秋の花 (創元推理文庫)
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秋の花の感想・レビュー(657)
円紫シリーズの流れを無視して、前作を読まずにいきなりこの本を。読みながらミステリというより、青春小説として楽しんでいたが、ラストの真相には瞠目。現代の学園ものとは一線を画すミステリであり、不思議と温かい気持ちになる読後感だと思う。
★4 再読。このシリーズ初の長編であり人が死ぬが、その真実は実に切なく哀しい。自分のせいだと他人に責めてもらいたがりながら、二人のやろうとしていたことを隠そうとする矛盾。彼女は救われたのだと祈らずにいられない。事故とは簡単に片付けられないやるせなさだけが残る。描かれる「私」の住む街の風景は、読者である私の親戚が住む街に近いから想像に易しい。デパートの吹き抜けの喫茶店は多分あそこだ。景色が思い浮かぶから余計に切なくなるのかもしれない。
円紫シリーズ3作目であり、長編であり、そして津田真理子が屋上から転落死した。。前2作と比べると、ずっと悪天候で晴れが少なかった気がする。物語を通して、「雨」がとても印象的だったし。いつもの私と正ちゃん・江美ちゃんのやりとりが穏やかな一方、真相に近づいて「見えざる手」の伏線の答えが分かった途端に驚いた。「許す」のではなく「救う」という意味が重くて切ない。。
「鷺と雪」読後、気になって大学時代に読んだ本を再読。北村薫先生の作品の中では死体もでますし、重たいと思います。最初に書かれた「母へ」の意味が、最後にわかります。このときも、弾かれるような気持ちになって話が終わり、だから「鷺と雪」の後、思い出したのだと気がつきました。
前作、前々作とはまた毛色が少し変わって、学園もののような雰囲気もあり楽しめました。全ての謎を解き終えた後、どうするのかは、難しい問題だと思いました。
北村薫の第三作目。なんと日常の謎を題材としているシリーズかと思うとこの作品は人が死ぬ。少女が屋上から転落死した謎を解き明かす。相変わらず北村薫の描写は上手い。そして少女の死の真相は予想以上に重たく切ないものでした。読んだ後に一ページ目を見返したら驚きました。
私と円紫師匠シリーズ第三弾。シリーズ初の長編。フロベールも野菊の墓も未読、落語の知識もさっぱりない自分ではありますが、このシリーズ大好きです!正ちゃんの「生まれてこなかったら死にもしない……僭越だよ」の凛々しさ。漢語使いの龍麿の耳食。そして円紫師匠の鋭い推理と滲み出る優しさ。重たい事件だったけど読後感爽やかです。
謎解き後の円紫さんを見て、「私はその背中を見ているうちに分かった。ここまでの謎を解くことなど、実は子供の遊びのようなものなのだ、それからどうするかの方が、遙かに難しい本当の問題なのだ。」と《私》は思う。ミステリーは「誰が犯人か」で始まり「お前が犯人だ」の宣言で閉じられる世界だと言われることもあるけれど、本当はその後も世界は続いていくものなのでしょう。
再読。シリーズ初の長編。真相が明らかになるまでに、いろいろな想像をしながら読んだが、明らかになってからは、それしかないなという内容。その後のエピローグで残された人が救われたと思う。
この巻だけ、表紙にかげがさしているのに今回読み終わってから気付いた。「自分でそうするような理由」というところに、「ひとがた流し」同様、死に対する表現のこだわりを発見。
毎回思うけど、なんだか「私」の周りは、さっさとなくなってしまうような人と人とのささいな関係も途切れずつながっている。切ないけれど救われた終わり方だったと思う。本編の流れと関係ないけど、円紫さんの「いつか連れてくる誰かはこの道をどの道より素敵に思う」という言葉で私も「私」と同じようにしびれた。
再読。シリーズも進んでくるとマンネリになったりいつもの感じね・・・と思ってしまう部分をがっつり裏切られた。なんだかやりきれない部分を円紫さんに癒された。
ミステリを読んでるのに謎解き部分以外に目がいっちゃうのは自分の悪い癖だと思う。それだけ日常の描写が優れているということなんでしょう。今回は前作までとは違い人が死んでしまうが、それでも作品に漂う優しさや切なさは健在。特にラストは救済を祈らずにはいられない。そしてそれはきっと果たされるのだろうと安心もさせてくれる締めだった。
“見えざる手”の事件の真相にぞくっとした。けれど救いがあったと信じたい。冬に向かう秋の冷たさや淋しさが感じられる話でした。
以前も登場した「私」の後輩たちにこんな形で再会するとは…今回は死の真相をめぐる長編なのでちょっと重かったけれど、犯人探しや動機探しがカギではない。事件のすべてが分かったあとのエピソードが胸を打つ。円紫師匠の出番が少ない分、その存在の大きさや温かさがよく伝わってきました。
北村薫「秋の花」読了。真理子の死の真相は読者である私にとって苛烈だった。でも救いがあった。その救いの在り方に救われた。真理子の母の凛とした姿、真理子の親友の利恵を見守る【私】や円紫さんのまなざしはどこまでも今を尊び未来を諦めない強さと優しさと厳しさを内包している。でも前作の方が面白い。
のどかな雰囲気のため、事件の結末があまりに残酷に思えてぞっとする。またテーマが重すぎて、最後あたりの円紫さんの言葉が何かきれいすぎるように感じられた。ミステリー小説の枠の中で描くにはテーマが大きすぎて、消化不良の感があるのが残念。凄い小説だとは思うのだけど、何か違うような気がしてしかたない。
