綺譚集 (創元推理文庫)
綺譚集を読んだ人はこんな本も読んでいます
綺譚集を追加
綺譚集の感想・レビュー(243)
絶品。とか言いつつ実は最初の「天使解体」のスプラッタな描写が読めずしばらく放置してしまったのですが…。「玄い森の底から」が凄まじかった。眉をひそめて読み飛ばしたくなるような苦手な描写が本っ当に多いんですけど、一言一句読まずにはいられなかった。多分、ストーリーだけを引っ張って映像化やらコミカライズやらすることはこの作品集のどの作品においても無意味なのだというような、そういう、文章としての凄みを感じます。個人的好みでは次点脛骨。夜のジャミラ、アクアポリス。古傷と太陽辺りも好きです。
美しき異形。透明なのに官能的だったり、純粋なのに(純粋だから?)狂っていたり、ありとあらゆる二面性が魅惑的。映像的どころではなく、脳髄の奥の奥に直接訴えかけるような文章に惹きつけられて、澄んだ底なし沼にはまってしまったかのように抜け出せなくなった。自分の周りの空気すらがらっと入れ替えてしまうような力強さ、すばらしかったです。
妖しくも綺麗な文章で綴られる十五のお話。濃厚過ぎて酔ってしまいそうな一冊。読んでいる間、とにかく不思議な感覚。言葉にするのは難しいが、夜と闇と、生と死と、彼岸と彼方、混沌…というか。津原さんのこういう雰囲気の本が大好物です。美しい文章から漂っている、甘美な誘いが聞こえるような。この雰囲気に呑まれて堕ちてしまうのも素敵なことだろうな、とか。そして一気に読んでしまってから思う。これは聖なる夜に読む本ではないなと。否、逆にこういう日にこそ読むべきものだったかも。久々の読書に大満足。しかし部屋が寒くて仕方ないっ−
一話目の「天使解体」のグロさに(これはだめかも…)と思ったが、「夜のジャミラ」や実在した画家、村山槐多を小説にした「赤假面傳」で持ち直す。でも全体的にエロはあまり…だった。広島弁が出てくる「サイレン」「アクアポリス」が気に入った。
胃袋がキリリとなり、活字が眼球をとうして直に内臓に飛び込んでくる。優麗壮美な言葉の山に埋もれ、堪能する。装丁も中身にあっていてグッド! ★
鏡花風に異界への入口を設えたりしてるけど、猟奇や狂気を描きたいだけじゃないのか。勿論、ノスタルジーや笑いや乱歩っぽさを織り混ぜて、ちゃんと物語に引き込ませる作りにはなっているので、各話結末のぶった切り方はあんまり好きじゃないけど(悪夢っぽいと言えなくもないが)、いま奇想の最前線に居るのはこの人なのだと思い知らされた。ジャミラ、玄い森、聖戦、約束あたりが好き。長編も読んでみたい。
客観的にはグロテスクだけど主観的にはせつない状況ってのが確かにあって、そのせつなさのほうが伝わってくるのは文章の力なんだろね。特に広島弁で書かれたものが何回読んでも心地好い。
血のぬめりも内臓の鮮やかさも人間の脂の輝きもこんなに美しいとは。いや、津原泰水この人でなければこんなに美しくない。一行ごとに脳みそが変容していくような、そんな読書体験。何でそっちの世界にいけないの。「天使解体」「夜のジャミラ」「黄昏抜歯」が好き。
表紙を開き"散策の途上で出会った少女が美しく解剖されるまでを素描する「天使解体」"と読んで購入決定。単にエログロ、残酷という言葉だけでは表わしきれない独特な雰囲気が味わえた。物語よりも文章、文体そのものの美しさによって次へ次へと読みたくなる。贅沢な短編集だと思う。
「ブラバン」や「たまさか人形堂」を書いた人が、こういう話も書くのだ。このギャップに驚いた。なんせ、幽霊やら人殺しやら、そんな話ばかり。こういう話、嫌いじゃないけれど、予想と違っていたので、少しばかり疲れた。
やはり文章が素晴らしいと思う。使われている言葉はもちろん、漢字、句読点、改行に至るまで精緻が尽くされている。読んでいる最中は頭に直接イメージを流されているような、魔術に掛けられているような錯覚があるのに、一旦立ち止まって一言一句確かめると途端にぎこちなく思えてしまうような。こんな文章は私の浅い読書歴では他に思い付かない。「美しい話だ」で始まる「約束」が本当に美しい話で溜め息が出た。眉をひそめてしまうような残酷で淫靡な話が多いけれど、美しいは汚い、汚いは美しいというシェイクスピアの言葉のような短編集でした。
