天使の蝶 (光文社古典新訳文庫)
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天使の蝶の感想・レビュー(118)
私にとっての外国文学は、翻訳文が日本語としてぎこちないと感じられるため、ついていけないことが多いのだが、この本は文章が非常に読みやすくかった。関口さんのほかの翻訳も読んでみようと思う。とりあえず次は「猫とともに去りぬ」。
これで古典新訳のイタリア現代作家三作は読み終わりましたが、それぞれ毛色の違う魅力がありました。皮肉っぽいユーモアからグロテスクで生々しい物語までが無駄なくまとめられ、楽しい読書になりました。巻末に紹介されている「星型レンチ」も気になるところ…。
いやはや、面白かった。ユーモアというカーテンの向こうで人類への警鐘が鳴り響いているので、楽しみながらもどこかひんやりとしたものを見つめている自分にふと気づいてしまうという、奇妙で興味深い読書体験をさせてもらった。個人的にはとても好みで、作者の他作品も読んでみたくなった。
タイトルからファンタジーっぽいかな、と読み始めた作品。実際はファンタジーというよりSFだった。内容はそんなに難しくなくて読みやすかった。面白く書かれているけど作者の過去を考えると色々と深く考えたくなる作品。この人の作品はもっと読んでみたいので光文社さんには期待したいです。
生命を、身体を改変し、自在に操る科学/技術に基づく物語群は、滑稽だがどこかグロテスク。人間同士が、人間と動植物が、生物と無生物とが溶け合ったカオティックな世界観に、人間性の根源を追求した姿勢を読み取るべきか、その遺棄を読み取るべきか。
「肉体は地を這いながら、魂は天を焦がれるゆえに人間は苦しむ」というのが煉獄編の私の感想です。芋虫が芋虫たることに安住すると、彼は芋虫でさえなくなる。一方で、天使を純粋培養しようとすると醜く哀れな怪物しか生まれない皮肉。決して叶わぬと知りつつ蝶の夢を見ては草を食むのが、芋虫の唯一の存在方法なのかもしれない。
光文社からのイタリア幻想短編3作目。当然面白い。化学に支えられた幻想文学というのがなんとも新鮮。短編独特の軽快なリズムやユーモアの中に、アウシュビッツを生き延びた作者ならではの強烈な皮肉が随所にちりばめられてる。機械や昆虫、動物、あるいは創造者の視点から人間の条件みたいなものを探ろうとする姿勢にはゾクッとした。
神話ものと機械(装置)の近未来短編集みたいな。神話ものは暗い影を残すようなイロニー。装置ものはテレビゲームやパソコンのような装置の風刺劇。ミツバチと手話やダンスで交信し、他の虫たち(蟻やトンボ)に翻訳して、作業をしてもらう『完全雇用』とかいい。
幻想的な表題のように、科学と化学、神話とSFが織り成す短編集。ただしロマンティックなものを期待してはいけない。喜劇的な、かつ/あるいは人間を諷刺するイロニカルなものばかり。ときには攻撃的なものもある。作者の背景にはアウシュヴィッツの経験があることは知っておいてもよいだろう。しかしそれだけでなく、人間に対する透徹した洞察には、読者を笑わせながらもドキッとさせるものがある。そんな人物描写には絶望を感じさせるだけではなく、誘惑に打ち勝とうとする人間への希望もある気もしなくもない。それともそう想わされているのか。
あー面白かった。特に「人間の友」「転換剤」「ケンタウロス論」「創世記第六日」「退職扱い」が気に入った。「転換剤」は想像するのも恐ろしい話。この人のもので、面白い話があれば、またぜひ訳してほしいな。このシリーズはいままで知らなかった人の本も出してくれるし読みやすくて好感がもてる。
これはよい短編集。シンプソン氏がお勧めする奇抜な機械、「詩歌作成機」「三次元複製機」「美測定器」「VIPスキャン」「トレック」。そしてその奇抜にして画期的な使用法を思いついては突拍子も無い事をやってのける友人ジルベルト。シンプソン氏に会ってみたい!
