蝉しぐれ (文春文庫)
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蝉しぐれの感想・レビュー(972)
初藤沢作品。読み終えてまず感じたことは、物語に必要以上に加飾せず余分な物を削ぎ落とすとこんなにも美しい文章になるんだ、ということ。少年たちが成長し人生の儚さや後悔を経験し、大人の策略に翻弄されるさまが淡々と描かれるのが余計に心に残った。最後の「蝉しぐれ」の章読んでる途中で、文四郎が父の遺骸を乗せた荷車をふくと引くシーンや、ふくを守るために追っ手を斬ったシーンが蘇ってきて堪らなくなってきた。その時の台詞『片付き申した』がもう最高に格好良いです! 全ての世代の人にお勧めしたいです。読んで良かった。
藤沢周平、なんて罪な作家…これほどまでに、江戸時代の地方藩を活写できたものか、人間を描けたものか、しかもいやらしくなく、軽やかに、的確に。章題がすでに素晴らしい第一章「朝の蛇」(ノックアウト)。主人公・牧文四郎も、書き方によっては多少気障で嫌な奴に見えかねないのに、全然そんなことない。すべてが等身大。だから目の前で起こる政変も、剣術の鍛錬も、仕事も、友情も、花街でさえも、全然違和感がない。城下町の構成から、四書五経にはじまる教養、剣法の描写など、嫌味なほど素晴らしい。人間は後悔する生き物だ。すごい小説だ。
季節のわずかな移り変わりや心の機微など、形にできないものを大切に書ける作家さんですね。むしろ映像化したらつまらなくなってしまいますね。
初の時代小説。序盤はとっつきにくくなかなか読み進まなかったが、中盤以降はページをめくる手が止まらなかった。学生の内にこの小説に出会えて良かった。
初の時代小説。 文章について。日本語がキレイというか正しい使い方、というか敬語の勉強になった、みたいな。ところどころわかんない単語でてきたけど、読みにくいとは感じませんでした。(古文の勉強が役だったのかな?w)解説にもありましたが情景描写がうまくて、この時代の情景がすんなり目に浮かびました。そしてこの時代の厳しさ、身分や家系、親族や隣家との関係が現代と違いものすごく濃い。人間として素晴らしい生き方を見た気がします。この世に悔いを持たぬ人などいない、はかない世の中……。もっとしっかり精進して生きていこうって
大好きな本の一つ。人生の儚さや美しさが溢れていて、読むたびに心が激しく揺さぶられる。結局二人は一緒になることはできなかったけど、それを悔いていることを、最後にお互いが知ることができて報われたと思う。後悔のないように生きたいと思うけど、全く後悔がない人生なんてないと思うし、その後悔があるからこそ、人生が尊いものになるのではないかと思う。
蛇とか、飴とか、些細な想い出にしか過ぎないのかもしれないけどそれを2人とも覚えていて、大事に閉まっていて…2人の境遇は辛いものだったけれど、こんな風に人を思えるのは幸せなことなのかもしれない。 文四郎は汚名を被って以降辛い思いを沢山しているけど、それでも潰れなかったのは父の言葉と逸平や与之助や鶴之助さんがいたからなのかな、と思ってみたり。
藩や権力を握った人に命まで握られている社会。家族、兄弟、師弟、友人、仕事仲間などなど人との強いつながりの中で自分の責任をというものがとても大きい社会。そんな中で若者が成長していくさまを、さわやかに、ハラハラしたり、憤ったりしながら追っていくことができました。剣の道が命を守る道でもある武士の厳しさよ・・・。
こ、これは時代小説なのか?恋愛小説ではあるまいか?主役二人の寄せては返す波間に漂う葉のような人生。望むべくもない運命。誰が誰の子で…というラストのふくのセリフが、生きてきた道をズバリと切り取ったものだろう。身分が身分ならそのまま駆け落ちもあるやも知れぬセリフと場面だ。その時に彼らの胸に去来する思いは果たして…
今年もお正月恒例の再読。ああ毎年お正月にこの読後感を味わえるなんて本当に幸せ。ぐっとくる文章だらけで何度も引き返したりしながらじっくり味わって読みました。泣きポイントは毎年変わるというより増える。だからといって読むのがゆっくりになるかと思いきや、息もつかせぬ展開だったりもするので…ありきたりの感想ですが、やっぱり名作です
綺麗で切ない話だった ふくとの再会でもベタベタせず過ぎた運命を懐かしがる程度で終わらせているのがいい 運命に翻弄されても、意思をもたずに引きずられているわけではなかった二人だからこそあのラストだったのだと思う だから余計に切ない
決して望んだ人生ではない。それでも生きることを投げ出さなかった。後半は泣きっぱなし。文四郎とおふくの実ることのない恋。胸が苦しくてしんどかった。でも、すごくきれいな物語だと感じる。読み進めるのがなんとも清々しい。今も蝉の声が耳に残っている。
藤沢周平は初だったけど、これは痺れる。主人公の置かれた状況が、今とは時代が違っているにも関わらず、その状況が自然と説明されていて感情の動き方にとても共感できる。話の内容も細かいところまでまとめられていて、未消化な部分が感じられない。ちょっとしたことで人生が大きく動いてしまうポイントは誰にもあるけど、最後にそれを持ってきたところも渋くて素敵。
時代小説…と思いきや、個人的には主人公の成長を描く青春小説のように感じられた。そして終わり方もとても好きなので、秘剣村雨の伝授のくだりで唐突過ぎると感じた所はなかったことに。全体的にはめちゃ好き!
