廃用身
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廃用身の感想・レビュー(130)
読み終わって奥付けまで見て、帯に有栖川さんが書かれている「構成の妙」という意味を実感した。職種は違うが、職場がデイケアセンターに似たようなところなので、嫌なリアリティーがあった。
作品として、シンプルでとてもまとまっている。イメージが乱歩の芋虫・・・医者の奥さんがデカダンな雰囲気あるし。最後に自分をAケアっていうのも・・ しかし、「介護が大変だから」という単純なことで人間は出来てるんじゃないんですよね。でも同時に、介護はとても辛い。 「無痛」も思ったけれど、いろいろな問題を、なにか完璧な魔法で解決しようとするんじゃなくて、世の中全体で支援し合って行くしかないんだと思う。
人間の思考はあやふやで移ろいやすい。どの時点での考えが本物なのかもはっきりしない。確信だって脆いもの。だから取り除かなくてもすぐには死にはしなくて、可逆性のないAケアって受け入れられ辛いだろうなあ。特に相手が介護老人だから、その判断の信頼性も疑われやすい。そしたら医者だってやりたがらない。 漆原医師自身も自分の足場がわからなくなって苦しんだし、本当に「意思」って誰にとっても当てにならないものだなあと思った。
途中まで本気でドキュメンタリーなんだと思って読んでた。でも、あれ、著者漆原って、アレ? となって折り返しにあった春日先生のコメントで安心した。いやーリアルで驚き。うまいなぁ。私はAケアでも整形でも献体でも、それで本人が幸せになるならいいじゃないかと思う。無関係だがどうしてもSASUKEの漆原をイメージしてしまう。
グロい。気持ち悪い。おぞましい。おそらく、この読後感にぴったり来る言葉は私の語彙に存在していない。フィクションであることを途中何度も確認しながら読んだ。『Aケア』の持つ奇妙なリアリティ、集団心理の異様性、そして何よりも『廃用身』という言葉の鋭さが衝撃的。近い将来、現実になる話だと言われたら信じてしまうかもしれない。
すごく現実味のある内容で、たまにフィクションである事を忘れそうになりながら読了しました。集団心理、Aケアへの心酔、客観と自己認識、メディア等かなり読み応えのある作品で強烈な印象を受けました。読ませてくれる作品だとは思いますが、やっぱり内容が…本当に濃かったです。体力を消耗した感じ…でもこれだけ刺激を受けたんだからなんやかんや言っても好きなんだと思います。
母は臓器移植やその登録カードを持つ事も反対。赤の他人の話でも不愉快そう。当然「Aケア」は論外。私は自分では勇気がないけれど、したい人はしてもいいのではないかと思う。つまるところ「人それぞれ」であること=正解がない=答えが出せない=難しい なんだろうな。
劇中劇はよく見聞きするけど、1冊まるまる本中本は初めての体験でした。趣向としては面白い。将来、両親の手足がもし麻痺しても、絶対切断は嫌。自分が麻痺した場合も切断は嫌。切り落とすくらいなら安楽死を望みます。
うまくいきすぎない、ドラマチックになりすぎないところがまたノンフィクションっぽさをいや増していて、いやはや技巧だとしたらすごいなぁ。ねえ、石黒達昌も読みませんか。
将来のことを考えたとき、避けて通れない問題。誰もが直面する問題。それに正面から取り組んで、人間の心の奥底に迫ったこの作品は、あるかもしれない未来と必要悪について描いていた。そう、「Aケア」ってやっぱりおぞましい。といっても現実にある老老介護に手を差し伸べる画期的合理的方法ではあるには違いない。それにしても、受け入れがたい気はする。でも、背に腹は変えられないなんて時がいつかは来るのかも。
これはフィクションか?ノンフィクションか?今はフィクションだろう。しかし、近い将来ノンフィクションとなるのではないだろうか・・・と、リアルに感じてしまった。医療保険、老人介護、デイケア、虐待。このキーワードにどれか一つでも興味を抱いたなら是非読んでもらいたい一冊。「ノンフィクション」の本を紹介する形式、の、小説。 50年後の未来、どうなっているんだろう。
前半はAケアにのめり込んでいく医師と患者達、先駆的な治療法に取り憑かれていく集団心理は、ホラーとして読んでも十分怖い。後半では漆原氏の印象が一変する。マスコミの煽動や関係者の嫉み、逆恨み...結局みな自分に都合の良い「現実」だけを選んで生きていて、全員が受け入れる「真実」はどこにもない。漆原氏のたった1行の遺書は心に残った。「革新的な発想に取り憑かれた狂気の医師」で単なるホラーとしても書けたと思うが、ミステリでもホラーでもなく、現実への問題提起として書かれている本書を、重く受け止めたい。
前半は体温があがるが、後半は心まで冷やされる。著者の文章は、少し潔癖で、かなりリアルだ。
前半部は、一人の医師の老人医療や介護にまつわる問題が描かれていた。そして表題である廃用身への医師としての対応と新療法、考え、患者の観察が主な内容。
後半は、彼の療法を出版することを思い至った編集者が、思わぬ事件に突き当たりながらも、冷静な視点で療法に関する社会の反応と考えを描いている。
介護問題は、考えるだけでも憂鬱だが、確かにやって来るもの。20代に向けての警鐘として受け止めた。
あれ、小説でなくルポだったっけ?え?著者。。。実際ありそうな話。私は、、その状態の苦しみを知らないうちには判断できない。知ってからもそうするかはわからない。
一気に読んで放心状態。その目的もある書き方なんだろうけど本当にフィクションかと思った。と言うか今でももしかしてどこかで起こった?と疑う自分もいる。今の介護状態ではあり得なくなくて…自分も多少ながら医療に携わって介護にも少し足を踏み入れたことがあるから賛成したい部分もある。諸手を挙げてとは言えないけど。介護を人ごとのように考えてる人たちには読んでみてほしい。
「廃用身」とは脳梗塞などの麻痺で回復の見込みがない手足のことだそうです。この本はその「廃用身」を切除することが、介護される側、介護する側の双方にとっていい療法だと考えた医師・漆原糾の物語です。老人介護問題は年齢を重ねるにつれて、決して切っても切れない問題。それだけにこの本に書かれていることがあながちフィクションだとは思えなくて怖かった。★★★★
まず、この表紙が奇妙だ。木が腐れている。中身的には右腕に介護問題、左腕に老人医療、右足にノンフィクション、左足にグロい妄想をひっ付けて車椅子に乗り、ジェットコースターの様な道のりを滑り昇り、崖っぷち・・・そんな心の天地をさ迷いながら読んだ。全てが巧妙で?????・?・で、ふう~ん、あれ?何で?なんだこりゃ~~?ホント?どっち?読んだ次の日まで気付かなかった・・・全ては読んでのお楽しみ♪読んで見て!!未来のあなたに関わる事。なんだか色々と勉強になっちゃった。色々と。五つ星
ノンフィクションかとも思わせるリアリティと独特な文章で読ませる本。ある意味医学ホラーかもしれない。グロ耐性のない人には無理。同じく医学ミステリのロビン・クックが「怖い」なのに対しこの本は「じとっとした怖さ」があると思う。風土の差か?
久坂部さんのデビュー作。無痛が面白かったので読んでみました、、無痛に比べるとエンタメ度は下なんですがメッセージ度ははるかにこちらのほうが上で現代の老人医療制度について深く考えられさせます。小説としての完成度はともかくとして読んでみる価値はある本だと思いました。
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