ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)
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ベルカ、吠えないのか?の感想・レビュー(615)
イヌ繋がり。凄いのか変なのか表現に困る。戦争末期に日本軍の撤退で島に残された4頭の軍籍犬の血脈。数奇な運命で、世界各地へ子孫は散らばり、混血したり、純血を守ったり、再会を果たしたり。複雑なので系統図が有難い。それぞれのイヌの人生や飼い主の話も面白い物がチラホラ。轢死とか、母親とか、トンネルとか、漂流とか、怪犬仮面とか。ただ、なんで犬なの?壮大な系譜を見事なまでに書き記しているけど、それが何なの?という疑問は最後まで払拭できず。作者の真意が今ひとつ読み取れなかった。力不足。俺の。面白いんだけどなぁ。うぉん。
読んでる間はアツかったのだが、読み終えて冷静になれば、人間でやったら面白いんだから犬でやればもっと面白いんじゃね?(あるいは、歴史を語りうるのは人間だけではない)というだけにしか思えなかった。各箇所のエピソードはテンションが高く掛け値無しに面白い。ただ全体を通して見れば、戦争の世紀を渡るひとつの家族(一族の?)小説なのであって、筆者の意図したという「想像力の圧縮された爆弾」とやらになっているのかどうか。確かに“想像力”は“圧縮”されているようだが。あるいは、どうやら爆弾は僕の知らない遠くで爆発したらしい。
前から気になっていた作品がようやく読めました。20世紀のイヌの何世代にも渡る系譜のストーリーという言葉では片づけられない圧倒的な筆致。こんな作品を紡ごうとする作者もすごいと思うし、文庫版にある作者あとがきがまた良い。
犬の系譜を使った20世紀後半の概観?アリューシャン列島から南に行ってアリューシャンに戻る犬(の一族)の物語?伏線が回収されているんだろうけど、なんかうまく入ってこなかったので少々消化不良。イヌよ・・・の語り口は井坂幸太郎の『あるキング』を思い出した。
すごいなこれ。今まで読んだことのないタイプの小説だった。こういう形で歴史に挑戦する決断をした古川日出男がすごい。まさに爆弾を作りうる人だ。
少女とヨンジューナナがストレルカとベルカになるくだりが好き。 読んでてヨンジューナナがすごく欲しくなった。 それにしても言語が異なると意思の疎通が図れなくなる人間と違いイヌのなんと賢いことよ!・・あの独特な語り口が癖になりついつい真似してしまう。
20世紀の苛烈な争いの系譜と、人の預かり知らぬところで連綿と続いていたイヌの系譜の、見事なまでのコラボレーションでした。確かにこれは爆弾だわ……それも超重量級の。超おもしろかったです。
ここに描かれている犬たちは、実は犬ではなくて私たちそのものなんだろうなぁと思いながら読みました。なので、むしろ私たちよりも強いその生命力に、ただただ圧倒された一冊でした。負けられませんね。
犬を一つの道具としか見做さない人間、犬に愛情を持たない人間の多さにゲンナリ。対して犬は、首尾一貫してカッコイイ。歴史を勉強し直してから再読したい。
初、古川日出男。 暑苦しい書き方をするなあ、と。 彼の作品が肌に合うのか心配になる本であった。 奇妙なイヌの血脈から20世紀を語るアイデアは凄いが、なんかただ長く、薄っぺらいような。
2回目です。戦争だとか革命だとか、人間の暮らしを激変させる事態って、人間と深い関わりを持つ動物にも、同じだけの激変をもたらすんだなぁ。可愛そうな犬たち。同情したくなるけれど、彼らはそれを望みもせず、気高く、吠えている。
第二次世界大戦中のキスカ島から、1990年代のモスクワまで…。軍用犬という使命を持った犬たちが、時代や国境、思想を越えて繁殖し、その系譜をつなげていく…。各国の政治的な思惑に犬が利用されているのではなく、まるで犬たちの歴史の中の一部として、人間たちが組み込まれているような気にさえなります…。暴力的なまでの、生をつなぐことへの、純粋な欲求に、圧倒されてしまった。歴史的な流れを、もっと理解できていたら、もっとスムーズに物語世界を理解できたのかな…。そして、犬の名を持った少女・ストレルカの行方は一体…。