藤沢周平さん、やっぱり良いですね。もっと若い時に読んでいれば更に良く感じたと思う。ヒーロー物じゃないところがやっぱり良い。地方の(海坂藩)の地道な小役人のお話だけど、そこに生きる人たちの、特に若者達が良く描けてますよね。剣の道も尊いものだし、剣が殺戮だけじゃなく人を救うことができる事も改めて感じます。文四郎と福の関係はちょっと切ないですね。福を連れて行ったお祭りのエピソードが良い味になってます。自分達だけではどうしようもないことがある。そう気付きながら大人になって行くんだね。
海坂藩内の権力争いに巻き込まれ切腹した普請組牧助在衛門。長男文次郎は跡を継ぐことは認められるが、家禄は四分の一に減らされ、粗末な家に転居させられる。老母と共に懸命に生き、剣の道で師匠から秘剣を伝授されるまでになるが、父の無念の真相を究明するべく動き出す。近寄ってきたのは、敵か味方か?
さらっと読めた。その割には印象が強く残った。特に最後の二人の会話でおふくが言った言葉が心に残った。
以前何冊か読んだ藤沢作品。おなじみの「海坂藩・・・」で始まる東北地方の小藩を舞台にした作品。最初から著者独特の風景、人物、ストリー描写に引きこまれる。お家騒動のなかで、なぜか新鮮な爽やかさ、しっとりした情感等を感じる。特に最初の出だしと最後は強く印象に残る。いつのまにか私は藤沢周平作品は大好きな作家の一人であることを再認識させられた。
たぶん初めての時代小説。文四郎の成長を追ってつながっていく相関関係を賞味するも良し、キャラの個性にニヤッとするも良し。本当にみんな生き生きしている。読んでいるときにつっかえることもなく読むことができたのは、藤沢さんの技量によるところなんでしょう。
不自由な時代だからこそ秘められて長く続く感情もあるし、静かな描写だけに却ってその強さを感じます。同時に陰謀や切りあい、喧嘩に洪水、友情に親子の情と奥行きも幅も大きな小説でした。
初めて読んだ本格的な時代小説でした。辛い不遇の時期を耐え忍んで一皮むけた文次郎はカッコイイ!!本物の武士!!おふくとの恋も初々しくて切なくて良い。
とても素敵なお話。情緒溢れる丁寧な文章で非常に頭の中で風景が描きやすく、どんどんお話に惹き込まれていきました。時代小説はかなり久しぶりに読んだんだけど、当時だからこその様々な不条理があるし、人としての芯の強さを感じることが出来る。牧文四郎という一人の青年の成長と共に幼少期からの淡い恋心、父に降りかかる厄災、不遇の時代、剣の道、といったストーリーも盛りだくさん。ラストのお福さまの言葉「文四郎さんの御子が私の子で、私の子供が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか」素敵な恋を読ませてもらいました。
藤沢氏の作品を読むの初めてだったのですが、クセのない文章でさらっと読めました。かといって淡泊すぎず、主人公やその親友達とのやり取りなんかは生き生きと描かれているし、剣の撃ち合いなんかは緊迫感あるし、あと自然の描写が美しかったです。 何か「秘剣村雨」のくだりだけ唐突感あったけど、何はともあれいろいろ翻弄されつつも結局誰も収まるべき所に収まったのだなというラストで良かったです。
とにかくきれいな話。情景が美しく想像できる。父の死の場面では涙を誘われ、剣の場面では清々しさを感じた。友情,恋愛とさまざまなことを感じながらもぶれずに真っすぐ生きる文四郎の姿がかっこいい。最後にふくとのエピソードがありつつも切ない恋で終わるところがまたきれい。
風景描写のひとつをとっても細やかでていねいで上品な作品でした。制約のある世の中でそれぞれがせいいっぱいに生きる姿に爽やかさを感じました。
武士の青春、恋愛、友情を描いた作品。自分的にははかない作品だとおもった。いろんなことが。それにしても作者の風景の描写はよかったなー。時代小説の代表的、作品だろう。
藤沢周平は初読。光と色彩の豊かな傑作でした。すごくよかった。時代小説を見る目が変わりました。/ただラストはそこまで関係を踏み込まないで欲しかったです。あくまで好みの問題なんですが…
時代小説、敬遠していたけど、おもしろいじゃないか。映像で見る時代劇は、まったく別世界の話にしか思えないけど、小説では登場人物の気持ちや感性がより詳細に描かれているので、身近に感じた。同時に、刀で切り合うシーンなんかはとても怖く感じて、新鮮だった。
友人に薦められて、時代小説を始めて読みました。漢字の読み仮名が分からなかったり、意味も分からないことがあったりで、時間が掛かりましたが面白かった。 最後のふくとの相思相愛が確認できたこと、すごくすっきりと読めました。
清々しい空気が身体を通り抜けていくような心地良さ。読後、魂が浄化された感じ。こうやって少年は大人になっていくのですね。夏の終わりに読んでせつなさ倍増。
蝉しぐれの
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