玻璃の天 (文春文庫)
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玻璃の天の感想・レビュー(697)
英子お嬢さん、随分と大人になった。あの時代ってそうよね。子供でいるのが短かった。英子さんは、お兄さんがいることで外を出歩ける方のお嬢さんなのね。時代背景がとても興味深い。
ベッキーさんシリーズ第二弾。相変わらず当時の生活風景やちょっとした小物などの描写が丁寧で、読むだけで当時にタイムスリップした感覚を味わえる。今回は三編収録。仲の悪い二家の男女が恋に落ちるお家騒動、駆け落ちの恋を描いた話、そしてベッキーさんの素顔に迫る切ない復讐劇。ベッキーさんばかりに目が行きがちだが、ベッキーさんの仕える英子お嬢様も聡明で思慮深くも明朗快活で、かなりの魅力がある。それ故に徐々に迫り出した戦争の気配に今後どうなってしまうのかとハラハラする。
戦雲が物語にも暗い影を挿み込む“ベッキーさん”シリーズ第2作。英子嬢が何不自由なく育った明るい素直な娘として描かれているから、余計にハラハラしてしまう。『幻の橋』の『―善く敗るる者は亡びず』…この言葉が紡ぎだされるまでの文章の流れがとても好き。静かな中に途轍もない緊迫感が漂ってて、読んでてゾクゾクしました。遅まきながら、最終話にてベッキーさんの謎が明かされたところでようやく、この物語が連作短篇といいながらの長編小説なんだと得心。この先どうなるの?? 解説がまた見事な予告編となっております。次巻へ進まねば!
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
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- 02/02
ロマンス要素が濃くなってきたシリーズ二巻目。甘いリリシズムとほろ苦さとのバランスが良好で面白かったです。物語の鍵としてウェブスター作品、それもメジャーな『あしながおじさん』だけでなく『おちゃめなパッティ』をもってくるあたり乙女心を熟知していることよ…と妙なところでも感心。それにしてもこの英子お嬢様&指南役ベッキーさんの知力・推理力は時代背景や英才教育を受けたエリートという設定を考慮しても異常…!というツッコミは禁句かな…(笑)。日常の謎ものって基本的に探偵役が天才肌じゃないと成立しませんものね。
う、こっちに展開しちゃったのか。私としては望んでいない方向に進んでいるのが残念。ミステリーと格調高い文体って、合わないのかしらん。とりあえずシリーズは全部読むだろうけど。
何だろう、今までと違うと感じるのは、時代背景ゆえなんだろうか。英子が前刊に比べてかなり成長したなぁって感じる。もう、ただの女学生じゃなく一人の女性として、色々な事に対処していく姿は、素晴らしいと思う。ミステリーだけどそれだけじゃないところが、こんなにもぐいぐい惹きつけられて読んでしまう理由なんだろうな。「進めるのは前だけ」…確かに、どんなに願っても後戻りはできない、そして進むしかないのだから、胸に刻んで生きていくしかないな。
シリーズ一巻目での印象が、がらっと変わって、何故この時代設定なのかについて深く考えさせられる。もちろんフィクションではあるのだけれど、現実の生活に連なる事々を思い至らせる物語だ。 「想夫恋」の結構が見事。 『善く師する者は陳せず、善く陳する者は戦わず、善く戦う者は敗れず、善く敗るる者は亡びず』
1巻よりも読み応えがあった。おそらく英子が少し成長したからだと思う。ただやっぱり謎が簡単に解かれすぎな感があり、そのあたりは自分にはちょっとものたりない。あとがきを読んで、これ以降の展開に興味をもった。
シリーズものの2巻目。先の巻に比べて暗い世相がより強く出てくる。何か時代が動いているのを感じる。物語の時間が進むことがこれまでの登場人物の挿話となっているのも良い感じ。キーとなる登場人物は固有の人物に仮託した世論のようで怖い。ともあれ、相変わらず物語に引き込ませる舞台・人物設定のおもしろさは健在。 なお、作中に登場する建物は、僕の中では近代建築と云うよりなにやら新古典主義建築の作品になっているなぁ。
一巻を読んだ翌日に本屋へ→二巻を買う→一気に読む、なんて体験はモンテクリスト伯以来である。静かに続く短編連作なのにね。不穏な空気がいよいよ増すけれど、それが表には現れない世情を、お嬢さんの視点を使ってよく描いていたけれど今作ではわかりやすい「悪役」がひとつ配置される。それを巡る人々の対応、ベッキーさんの過去など、見どころ目白押し。一番ずしんと響くのは、最後の英子お嬢さんの言葉。人間は前へ進むしかないんだろう。いつの時代も、前へ。
短編が繋がって大きな長編になろうとしています、前巻で散りばめられた「謎」が少しずつ明らかに、この続きはどうなるのでしょうか?。
事件や背景の社会事情、はては恋愛要素まで!前作に比べると難易度が上がってます。英子嬢も好奇心から出た探偵ごっこじゃ済まなくなってます。英子嬢は相手の思いに敏感な女性に成長しているのが嬉しい。これから先に何が待ってるのか?次作が気になるこの引っ張り感もいい!!