4頭のイヌに始まる血統が辿る、20世紀の戦争史。一冊の読み物として面白いが、少しばかり「"周縁"から読み直す一世紀」の教科書通り、のきらいはあるか。
イヌを主軸において綴られる激動たる20世紀。人間によって翻弄され続けた犬を見守るように語りかける二人称の文章は自分にとってとても新鮮でした。とてつもなく壮大なイヌたちの系譜、それと共に歩む歴史の物語。いやあ、面白かった
独特の本。現在と犬の系譜を過去から辿っていく話が交互に出てくるので、最初は読みにくい、というか、話の展開が理解できないけれど、分かってしまえばあとはもう、面白くて一気に読んでしまいます。最後に犬が帰っていく場所も印象的。
久しぶりに再読。イヌたちによって20世紀を語る作品。やっぱり、鮮烈であった。二人称で何度も繰り返される呼び掛けと現在形で繰り出される文章が実に良いリズムを作っている。展開は、身も蓋も無いことを言えば、風呂敷広げまくりでご都合主義の連続甚だしいのだが、それを許容させうる力があると思う。
激動の時代を生きたイヌ達の物語。人間の歴史に翻弄され、離別し、あるいは邂逅し、受け継がれる血脈。文体に馴染めず読むのに苦労したところもありましたが、壮大な物語を堪能できました。
イヌ達のサーガ。アリューシャンに取り残されたイヌ達の血は国家を超えて融け合い、「ベルカ」に集約されていく。なんて壮大な物語なのだろうか。久しぶりにぞくぞくするお話だった。
なんじゃこの小説は。すげーよ。これから古川日出男作品を読むことに決めたよ。 正直どの犬がどうこうは、覚えきれてないんだけど、それぞれに一つの物語を用意してあるのが、スゴい。 ストレルカ襲名の場面は本当にシビレタ。最終的に全滅も覚悟していたけど、何とか未来に繋がってくれて良かった。 一番好きなのはシュメール。 どうでもいいけど、この本を読んだ後にスプートニクショックの話が、授業で何度も出てきて、ドヤ顔で年号とか答えてました。変な偶然もあったもんだ。
再読。タイトルがよくてふと買った一冊で以来おふろ本として何度も読んでる。硬質な文体の神視点で犬の歴史を追うんだけどこの神視点ってのが、地の文がイヌに語りかけてイヌがそれにこたえるってとこでうわっ、これはほんとに神の視点で書かれている、と思ってぞくぞくした。とてもおすすめしづらい本で、すすめるでもなく誰かが手に取ってくれるのを待っている。本能に弱い人にはすごいおすすめ。イヌの本能とか母の本能とか。好きなエピソードたくさん。
なぜ読もうと思ったのか、それは覚えていない。歴史も苦手だし、社会体制もよく理解できていない。それでも、読み終えた後の感嘆は、筆舌に尽くしがたい。
軍用犬も第二次大戦後の世界も、特に興味はなかったのに、文体もとっつきにくいのに、また一気に読まされてしまいました。文章が頭の中に入ってきて理解して読んでるわけではなく、矢継ぎ早に、語句が目に映ったら頭の中にもう飛び込んできて、よくわかってないはずなのに、すごいスピードで心がガっと動かされてる感じでした。古川氏の本を読んでいる時の感覚は独特で、それはうまく言えないのだけど、やっぱり他のも全部読んでみようと思いました。
う~ん、何と言っていいのか。好き嫌いが別れる本だと思う。私も最初は独特の文体とテンポに慣れず読みづらかったけど、犬の視点から描いた物語はとても面白かった。また読んでみたいなと思う。
何故『アラビアの夜の種族』で挫折してしまったのだろう。第二次大戦後の世界をイヌの系譜から描くという発想に加え、複雑に入り組む家計図を圧倒的な描写で整理した本作は、一級品の物語であり怒涛の運命を送る彼らへの限りなく熱い賛歌だ。飼い主の運命に翻弄され、共産主義圏、資本主義圏を渡り歩くイヌの運命は劇的なエピソードを常に伴い、特にベトナム地下で両陣営のイヌが一大決戦をする場面には神秘的な美しさすら宿っている。最後の『ベルカ、吠えないの?』という二十世紀の終末に到着した瞬間、思わず感嘆の息が漏れずにいられない。
とにかく犬のかっこよさを堪能した。歴史上有名な(つまり実在の)人物以外には全く名前は与えられなくて、徹底して犬たちが主人公の小説。半端じゃない勢いの文章に押されて、一気に読み終えた。(ローウェル嬢)
ベルカ、吠えないのか?の
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