壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)
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壬生義士伝 上の感想・レビュー(1218)
日本人が新撰組に惹かれるのは判官贔屓な国民性にあると思う。正義(=帝)は薩長に、そして幕府はとんずら。御輿に誰もいなくなった新撰組は自分たちの正義を貫き散っていく。その負け方は狂気に彩られ一際美しく輝いている。 この作品は元盛岡藩の新撰組隊士・吉村貫一郎の生き様を複数の関係者の視点で順次語っていくというもの。「家族を養うことに限界がきたので脱藩して新撰組に入って家にお金を送ったる!」という地味な話なのだが、かつての同士や教え子の主観的な話を聞くことによって不器用ながらも義に生きた吉村像が徐々に見えてくる。
新撰組では、マイナーな部類に入る?吉村貫一郎。彼の人生を本人、あるいは周辺人物の口を借りて語り紡いだ小説。取材に基づいた伝記のようにも感じられ、何となく現実味を帯びている。作風は後の「一刀斎夢録」にも共通する。藩士時代、下士ながら、文武ともに秀で藩校にて教授方を務めながらも、赤貧を受け入れることができず、建前は幕末に志操を示すべく、本心ではお金を稼ぐため・裕福に暮らしたいがために出奔し新撰組に入隊した。
学生時代お世話になった盛岡の街を懐かしく思い出しながら読み進めました。当たり前のことながら、あの石垣しか残っていない公園に城があり武士が詰めていたのかと思うと不思議な思いがします。さまざまな視点で語られる吉村貫一郎の姿は、正直な人であり、馬鹿な人であった。もっとうまく立ち回ることもできたはずなのにそれをしないのが吉村という人なのでしょう。彼が今の時代にいたら、きっと慕われる上司になるのだろうなぁ。
語り手が変わって行く手法に最初は戸惑うけれど、いろいろな角度から「吉村貫一郎」という人が描かれる。彼が脱藩に至った経緯を思うと、今も連綿と続く世の理不尽さを強く感じる。才ではなく、名や身分が物を言う時代であればなおの事であったろう。
新選組の吉村貫一郎の生き様がいろんな人から語られる。学問が出来、剣も秀でていた貫一郎は、生まれた時代が違えば一角の人物になっていただろう。「義」や「愛」のために人はどう生きるべきか、この小説は嫌というほど訴えてくる。泣き所満載である。
最初の方言の部分でつまづきそうになりましたが慣れたら大丈夫。吉村さんの人となりが周囲の話によってできあがってくる。それが池田さんと斎藤さんの話になってくると胸がしめつけられて掴まれた。話し手が変わりながらも共通のことが出てきてつながったり、違う角度から描かれていたりで相当読み応えがある。読んでも読んでも終わらなかったので大満足。今下巻も相当はまって読んでいます。
正体が明かされずに、ある人物が元隊士の吉村貫一郎を知る人達を訪ねて行く。同期の隊士、教え子、部下、そして最後に斉藤一。新撰組が時代を駆け抜けて50年。現代と過去を行きつ戻りつしながら、「人斬り貫一郎」と呼ばれた人物の姿が少しずつ浮き彫りになっていく。語る人間が変われば、語られる人間も様変わりするが、誰もが口にするのは、貫一郎の「義」への姿勢。己の信ずるところに全く揺るぎがない姿は読んでいて気持ちがいい。またそれぞれの人物が語る死生観も興味深い。「吉村先生」と「みよ」の話は思わず笑ったり、涙ぐんだり。
長らく積読本となってましたが、何となく読み始めた。 導入部は、さすがは浅田先生という感じの時代小説らしい入り方でした。 その後の爺さんの話は、少し読むペースが落ちたものの、新撰組主要メンバーが出てきたあたりからは、もう止まらない止まらない。 池田七三郎の語りは、映像が脳裏に浮かんでくる程の見事な描写で、斎藤一が語りだしたらもう鳥肌立ってました。 下巻もこの勢いで一気読みでしょう。
方言にとまどいながらもすらすら読めた。最初は吉村貫一郎を好きになれなかったが、吉村を慕っていた人達同様好きになれる。吉村貫一郎の言葉にホロリとくる場面がある
中井貴一さん主演の映画をご覧になった方も多いのでは。映画の豪華キャストの迫真の演技も見物ですが、やっぱり原作は素晴らしい!(映画から入ると中井貴一さんの声で脳内再生されて訛りが読みやすいかも笑)私が思うに『永遠の0』がお好きな方はおすすめです。ところどころ涙が止まらない!吉村先生の人物と死の直前がリンクして、『人』とは『侍』とは『義』とは『愛』とは…時代を越えて考えさせられます。
超有名な新撰組の無名の隊士であった吉村貫一郎について、死ぬ間際の彼自身の独白と、その50年後に彼の周りの人々が語る回想の2つを交互に登場させて、その生き様を浮き彫りにさせて行きます。幕末の混乱期に自分の義を貫いた貫一郎の人生は涙無くしては読めません。上巻の最後に斎藤一が登場。下巻へ続く。