ベッキーさんシリーズ2作目にして、上流階級の優雅な生活を楽しむだけではすまされない血なまぐさい展開になってきた。3作目のシリーズ完結編が二・二六事件で終わるという年代設定から、時代がどんどん戦争に向かってることはわかっていたけど、2作目はまだもう少し暢気な雰囲気なのかと…。でも、予想以上に面白かった。表題作"玻璃の天"はベッキーさんの正体がとうとう明らかになるし、一番重く重要な話だと思うけれど、何か"幻の橋"で涙腺がゆるんでしまった。英子と海老塚の最後の会話と、ベッキーさんが漢書から引用する最後の言葉に。
実際に合ったエピソードを織り込みながら、美しい物語が編まれていく。物語を行きつ戻りつしながらピースを拾い集める私たち読者は、最後にどんな絵を見ることになるのでしょうか。まさしくジグソーパズルのような物語を紡ぐ北村薫の筆致に、ひたすら酔いしれるしかありません。歴史の流れを知っている私たちは、美しく完成した玻璃の輝きが脆くも砕け散るだろうという予感を持たざるを得ないのです。
「お嬢様探偵の謎解きミステリー」だったシリーズも2巻に入りかなり様相に異を呈して来たようでそれはまた嬉しい誤算でもあった。英子の成長と共に軍国主義へと傾いて行く昭和という時代が繊細で情緒溢れるタッチで見事なまでに描かれている、それも美しい日本語で…加えて文学的な謎解きも本好きを唸らせる出来映え。そして華麗な立ち振舞いの陰に潜む闇が見えてきたベッキーさんをはじめそれぞれに深みを増してきた登場人物が破滅の時代へとどう関わって行くのか?最終巻へと全くもって目が離せないのである
ベッキーさん第二弾時代が、段々と軍事に傾いて行き、不穏な時代に差し掛かる。本編の中で「君しにたもうことなかれ」が出てくる。英子の兄の解釈に、少し驚いた。その発想はなかったからだ。弟は針の筵だっただろう。と言われて確かにそうだと思ってた。時代や価値観が違う世界を想像するのは、確かに難しい。
「それを超えた主義主張を、否応なしに強制された時、行進は歪まざるを得ないのではないのでしょうか。外に向かっては行為が、内に向かっては心が、です。わたしのいう自由とは、基本的な徳に向かう行進の中で、右を向き左を向く自由です。鳥の声に耳を傾け、空の雲を見る自由です。―そこから、機械の尊さではない、人の尊さが生まれるのではないでしょうか。」(幻の橋P59より引用)英子と若月の会話の場面が最も印象的でした。
帝国主義へとひた走る時代の足音が聞こえてくる。英子さんもお嬢様の探偵ごっこでは済まなくなってきた感じ。ベッキーさんの過去が少し明かされた。ビストルとか武道とか、悲しい事件の後に習得したのかな。そろそろ黒子に徹するのではなく、自らの意志で動くベッキーさんが見たい。
やはり『円紫さんと私シリーズ』とは大分毛色が違うけど、時代背景を考えると「日常系ほのぼのミステリ」とはいかないのはある意味当然である。次巻でこのシリーズは終わりだが、着地点はどうなるのだろう。語弊がかなりあるけど、そもそも日本が一旦バッドエンド迎える直前みたいなもんだからなあ。どうでもいいがベッキーさんだけでなく、英子もかなりハイスペックなお嬢さんだと思った。
ベッキーさんシリーズ2作目。 大人にならない主人公にも時代が重くのしかかってくる。この時代の分別をわきまえる、賢いお嬢さんに成長しているのが 頼もしい。1作目同様、日本語がきれい。 色々な本からの引用もあって、読書が楽しくなりそうな1冊。 続編は楽しみだけど、時代がどう影響するか、少し怖い。
あっさり、さらさらさらっと読めちゃった。前作『街の灯』よりも、ベッキーさんとお嬢さんの二人三脚ぶりが板についてきた感じ。それはそのまま、二人の距離が縮まったことを示すのでしょう。時代は急速に軍事色が強くなり、右翼っぽくアジテーションする人物がもてはやされていたり、二・二六事件の青年将校を思わせるような人物が英子譲の前に現れたり。ベッキーさんの素性も明らかになりました。読みごたえはないのに、読後感が重いという、ちょっと珍しい小説でした。
一作目は穏やかに上品な上流階級のお嬢様の物語。二作目になるとぐぐんと空気感が変わります。それだけ当時の「時代の空気」の変化も緩やかに急激なものだったのかなと。どうしてもリセットを思い出してしまって胸が詰まるし、(この時代を扱った物語を読むときはいつもなのですが)先を読むのが辛い、しんどい、と思ってしまう。でも気になるので三作目も早く読みたいです。あと主人公の印象から「円紫さんシリーズ」に近い気持ちで読んでいたのですがこれは決して日常の謎系ではないことに二作目にして気づきました。ミステリ部分はむしろ本格寄り
