水辺にて―on the water/off the water
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水辺にて―on the water/off the waterの感想・レビュー(148)
物語の予感がするエッセイって、好き!一つの場所や一つの言葉から、こんなにも豊かにイメージが広がってゆくこと。そしてそれを、言葉として掬いとってゆくこと。水のある風景・植物・鳥・空…どれも好きだし、梨木さんの紡ぎ出す文章が私にはしっくりなじむので、楽しめた。予期せぬ収穫もあり嬉しかったのは、『家守奇譚』の中でも印象的な、最終章の「湖底の夜会」の場面。その誕生の秘密(?)を知ることが出来た。なんか嬉しかった!
世界を、透明にどこまでも分解していく梨木さんの眼と思考を追体験できる。エッセイというよりは随筆と呼びたい。一つ一つの問題提起を自分で受け止めて考えないと凄さが半減するので読むのに気力、体力がいる。研ぎ澄まされ、選び抜かれた文章は美しくてすばらしいが、個人的には、日常の温かさに包まれるような初期の作品の方が好き。
読みながら、気づくと深々と物思いに沈んでいる。という状況を何度となく繰り返しながら読了。本を読みながら考え事をしてしまうこと自体は珍しくないけれど、この人の文章は一際そういう回路を引き寄せやすい不思議な磁場を持っている気がする。筆者が、完成された論理でなく、磨き上げ整えられる前の生の思考を晒しているからだろうか。
釧路川でカヌーをするので、その前に読了。けしてカヤックに終始したエッセイというわけではなく、水辺にまつわるもろもろについての想いをつづったものだった。児童文学やイギリスなど梨木さんを形作ってきたものをからめながら語られる水辺の物語は、どこか透明で、清涼な雰囲気をたたえている。このエッセイから派生してまた読みたいものも増えたし、釧路川も楽しめそう。
水辺にて思索を巡らすエッセイ。「自然の造形に物語性を感じとる質かもしれません」との著者の言葉に期待したけど、自分には合わなかった。天候を無視してカヤックに乗り、装備なしに森に出かけて迷う、これでは著者言うところのキャッチ&リリースのバス釣りや、現実的ではない武術と同じよう。時々アウトドアレベルで「生命は儚い、けれどもしたたたかだ」と説くのはどうかと思う(いい言葉なんだけど!)。
エッセイというカテゴリだけれども、物語を読んでいるよう。清流のように美しく紡がれる文章で、サラリと読めた。カヤックは持っていないけれども、静かな湖畔に行ってみたくなる。
ページを捲っていく毎に、紹介される湖沼の中を浮かび漂うような感覚に陥る。読者にとっては非日常にも成り兼ねない日常を、ごくごく当然のこととして描き出せる筆者の力量は流石だ。内容を素直に楽しんでいくのも良いが、文章一つ一つの音を確かめながら読んでいくのも良いだろう。
カヤックって言葉を初めて知りました。わたしは超インドア人間なので、「やってみたい!」なんてつゆも思わなかったが、作者がこれを楽しんでいることは、よく分かる。お堅く、正しい感じのエッセイだなぁと思いました(普段読んでるのがゆるめな感じが多いので…)。
カヤックが欲しくなってしまうから、そうなると困る人は読まないほうがいいかもしれないw この人は世界をこんな風に見ているのか、時間や人生とこんな風に向き合っているのか、ということがよくわかってとても面白かった。うらやましいとも感じた。
すごく綺麗。正直カヤックとか、自然とかあまりじっくり興味を持って見ていたことがなかったんですが、すごくいいものだと何となく感じました。どこか違う時間の流れを旅したような感覚になりました。
カヤックに乗りながら、水辺で読みたい本ですね。読んでいると、水の音が聞こえてきそう。物語を「読み込む」というのが、いかにも梨木さん、て感じで素敵。水辺とかの境界に惹かれる気持ちは、なんとなく分かるかも。いつか死ぬときは、土にも還りたいし、川や海にも還りたい。水辺は、いつか還る場所と思っているのかも。誰か散骨してくれないかな(笑)
エッセイでありながら、一つの物語のような印象。
日常でありながら非日常的なものを感じる。
