはらしましたが、冷静に忍耐強く切り抜けていく様はとてもかっこよかった。とてもいい小説でした。
冒頭、クラブで出会った人物に、長い長い苦難の旅の話を聞かせる始まり方だったので、なんとか無事にイギリスに戻って来れたのはわかってはいたけれど、終盤ドイツ軍に捕らえられたシーンでは、このあとどうなってしまうのか心配でしかたなかった。戦争という、一個人ではどうしようもない状況で、自分自身も決して安全ではないのに、最後まで子供たちの事を考え行動したハワードさんが素晴らしい。
知恵と勇気と今まで築き上げた縁でもって、老紳士は故郷を目指す。小さな子供と老紳士、どうしたって危険な長旅には向かない一行の旅路。語り手である彼以外はどうなったのか?彼はどんな選択をしたのか?最後まで手に汗握る思いで読み進めた。
イギリスからフランスへ、1940年の5月というおよそ最悪なタイミングで釣りに出かけてしまった英国紳士(リウマチ持ち)が、ひょんな事から大量の子供をつれて、イギリスまで帰ろうと奮闘する冒険物語。主人公はおじいちゃんで、周囲を固める子供たちはまだ分別が付かない年頃という、書き手の苦労が忍ばれる組み合わせだけど、何とまあ面白い事か。この静かなはらはらどきどき感は初体験(ちょうどこの表紙の絵のような雰囲気)。ハワード老人とニコルを結びつけるよすがとなる出来事にからは『渚にて』にも共通する喪失の悲しみを感じる。
何か事件が起こるわけではないし、手に汗握るというわけでもないけれどとても上質な冒険小説。息子の恋人とのやりとりもいい。戦争で否応なく傷つく人々に勇気を与えてくれたことだろう。戦時中にこの本を書けるというのがすごい。
第2次世界大戦中、ドイツに占領されつつあるフランスでイギリス人の老人が子どもたちをつれてイギリスに出国しようとする話。特に派手なアクションがあるわけではないがドイツ軍の機銃掃射や爆撃の中、言うことをなかなか聞かず、しかもどんどん人数が増えていく子どもたちを上手になだめたりすかしたりしながらどうにかしてイギリスに向かおうとする主人公の忍耐と努力に感銘をうける。そしてクライマックスであるゲシュタポ幹部との対決は手に汗を握る。自分がヨーロッパの人ならもっと臨場感を持って読めただろうなと思うとちょっと残念。
今日は一章だけ読むつもりが先が気になってやめられず読了。ハワードの強い意志と忍耐に尊敬の念を抱いた。子供たちにはもちろん幸せになってほしいけれど、ニコルにも幸せが再び訪れますようにと祈らずにはいられない。映像化もされているようなので、ぜひ見てみたい。
面白いのですぐに再読した。高校以来何回読んだか。とにかく強いお話だ。ハワード老の強さ。ニコルの強さ。チャレントンの強さ。登場人物それぞれの、正しいかどうかはさておくとしても、確固とした認識の強さ。そして最も強いのはやはり子供だったね。美しい老人小説。高校の国語の時間には、古典も漢文も現代文も必要だけど、海外文学の時間も必要だと思わせる一冊。とにかく読め。
ドイツ占領下のフランスを、子供をつれて旅をする70歳のハワードじいさんの責任感がすばらしい。数々の苦難を、人間のつながり、それからハワードじいさんの人間力で乗り越えていく。
お薦め。子供の無邪気(わがまま?)な行動に、大人が苦心して守ってきたものが、ご破算してしまうのかどうか、心臓に悪い。我慢より面白さが際立つのはさすが。戦時中にこれを書いたのがすごい。ネビル作品もっと翻訳されないかな。
ドイツに日々占領されてゆくフランスからイギリスへ帰還する…それも老人一人で。それだけでも大変なのに、成り行きで年端も行かない子供たちまで保護することに。電車は止まる、行くはずだった町は既に占領下、子供達は発熱し、物を忘れ、空腹で泣く。ついにはドイツ軍に拘束されてしまう…子供の無邪気な一言によって。戦争が弱いものたちをどういう状況に追い込むのか、子供達のエピソードが胸に迫る。それにしても主人公のハワードさんは辛抱強い。真のジェントルマンとはこういう人を言うのかもしれない。
老人と子どもらの逃避行。切迫した状況を淡々と描いていますが、飽きのこない展開。
物語としてのおもしろさはもちろん、
戦時下にかかわらず、思想的なことを織り交ぜず、決定的な「悪人」もいない作品が世の中に出せることのできる土壌について考えさせられました。
読者に希望や勇気を惜しみなくもたらしてくれる作品を見つけてしまった。戦地でMr.ハワードがいかに困難に向き合い、内なる自分に問いかけ、また人々の善意を呼び起こし、機知を働かせて旅に挑んだか思い返す度にもれなく泣ける。