シリーズ1作目は漫然と読んでいたし、読後も何でもなかったけれど、これは重かった。1作目はベッキーさんが大活躍って感じだったけれど、今回は英子が主役。暗い、重い雰囲気だったけれど、英子のロマンスの気配に胸が躍った。
第2弾。前作に比べ心理的に重いものがあった。ベッキーさんの過去も見え次がどうなるのか気になるところ。今作ではベッキーさんは相変わらず揺るがない存在感だけど英子が成長したなぁと思う。決して長くはないのにギュッと詰まって読み応え十分。最終作の第3弾に続きます。
【再読】ベッキーさんシリーズの第二作目。重い、が三作の中では一番心が動く。物語にと言うより時代にと言うことだろうか、大きなうねりの気配を感じ、ざわざわと不安になる。日本という国は、こんな時代を経てきたんだな…。国家、正義、そんな大きなものと向き合い、迷いながら成長する英子とその傍らに立つベッキーさん。二人が前を向きすっと立つ姿が浮かんでくるラストだった。浮世絵に込めた思い、与謝野晶子の詩の解釈、『枕草子』や『伊勢物語』の引用もお見事。あぁ、再読だけに三作目に進むのが辛い…。
月並みですが、良かった。ベッキーさんが重い過去を背負っていたとは・・・そして、辛い謎解きをも・・・たまに、ホントにたまに英子さんのお嬢様ぶりにいらだつ時があります。3作目、読まねば!
シリーズ2作目。ベッキーさんの過去の一部が明らかに。時代設定による貞操観念、上流階級ならではの処世術などの雰囲気がよく出ている。北村さんの知識はいつも通り。「君死にたまうことなかれ」の視点は目から鱗。周囲に軍関係者が多い分、今後戦争の時代に向かって話がどう展開するのか楽しみ。
北村作品は読メ登録前に色々と読んでいるが、とにかくこの作品では文章が素晴らしくいい(元から上手い作家さんだが)前作よりも話の内容も濃さを増した感があるが、それ以上にこの作品において綴られている文章は素晴らしいと思う。さらに「君死にたまうことなかれ」に対しての件など、時代を超えてドラスティックに書ききる凄みすらある。賞味235P短いが深い。大いに酔いしれた。最終作は近々文庫化とか。楽しみかつ、気を引き締めて読む。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(0)
- 10/08
騙された!(いい意味で)読後直の感想。「シリーズ三部作」と銘打っているにはいるが、これはシリーズではなく「全3巻」として欲しい。秘密のベールに包まれていたベッキーさんのヴェールを少しずつ少しずつ紐解いていく作者の手腕にやられました。主人公「英子」が絡む短編に収まる「事件」の解決に着目していると、ベッキーさんの裏側が端々にチラチラしていたということに気づけない。それぞれの話でベッキーさんに着目をおいて通して読み直すと、「嗚呼!」と気づき、そこに静かに息づく彼女の「信念」に嘆息しました。「ただ前へ。」
何より彼女こそ「日本人」らしい。寡黙で、控えめで、静かに焔を宿す彼女が一気に好きになった巻。これは惹かれずにはいられない。それに比べると桐原さんが少し非道に見えなくもなかった。彼はベッキーさんの正体を早くから気づいていた一人だろうが、「件の人物」と接点を持たせた彼の真意がまだ不明。私がベッキーさんの立場なら心中穏やかでなくなるのは確か。
ナイス!
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09/30 10:32
作中に登場する絵画や筝、建築などの美術、良家の暮らしぶりや交流、それを綴る日本語も含めて描かれている世界が美しい。前作では花村家に仕え始めたベッキーさんの完璧な迄の有能さに惹かれたのに対して、今回は成長している英子の姿が印象的だった。本書で幾度か触れられている公と私の関係について、バルコニーで陸軍少尉と語った彼女の姿に確固たる意思を持つ大人の女性を見た気がする。
ベッキーさんシリーズ二作目。前作以上に人に踏み込んだ仕上がりになっているのが特徴かも。事件も昭和初期という時代設定も活きていた。
玻璃の天の
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感想・レビュー:219件
















