彼女の文章を読んで、改めて日本語の豊かさ、美しさに感動した。
?水辺にて″自在に陸や空や水底へ思いをはせ、時には水没したダムにて昔を思い原生林にて太古へ外国へと、確かな知識に基いて美しく描かれている。物語が始まる瞬間を集めた感じ。素晴らしい水彩画のようなエッセイ集でした。
カヤックを通じてのエッセイなのだけれども、なんというか、自然の息づいている感じを美しく描き出している作品だった。何が書いてあったとか、どうでもよくて、その感覚が美しい、というそんな感じ。イギリス、アイルランド、そして日本の、とりわけダム湖の話はぐっと来た。梨木さんの本、『エフェンディ』とか『西の魔女』とか『家守綺譚』とかの描写力と通じるところっていうのは感じる。
この随筆を読むと、梨木さんが誠実な人なのが伝わってきます。ファンタジーをよく書かれますが、その誠実さが災いしてか架空の世界を描くのはちょっとぎこちなく思えるところがあるので、それよりもこういうリアルなものを書かれた方があっているような気がします。植物の描写が目に浮かぶように生き生きとしているのが印象的でした。
あまりにも美しい風景写真を見たときと同じように、ここに描かれている静けさに満ちた湖畔や森の風景を想像するだけで、なんとなく泣きそうになってしまう。梨木さんの文章にはエッセイや小説といった境目はなく、ただ物語だけがそこにあるという印象。
これは、すごい。梨木節全開!!この人の作品は本当に静かで美しく、静かな湖面のように穏やかだ。風は吹いてくるけど音はしない静謐な世界につれてってくれるんだ、いつだって。いい作品に会いましたなー。装丁のボードが梨木さんのボイジャー号だったらなおよかったのに。これ一人乗りじゃないよね?
ああ…感無量。この美しい言葉たちを自分のそれで汚すのは不敬なのだが。澱み、濁り、異臭を放つ心に、清冽な風が吹き抜けた。水辺は無理にしても、騒々しい静寂と静謐な自然の大音響を身体に感じるため、森に入りたい。たとえ魅せられ惑わされて現世に戻れなくなっても。
カヤックで湖畔へ向けていそいそと漕ぎだそう。さあ、素敵な光景が待っている・・。水辺にまつわるエッセイ。カヤックを漕ぐ時の息遣いや水音が聞こえてこないのが不思議なくらい、静けさに満ちていました。梨木さんのフィルターを通すとこんなにも情景を鮮やかに感じることができるのかと実感。自分にそのカケラさえないことが悲しいけど、エッセイを通じて梨木さんが感じたことを少しだけでも追体験できたのが嬉しかったです。あぁやっぱり梨木さんが好きだなぁ。★★★★
水のように、流れる、たゆたう、つかめなくて、もどかしいところから、丁寧にひとつひとつ、物語を紡いできて、またそうしてゆくんだんなぁ。ゆったり一篇一篇大事に読みたいエッセイでした。借りものですが。梨木さんのエッセイ初読みでしたけれど、梨木さん自身実にファンタジックな方なのだなぁと感じました。【図】
静かな川面から立ち上る靄、その中をゆっくりと滑るように進むカヤック。タンクを背負って海に潜る時のように『異世界へ侵入する』という気持ちにはならない、陸と水の境界線上に浮かぶ静かな乗り物。ゆっくりパドルを操作しつつ、作家は今目に写っているものから世界で起きた出来事へ、そして自分の中へと思考を巡らせる。静謐で透明な文章はエッセイとして綴られながら、物語の欠片を掬い上げていく。彼女の小説がこういう経験に根ざしているのだと思うと、改めて再読したくなる。猛暑の中、涼やかな文章は一服の清涼剤になった。
きっと梨木香歩にとって、「じぶんとは違うものと一緒に生きること、理解できずとも受け入れること」は大きなテーマの一つなのだろう。相手が人間であっても、もっと別の何かであっても。どこか非現実的な雰囲気を持つ「春になったら苺を摘みに」と比べて、かなりエッセイらしいエッセイ。「沼地のある森を抜けて」などはこれを読めば大分わかるのではないかと思うが、当の「沼地」より出来はいいのではないだろうか……。