怪奇譚恐怖譚を読みたいと思いつつ、エログロに傾くものはうんざりげんなり勘弁願いたいのが我が嗜好だと再認識させられた作品集。収録作の水準が高いのはよくわかるのだがちょっと御遠慮申し上げたいものばかりこれでもかと襲い掛かってくる印象で、速読な性質でありながら読み切るのに思いの外時間を要した。そんな中で「夜のジャミラ」 「アクアポリス」 の二篇には惹かれる。前者はじわじわとにじり寄る恐ろしさ、後者はからりと乾いた怖さが素晴らしい。
どの短編も読んでいて胃がきりきりして、手足がむず痒くなるのだけれど、読むのが止められない不思議な魔力がある。残酷さをどこか美しいものに変えられるのは物語の特権だと思う。でも、この小説に登場する人物が現実にいたらあまりお近づきになりたくはないけど。
あとがきにもあるけど、最初の短篇を「天使解体」にしたっていうのが凄い。踏み絵みたいに、この本への好悪を試されてる気がする。嫌だと思いつつ目を逸らすことができずにズブズブと底無し沼に引きずり込まれるような短編集。それぞれが異なる濃厚な味わいで、短編集苦手な自分でもぐいぐい読まされてしまった。単行本発売の時に装幀の凝り方が話題になって知った本。
短編集「11」から遡って読みました。残酷な中にもクスッとしてしまうユーモアがあったり、いろいろな側面が見られる一冊。「玄い森の底から」は、最後の描写が圧倒的で、怖気と陶酔って紙一重だなあと感じました。
『ドービニィの庭』『玄い森の底から』『赤假面傳』が特に好き。ピンと張りつめられた銀色の細い糸みたいな微かな緊張感が文章中に漂っている。構成も文体もうつくしい
文章が美しい。物語を生かすために練り上げられた文章というイメージ。話としては、『脛骨』が1番好みだが、他にもよい作品が多かった。
血と臓物、死と性に塗れているが、美しい。オフィーリアや九相図といった古今東西の美しい死が、装飾の施された文体の棺桶に納められている。
その名の通り、美しくも"奇"譚な物語を集めた短編集。どこか無機質で読者を寄せ付けない冷えた雰囲気があるのに、一つ一つが濃厚で絡みついてくる。ホラーやミステリといった特定のジャンルに絞ることは難しいです。残酷でありがながら純粋で、そこにあるのに見えないような不思議な感覚がありました。個人的には「玄い森の底から」「聖戦の記録」「古傷と太陽」「隣のマキノさん」が好きです。ただ、自分が苦手なだけかもしれませんが、妙に動物虐待の描写が生々しく感じました。そこがまた良いところなのですが、個人的には少しマイナスです。
本日読了。色彩絢爛な油絵を連続で何枚も一気に目にしたような印象。ここまで油絵具の香りがするような。個人的には赤仮面伝(携帯からは難儀なので新字で)と、ドービニイの庭でが好み。美に取り憑かれた狂気がなんとも。
「黄昏抜歯」親知らずの治療を契機に選択の余地なく遡り蘇る心と歯に在る、或る記憶。心の被る痛みを伴う記憶を歯痛(患歯)に転嫁する生き方は既に自動化されその無機質さゆえの違和感に包まれたまま読み終える。読み手が割ってはいる隙のなさにフィクションとしての完成度の高さをみるが同時に自由を奪われたような窮屈さも感じた。
一見、幻想めいた裏のさりげなく鋭い毒にとらわれてしまう短編集。好みだったのは自殺した男の子の不思議な語り「夜のジャミラ」(ちゃんとした決着が意外)、まさしく美を啜ふ悪魔の「赤仮面伝」(旧仮名遣いや昔の文体の再現が非常に上手い)、馴染みのホステスの骨の話「脛骨」(何故か綺譚なのに良い話に思えてしまう)、ある男の傷口は恐怖への入口「傷口と太陽」(百物語調で最後の一言に鳥肌)。この他では公園に集う老人達と犬の飼い主の対決「聖戦の記録」が妙に筒井康隆風でこの作品集の中では異色だった。
グロテスクで美しい濃密な死の香り。短編集だからどこで止めてもいいのに、止めることが出来ずに最後まで読み切ってしまった。最後の二行で全てをひっくり返す「約束」たった8ページなのに鮮烈な印象を残す「アクアポリス」、「ドービニィの庭」は一緒に緑色に狂わされて溶けていってしまいそう。これはちょっとすごい本だと思った。
綺譚集の
%
感想・レビュー:100件














ナイス!
