子供嫌いが読むと多分「こっのクソガキ!」ってなる。わたし、なりました。ハワード氏の見捨てておけないって感覚と、そこに対する責任感に惜しみない拍手を送りたい。いまいち、陸地でつながった隣国との戦争とその時の国民感情が、腑に落ちないのだけれどそれはきっと日本が島国で、とりあえず一国内完結している文化で育ったからなんだろうなあ。大戦中のリアリティや、戦況について学んでから読み返したらまた違った発見と感慨を得られそう。
ハーメルンの笛吹を題材にしたナチ占領下のフランスからイギリスへの逃避行の冒険譚。もっとも主人公が老人なので血湧き肉躍る活劇はありませんが、それでもスリリングな感じは充分味わえました。
ハワードさんの筋の通し方はとても好きなのですが、普段子どもまみれで生活しているもので、読んでいて気分転換にならないのですよね…。熱出したとか忘れ物しちゃったとか、一つ一つの小さなエピソードも微笑ましいというより「…またか!」という気分にさせられてしまって。第二次世界大戦の頃のお話なのに、個人的には時間を飛ぶリアリティが有り過ぎました。あっ、でもいい本ですよ。本物の「善き者」とはどのように振舞うのか、と考えさせられます。
英国人の作者がこの作品を1942年に書けてしまうバランス感覚と矜持に感嘆。国同士が存続を賭けて戦う大戦の中、各々が「こんな時、人は自分の国にいなくてはいけません」と責務を果たさんとしつつ、争いそのものの悲惨さを痛感し、それらと関わりない幼い子供たちをその災いから遠ざけたいという思い。その責務と子供たちへの思いにおいて、英国民の老人や、瓦解した国際連盟の職員や、ドゴール派のフランス人漁師とも重なるものを、ゲシュタポの少佐にも認める眼。これが大人、これが紳士か。凄い。
相楽(twitter:sagara1)
他にも気持ちのいい台詞が実に多い作品。例えばこれ。「ニコルは昂然と顔を上げて、低く言った。「何と言おうとそちらの勝手です。夕焼けを下品に言うことはできます。でも、夕焼けの美しさは変りません」(p295) しかし、更に気障でかっこいい台詞といえば、プロローグでのこのやりとりだと思うわけで。「「帰りは何かと大変だったでしょう」「いや、それほどでもありません」」(p15)
ナイス!
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05/09 01:59
他にも気持ちのいい台詞が実に多い作品。例えばこれ。「ニコルは昂然と顔を上げて、低く言った。「何と言おうとそちらの勝手です。夕焼けを下品に言うことはできます。でも、夕焼けの美しさは変りません」(p295) しかし、更に気障でかっこいい台詞といえば、プロローグでのこのやりとりだと思うわけで。「「帰りは何かと大変だったでしょう」「いや、それほどでもありません」」(p15)
ナイス!
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05/09 01:59
相楽(twitter:sagara1)
実にもう、呆れるほど見事に英国紳士だなぁ、と思わされる作品。当然、独特のユーモアもたっぷり。そして手に汗握りつつ次のページへ、その次へと読み進めずにはいられない、冒険小説としての愉しさに満ちた小説でもある。大傑作との評を聞くことが多く、つい先日新訳版が出た『渚にて』も読んでみようと思う。米澤穂信を作った「100冊の物語」」関連その14。
ナイス!
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05/09 02:10
実にもう、呆れるほど見事に英国紳士だなぁ、と思わされる作品。当然、独特のユーモアもたっぷり。そして手に汗握りつつ次のページへ、その次へと読み進めずにはいられない、冒険小説としての愉しさに満ちた小説でもある。大傑作との評を聞くことが多く、つい先日新訳版が出た『渚にて』も読んでみようと思う。米澤穂信を作った「100冊の物語」」関連その14。
ナイス!
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05/09 02:10
老人の活躍する話って大好き。活躍といっても派手な立ち回りは当然ムリ。彼はその長年培われた知恵と忍耐を武器に、戦時下のフランスを子供たちを引き連れ突き進みます。若いもんにゃマネできない年の功です。渋いねえ。
パイド・パイパー - 自由への越境の
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