久しぶりに正統派推理小説を読んだという気がする。 事件解決の本筋とは直接関係のない〈私〉をめぐるちょっとしたエピソードがときどき挿入されるところで、機能的に洗練されすぎた最近のミステリーとは一味違う、小説らしい成長譚にもなっている。ジュリアン・バーンズの「フロベールの鸚鵡」など小道具はかなり高踏的だが、若い読者の意識を広げるという意味ではそこがまたいい刺激になるのだろう。ある種のリアリティを求めて露悪的になりがちな現代的作家の作品群とは一線を画す節度が好ましい、と思うのはこちらが年をくった証拠か(爆)。
シリーズ初である長編のためか、円紫さんの出番は少なかった。だが、大事なところで大切なことを言ってくれる、その優しさと人としての強さが映えていた。
今作は前二作と異なって、抵抗・対抗することが不可能な存在の悪意(それが本当に存在し、能動的なものであると仮定して)が働いていて、怖さではなく、無力さを感じた。
長編。初めて死者の出る話。「許す」ことと「救う」こと。切ない事件と庭の秋海堂の花が印象的。永井荷風の「断腸亭日乗」や、「野菊の墓」など読みたくなった。【ネタバレ注意】全部読み終わって、最初のページに戻り、一文目にドキッとした。ヒントがこんなところに!。秋に読めてよかった。
再読。シリーズ中、この話だけちょっと毛色がちがう。紙一重のやりきれなさ、祈りと救い。秋の落ち着きと物悲しさに似合う物語です。
このシリーズ全般を通じて言えることだけど、謎を解決して終わりではなく、解決してからどうするのか、というところまで手抜きなく描かれていて良作。
シリーズ初長編。<私>の後輩の女子高生二人。<夜の蝉>でお隣のトコちゃんを夏祭りに連れて行ったときに行きあった二人なのだそうだ。そんな話を聞かされると感情移入せざるをえない。謎は一つで長引かせすぎっていう気もするけれど、利恵の悲しさや動揺を思うと。。。そして正ちゃんと江美ちゃんと野菊の墓ツアーも読めてよかった。近いのに、行ったことないなぁ。静かで、いい話です。
円紫師匠と私シリーズ。今回は長編です。 とても切なく悲しいお話でしたが、最後の最後で救ってくれる北村さんには心の中で喝采です。 厳しい現実を解き明かすだけでなく大きな優しさで包んでくれる。大好きな作家さんです。
答えは「おっぱい」やと思ってしまいました。ドンマイ自分! 今回は長編なので円紫さんがなかなか出てきませんでした。それと主人公の《私》に対して「仕事放っぽらかしてドコ行ってんねん!」って思ってしまいましたが、警察でも探偵でもないので多少じれったいけど仕方ないですね。 ラストはチョットだけ「エロっ!」って思った分(?)、揺り戻し効果で胸が締め付けられた。泣いてないけど泣きそうや。セツナイなぁ。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(0)
- 06/18
氏の本を読み終わって先ず思うのは「凄い」でも「面白い」でもなく只管に「好きだなぁ」という素直な気持ち。円紫さんの言葉、『私』達少女のリアルな心象風景(決してフェミニズム的な女性に対する幻想や理想の押し付けでも決め付けでもない)、読書の喜び、風や雨の音、花や服の色、深く深い哀しみ、或いは生きる事の残酷さや相反する美しさや優しさ。氏の描く全てが好きなんだ
円紫さんと私のシリーズ、初の長編であり、死者が出る事件。円紫さんがでるまで、「私」が後輩のために疑心暗鬼しながら人力するけれど円紫さんは話を聞いてすぐさま見抜くなんて。謎解きは見事にでした。「許す」と「救う」を語る円紫さんと、津田さんのお母さんの一言に息がつまったラストでした。秋海棠のおままごとの微笑ましさと事件の顛末は、花の可憐さと由来のギャップと同じように感じます。このあとがきっとまたつらい…
秋の花、秋海棠、人を思って泣く涙が落ち、そこから生えたという花。津田さんのお母さんが、ずぶ濡れになった和泉さんの洋服を無言で取り去っていく様子を読んで、もう胸がいっぱいに。「救う」ひとは一人じゃなかったんだ。
シリーズ初の長編。初めて死者が出る事件だが、日常の謎として読めた。解決までのピースの提示がうまかった。長編だけあって、登場人物の描写が充実しており、引き込まれた。
【誰か】が出来たとき、自分の歩いた道を教える。また逆に、その【誰か】の生まれた町に行ったら、ここはどこの道より素敵だ。町は輝くに違いない。そんな想像を贈ってくれる人、本書に出逢えて、幸せだな。と感じた。この文だけで救われます。
長編になるとテンポ的にはなんだかね、短編での素晴らしさが分かった気はするけど。人間を待ち受ける運命を、例えどうあろうと、受け入れねばならぬのだろうな。
心地のいい閉塞を、自らの手で、望まずして断ち切ってしまった少女のお話。彼女はこれから、ひとりで、もうひとりの彼女の重みを背負って生きてゆかねばならない。あるいは、生きてゆくことができる。それは絶望でもあるが、希望でもある。ところどころに挟まるエピソードが粋、トランポリンとか散歩とか。
今回は日常の謎ではないし、しかも長編。円紫師匠も後半の終わりの方にならないと登場しない。明らかになった謎も厳しい現実である。ただし、本作品は謎の解明で終わる訳ではなく、その後の話が本当に重要なのだと心から思う。この厳しさと優しさが北村薫氏の小説の好きなところである。
秋の花の
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