梨木さんの作品は現段階ではこの本を含めてまだ4冊しか読んでいないんだけど、物の見方、感じ方、そしてそれを表現する際の言葉の選び方にものすご~く親しいものを感じます。 上橋さんの作品に関しては「参った!」っていう言葉が相応しかったような気がするんだけど、梨木さんの作品に関しては今のところ「参った!」という言葉よりは、「うんうん、わかるわかる。 あ、やっぱり? あ、そうそう、KiKi には見つけられなかった言葉だけどそれよ、それ!」っていう言葉が似合うと言うか・・・・・・。
梨木のエッセイは彼女の小説の良質なサブテキストとなることが多い。むしろ、彼女自身がエッセイを書くことにより書いたものを噛み砕いていこうとしているように思える、『家守綺譚』の主人公のように。この水脈をめぐるエッセイを読むとやはり私達はなぜ『家守』の世界の消失点が湖に設定されたのか今一度たちかえることになる。つまり、私達は高堂の立場から『家守』を読み直すことになる。そういう小説とエッセイの淡い境界線と相互作用がなんとも梨木的であり、『家守』的でもある
カヤックを通して触れ合う自然や人への深い親愛と考察。異国の地、森の中、湖畔に生きる動植物たちの圧倒的で詳細な描写。世界の諸問題から少し距離を置き、現地点から静かに五感をすまし思考を広げていく。他のエッセイと比較して自己との対話や身辺の出来事に重きが置かれる分、より静謐で穏やかな印象。「弱くて臆病な人間にこそ、見える景色があり、持てる勇気がある」「この循環の一部になりきればいい」「諦めと同時に限りない安らぎになる」紡ぐ言葉が波紋のようにゆっくりと広がり、そっと心の奥へ収まっていく。
梨木さんにとっては、エッセイと物語の境目はフラットなのだと感じた。彼女の小説にひきつけられるのは、やはり、その中に創作の感情や薄っぺらい虚構でなく、彼女にとっての真実が書かれているからだと、あらためて思った。
英国湖水地方、アイルランドの荒涼とした僻地から琵琶湖(の辺り?)北海道まで、組み立て式のカヤックに揺られ つつ古より水辺の地方に伝わる物語や、その地に関する想いなど語ってゆく。 フィジカルな、スポーツとしてのカヤックではなく、表紙の写真と同じような静寂なイメージのなかで展開される さまざまな話は、まるでめまぐるしく変わりゆく世界のなかにぽつんと浮かぶ小舟のような筆者ならではのものだ。
カヤックと聞いて渓流下りの荒々しいものしか知らなかった知識不足の私には、冬場にカヤック、というのが意外でした。雪がちらつく中カヤックに乗ってゆっくり自然を楽しみながらココアを飲む。そんな静かで文学的なアウトドアなら私も体験してみたい。でも、梨木さんだからこそ、体験を素敵な文章に変換できるのだと思います。なんだか梨木さん自身がイギリスの童話にでてくる女の子みたいでした。
梨木香歩さんの目を通すと世界は、日常は、自然はどんな風に映ってるんだろう。どんな事を思うんだろうって、よく思うのですが此方ではカヤックを通して、そして訪れた場所を通して「梨木香歩さんの目に映ったもの」を垣間見せて貰えました。創作に関しても、こんな瞬間に梨木さんの中で物語が生まれるんだ、と。親しみを込め畏怖を込め、真摯に見つめ受け止める目線を通して、たくさんのことを語りかけてくれる様でした。これを読むと既読作品達にはもっと気づかなかった奥に潜むモノが在ったんじゃないかって気がして改めて再読したくなりました
カヤックにのって水面からながめる水や木の表情をかたるエッセイ。もちろんそのテーマは水とその底にある引き込む力とかそういうったものなのだけれど、素直に表情を語る文章が魅力的なので、そちらの方に惹かれる。
カヤックに乗っている人の話しをはじめて聞いた感じ。水鳥とかが近くにいても逃げない、というのを読んで面白そうと思った。作品と違い、このエッセイでは体験をなんとかオリジナルな文章に託して伝えようという姿勢が見えます。でもこの人の根源は、あくまでイギリス的なところにありそう。
自然と一対一で静かに相対している著者の様子が目に浮かぶよう。自分の知らない世界には、こんなにも好奇心をかきたてられることがまだまだあるのだと思うと嬉しくなる。
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感想・レビュー:51件














ナイス!
