頭からいくつかは駄目だと思った。科学的知見に基づいた着想は面白い、が、そこから「お話」にならない。車に性別がある。面白い。ならば車の性別が生み出すストーリーを読みたい。かくのごとく、「そこからが始まりだろ!」と言いたくなる着想のみの短篇が続く。「お話」を求めるのは惰弱な読書だと叱られそうだが気にしない。だが「転換剤」以降、なぜかいきなりお話が書かれるようになった。そうなると俄然著者の知的背景が生きてくる。これ執筆順に収録されてるのかな? だとしたら作家の作風変化を一望できる短篇集かも。
純粋なファンタジーかと思っていたら、細部がやけに科学的に厳密だった シンプスン氏のシリーズの他では、『記憶喚起剤』『人間の友』『創世記第六日』辺りが好き
奇妙な機械を売りつけるセールスマンのシリーズが面白かった。こういう日常SF(藤子不二雄的な)はとても好み。
「クリナメン」注(p.111)に「偏倚」とあり、「へんき」とルビが。この場合特別にそう読むのですか? 「へんい」ではなく? ・・・「つぎの著者につづく」(『オブ・ザ・ベースボール』所収)で「へんい」と点訳してしまいました。
古典作品ということで、重厚さを期待して読み始めたら、あまりの軽さにがっかりした。ところが、3話目あたりから「藤子・F・不二雄の短編SFっぽい?」と思い始め、そういうマンガを読む気分で気楽に読み進めたら、予想以上に楽しめた。なんだか申しわけなかったので、一度読み終えた後、すぐに1話目から読み直した。"アウシュヴィッツ生還者"とかなんとかは、再読する時に念頭に置くくらいで、ちょうど良いかも。タッチは軽く、テーマは重く・・・読み方によって、大きく印象が変わる作品だった。
作者の来歴に興味を持ち、まずは安価な文庫を……というきっかけだったこともあり、正直期待していたほどには楽しめなかった。しかし発想も奇抜で、かつ奥行きのある作品ばかりなのでまた再読した時には違った印象を持ちそうだ。
SF的な作品が多いが、それほど難しくないので読み易い。我々が通常いだいている「人間」観へのささやかな揺さぶりを感じさせる面白い短編集だと思う。とりわけ「退職扱い」は夢と現実の境を越えて没入し、社会的廃人と化していくという“どこかで聞いたような”話である。
アウシュヴィッツの影がチラチラするのもありますが、ほとんどは表面上は軽く読めそうなものばかりです。SFっぽいのが多いですが、イタリアのSFというのも珍しいですね。もっとも、たくさん書かれていても日本には紹介されてないだけかもしれませんが。なんとなく人と動物と機械との共生というものを連想しました。
◇「転換剤(ヴェルサミン)」「退職扱い」のブラックなトーンは良い。「ケンタウロス論」も好き。しかし実は巻頭に引用されてるラブレーの文章が一番面白かった。
おお、光文社古典新訳文庫のラインアップにこのような作品が入っているとは。そんなセンスが素敵だ。凄く面白かった! シンプソン氏のシリーズがいい。初めの二篇は正直ピンとこなかったけど、傑作揃いの短篇集だった。
奇想系イタリア短篇集もこれで3冊目。こういうものを出してくれるのは本当にありがたい。新発明・珍発明によって、皮肉な結末を迎える、と言うパターンと寓話的なものが多いんだけど、けっこうハードSFしてない? アウシュビッツからの生存者だった人生を考えれば、人間の本質とは? という深読みをするべき作品が多いのかもしれないけど、表面だけでも愉快に読める。お気に入りは、「ビテュニアの検閲制度」「詩歌作成機」「天使の蝶」「人間の友」「創世記 第六日」あたり。
天使の蝶の
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感想・レビュー:40件














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