出版当時は忙しくて、最後まで読めなかったから、あらためて読みなおし。やはり、浅田先生の力作は、間違いがない。傑作。「永遠の0」に構成が似てる。意識したのでしょうか。どちらも好きですが。
おすすめで読んだ本。初めて時代・歴史小説を読みました。馴染みのない方言、男性の語り形式、見慣れない言葉…。なかなか進まず、頑張って読みました。
まず読んだ最初の感想は、とにかく長い。上巻すら何日もかかるのに、まだ終わらないなんて。そして、新撰組といっても、全然無名の隊士の話か、と。でもですね、読んでいると、幕末の時代を必死に生き抜き、人間としての葛藤や苦悩が感じられる、人間らしい隊士の姿が見えてくるわけです。新撰組の幹部陣のようなキラキラした輝きはないですが、より人間味があふれる吉村先生の話です。絶望したくなる世の中で、自分の強い志を貫く。仁義とは?正しいということとは?そんなことを感じながら読んでしまう本ではないかと思います。
血を流さないと国が変わらない時代にいきることはこんなにもつらくて 死ぬために生きる、すべてにぎりぎりのところで戦っている侍は とてもまぶしくて
皆に問う。この時代の正義とはなんぞや?人は何を糧に生きればよいのか?そして何をすべきなのか?侍であっても口減らし。嫌な言葉だと思います。後半の吉村の言葉「何ができると言うほど、おまえは何もしていないじゃないか。生まれてきたからには、何かしらなすべきことがあるはずだ。何もしていないおまえは、ここで死んではならない。」この世の中の「死」に向きあっている人達に聞かせてあげたい言葉です。やさしい言葉です。さー下巻。
南部訛りむずかしかった!会話でちょっと出てくるのならまだしも全編語りだから飛ばすと状況が把握できない。。おかげでひさびさに一冊をじっくりゆっくり読んだ。そしてだんだんこの南部訛りの響きに愛着が。うまいなあ。
新撰組隊士の吉村貫一郎の人生を主観と周りの色々な人物の回想とで描いた物語。修養によって優れた能力を持ちながらも、時勢や身分のせいで恵まれない不運を表わしている。___幕末で、薩長に敵対した者たちは時代遅れと切り捨てられがちだけど、藩士ですら餓死しかねない混沌とした状況では、尊皇を口実に暴れた人たちも、一概に責めることはできないと感じた。
浅田次郎作品初めて。義母のオススメで借り物。面白くてビックリ。下巻も楽しみ
シリーズ最初の作品。吉村本人の語り部分と、新撰組の仲間だった人の語り。一体、誰が吉村さんの話を集めているのか…気になる気になる〜
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(11)
- 10/01
幕末の歴史や新撰組について私自身あまり詳しくなかったので時代背景がわからず、読み始めは正直、難しく感じることが多かったけど、どんどん主人公の生涯に魅かれていった。ほんと涙ぐましい。電車の中で読んでたからこらえたけど、家で一人で読んでたら、たぶん泣いてただろう。幕末の歴史に興味がわいた。幕末の歴史を少し勉強してから、もう1回読みたい。下巻も楽しみ。上巻だけでも結構な内容あったと思うのに、下巻はどういう内容だんだろう。
高校生の頃に挫折した作品に再挑戦。妻子を国元に残し脱藩し、新撰組に入隊した吉村貫一郎の人物像とその生涯が、本人と彼を知る人々の語りによって徐々に明らかになっていく。作品の雰囲気的には、最近読んだ『永遠の0』に似ている気がする(時代は全然違うけど)。吉村の南部訛り以外は結構読みやすい作品なのに、以前はどうして途中で読むのをやめてしまったんだろう?今回は読み切れそうです。
色々な人物によって語られる事により、次第に吉田寛一朗の人物像が明らかになっていきます。下巻が楽しみ。でも寛一朗が死ぬ所は読みたくないなぁ…。
もちろん司馬遼太郎も池波正太郎も子母沢寛も読んでいるが、浅田次郎はこうくるかと驚きを持って読んでいる。幕末ものは久しぶりなのでリハビリを予て手に取ったが、おうおう有川浩読んでニヤニヤしている場合ではないぞ、たまにはこういう日本人魂的な本を読まなければいけないぞと若干の反省。泣けないが、登場人物すべてに血が通っている。人間を描くという意味では、逸品この上ない。今の社会に足りない精神が多々あり、非常に新鮮な気持ち。山本周五郎なんかも再読したくなるところ。良本、下巻も愉しみ。
この本は新撰組で「人切り貴一」と呼ばれた吉村貴一郎の生涯の話だが、いわゆる歴史群像劇ではなく、かなりヒューマンな物語。浅田次郎だし、司馬遼太郎とちょっと違う。両方大好きだけど。主人公の吉村貴一郎は、訳あって南部藩を脱藩し新撰組入隊。稼いだお金のほとんどを故郷の妻子に仕送りする。お金に固執し、死ぬことを潔しとしない彼を、最初は新撰組の仲間は馬鹿にするが、だんだんと彼の一途な気持ちに影響を受けてくる。 それが一転、鳥羽伏見の戦いでは、義のために命を投げ出す。そんな彼を新撰組は必死で守ろうとする。
壬生義士伝 上の
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