戻り川心中 (光文社文庫)
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戻り川心中の感想・レビュー(151)
花にまつわる五編のミステリ。描かれているのは恋。いや、秘めたる深い情念という意味では「色」といったほうが適切か。私がこの物語にみたのは滅びの美学、そして耽美。男と女の情念を深くえぐって描きながらも、書き手自身の心は醒め、まなざしはあくまで冷徹と見える。作者は登場人物の激情をいかに読者に伝え汲み取らせるかを計算しつくして書いており、作者の抑えた筆致に、かえって読者は登場人物の心情を己の心の目を通して慮ることとなる。謎解きの妙味も素晴らしいが、読者が真に唸らされるのは主人公が罪を犯したその動機である。
ジャンルとしてはミステリになるわけだけど、謎解きや真相がどうのこうのよりも、登場人物の置かれたどこか薄暗さを感じさせる状況と、人間のドロドロした情念と、花の美しさが絡み合うあやしい雰囲気が素晴らしかった。
再読。語り口の美しさ、物語の切なさ、“意外な真相”に裏切られることの心地よさ、どれを取っても素晴らしいと感じる、とても好きな短編集。藤の香、桔梗の宿、夕萩心中が特に好き。切ない物語に胸を締め付けられるのが好きな人には是非ともお薦めしたい。
素晴らしい傑作短篇集で魅了されちゃいました。綺麗で情緒的な語り口で流れるように提示される真相の断片。その断片を回収する鮮やかな技巧にただ感服するばかり。ちょっとこれから連城作品を読み漁ろうと決意。
美しい・・・。あまりにも文章が美しい。ホワイダニットを考えねばならないがなるほど、時代背景を古くしたのにもしっかりと意味があったのだな。「白蓮の寺」などは最高に面白い。が、表題作の「戻り川心中」は更に凄まじい。やりすぎ厳禁と言いたくなるほどだが、この文章なら仕方ないって思わせられるなぁ。素晴らしい作品。
「桔梗の宿」はド直球で王道ながら、これはさすがに文句つけられないと思わせる完成度。あと「白蓮の寺」は、「オイオイ、いったいいくつのことを思い出せば気が済むんだい?」と問いかけたくなるほどの思い出しっぷりがちょっとおもしろかった。
こういう、トリックよりも物語に重点を置いた話の方が好きです。パッと見た感じでは少々読みにくい文章で、途中で飽きないか不安でしたが、いざ読み終わってみると「もう終わりか」って思えるくらい没頭して読めました。
ハズレなしの短編集。特に桔梗の宿が好きです。ネタバレになりそうでうまく書けませんが、この動機をこうも艶やかに美しく作品として昇華できるのが本当に素晴らしいと思いました。★★★★☆
ミステリとして評価するならば佳作の範疇だけど、物語としてはとても素晴らしい完成度。私はどちらかというとトリック重視なミステリオタですが、文章とイメージの美しさは評価しないわけにはいかないなー。
花のせいか、男と女のせいか…どことなく艶っぽい。けれど下品ではなく儚く美しい。こういうミステリ好きだーっ!!!トリックに重きを置きがちだけれど、こういうの、いいよね。いくつかの歌に「うん?」と思うところはあるのだけれど、表題作に『桐』が特に好き。他の三作ももちろん。
マイミクさんより名作だから、是非読むようにとのお薦め。うむ、ここ10年で読んだ中では、横溝さんの某作品に並んで美しくて綺麗な作品。いわゆる耽美的って言われるそれだね。でも、わっきーが小説に求めるのは面白さ。ミステリに求めるのはトリック。ミステリ小説として読んだら、評価はとっても低いよ。たんに物語として読めば、、、表題作は好きかな?
☆6 花が主人公のこの話。思い込みというトリックを使って、最後にはすべての景色を変えてしまう魅力もさることながら、その真実によって浮き出る儚く物悲しい恋慕の情が見事。綺麗で流れるような文体と、可憐な表現が、最後までひっぱる読みごたえを作っていると思う。『藤の香』と『桔梗の宿』が好き。
各編を彩る花のイメージがあまりにも鮮烈。時代背景や文体を始め、あらゆる要素が成功している。文章にして最も美しいのはこの時代だと思う(岩)
明治から昭和初期くらいの日本を舞台としたミステリー短編5編を収録。いささか読みにくい文章なのが難点だと思うが、ストーリーの面白さや事の真相の意外性については申し分ない。
花に象徴される幻想的で美しい物語性と、常識がひっくり返るような意表をついたトリックが見事に調和した名品揃い。特に表題作は真相で判明する冷たい情念と、それにもかかわらず漂う花の残り香が絶妙な味を出している。
「まさかそんな動機で…」と思わせない美しく説得力のある文章が素敵。哀しくも情念のこもった物語を丁寧に丁寧に読もうと思いましたが、思わず一気に読んじゃいました。だっておもしろいんだもん!「桔梗の宿」がお気に入りです。
流麗にして優美な文体が、普通に書けばトンデモとすら言われそうなネタを、情緒という器で色鮮やかに飾り立てる逸品。解説の「この文体こそが、読者に対して仕掛けられた最大のトリックなのかもしれない」という視点はまさに慧眼と言うべきだと思う。ミステリに文学性が必要か、という議論などハナから相手にしない、「文学性そのものがトリック」という究極の大仕掛け。いや、これは凄いと思うよホントに。
藤の香,桔梗の宿,桐の柩,白蓮の寺,戻り川心中の5篇からなる花葬シリーズ。 どれもしっとりした叙情的な雰囲気に満ちたストーリーが連なっている。一番すきなのは、「戻り川心中」。恋愛と謎が織り込まれていて興味深く読み進められました。2人の女性と別々の時期に心中事件を起こした歌人岳葉の真実の愛とは、いったいどこにあったのでしょうか。
舞台は大正、昭和初期。情緒ある文章で全体がしっとり濡れているような雰囲気。ミステリとしても秀逸でしっかりしている。各篇、せつない動機に胸が痛い。オススメ。
文句なく★★★★★の最高評価。けちのつけようがない美文と構成に唸るしかない。一冊で傑作を5つも読める幸せ。読んで良かった。
大正という血の濃さが残る時代を幻想的に描いた、推理小説。といってもトリックにはさほど驚かされず、むしろ真実が明らかになること自体に驚かされる。
戻り川心中の
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感想・レビュー:50件














ナイス!































