高丘親王航海記 (文春文庫)

高丘親王航海記 (文春文庫)
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高丘親王航海記の感想・レビュー(242)

著者による他の作品や出来事を紹介する作品は、乾いているのが魅力的だと思っていました。それに対してこの作品はどこか湿っぽくて不思議な味わいでした。遺作と聞いて、世界中の物語を集めるのが好きな著者が、今まで紹介にとどめていたものを、自分の感性を全力発揮して今までの収集物を生かした小説を書き上げたのだろうと感じました。

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日本人の作家がこういう壮大な物語を書いた、そのことが嬉しい。中国やらアラビアの説話集的な趣があって、やはり澁澤はすごい。時空を夢現を楽しそうに行き来する親王の姿は、やっぱ澁澤のそれなんだろうか。文章も平易だし、空想の世界で遊ばせてもらえるし、子供にも読んで欲しいと思う。読んでて楽しい、久しぶりにそう思った。あと、解説の高橋克彦の文章も非常にすばらしい。

船上など、思うように動けない状態にあって精神が飛翔する高丘親王の姿が病床にあって精神を飛翔させる作者の姿に重なる。そんな状態でも軽く、流れるように文を書かせるものがあるとしたら、それは物書きの性なのだろう。きれいな澁澤龍彦である。
ナイス!ナイス! ★​ - コメント(0) - 01/29

遺作ということでどうしても親王が著者本人に被る。幻想小説と冠しつつも,そこかしこに置かれたペダントリーは類無きドラコニアの世界。正統倫理の敵と言っても過言ではない澁澤龍彦だけれども,本書で示される友情,忠誠・博愛などは愚凡な倫理書よりもはるかに胸を穿つ。
ナイス!ナイス! ★​ - コメント(0) - 01/26

西遊記や指輪物語的な、ファンタジー・アドベンチャーとして楽しめた。

高丘親王。平城天皇の第三皇子だが乱によって廃嫡され、出家。空海の弟子となる。その後、六十歳を過ぎて入唐、六十七歳の時に広州から天竺を目指しそのまま消息を絶ったという実在の人物。物語は親王一行が天竺に向かう所から始まり、その道中、親王の夢と回想を交えながら進む。/儒艮、迦陵頻伽、獏、犬頭人、蜜人など、旅の最中、さまざまな不思議に出会う高岳親王は間違いなくもう一人の澁澤龍彦だ。奇妙なものに出会う親王の強い好奇心は、そのまま澁澤のそれである。死の間際、澁澤が見たエキゾチックな夢を垣間見た。耽美かつ格調高い一冊。
ナイス!ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​ - コメント(0) - 01/22

もしもあの世へ行くときには、この本を一緒に柩に入れて欲しい、と思った作品の一つ。

11/11/7著者が故人だと知っていた場合、その最期がどうだったのか、この作品が人生においてどんな意味を持っていたのか、知って読むべきか否かが気になることがある。知らない方がフェアなのだろうが、氏に関しては旧友の傾倒が元で不本意ながら知っていた。しかし、それで良かったのだと思う。博覧強記の人だからこそ未だ見果てぬものがあったろうに、こんな心静かに満ち足りた入定物語を書け得たのだと知れたから。ベストを決めるには圧倒的に読み足りない。ただ、もし自覚した最期を迎えられるなら、私はきっとこの作品を思い出すだろう。
ナイス!ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​ - コメント(1) - 01/11
johanna.K
高丘親王に祖父の姿を垣間見て、物心ついてからいつかは読もうと思っていた『長安の春』と『東方見聞録』を読む決心がついた。旧年は前後して色々なことがあったが、この本に出会うことになった種々様々なきっかけに唯、感謝したい。
ナイス!ナイス! - 01/11 00:10


日本版ガリバー旅行記、でしょうか。それとも、西遊記!? 天竺を目指した高丘親王が目にする不思議な光景の数々… ラストのほろ苦さが、澁澤流なのか、はたまた日本文化の特徴なのか… 年末に向けて、面白い本を紹介いただきました。
ナイス!ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​ - コメント(0) - 12/24

この小説を病床の澁澤が自らの死を予感しながら書いていたことを思うと、やはり胸が詰まる。それは特に「真珠」の章以降、氏の咽頭の異物感と高岡親王の喉に痞えた真珠のイメージが重ね合わされていく部分から最後の一行までの展開に顕著なのだが、それにしても自らの分身としての人物の死を語っているにも関わらず「プラスチックのように薄くて軽い骨であった」などと飄々と書けてしまう精神の強さとは、いったい何なのだろう。ともかく「あの作家」の遺作として、これ以上に相応しい作品はない。
ナイス!ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​ - コメント(0) - 11/21

とあるCDがこの小説をモチーフにしていたのが読んだきっかけ。意外とファンタジーの部分は薄め、というよりところどころに散在している。にもかかわらず、読んでいるうちに知らずの間に幻惑されている。一気に読んだら、また抱く感想も違うのだろうなぁ。終盤の展開の美しさ、「そうれ、天竺まで飛んでゆけ。」この一言の真意を知る時、はじめてこの本を読んだといえるのだと思う。
ナイス!ナイス! ★​★​ - コメント(0) - 11/11

唐の時代、仏法を求めはるか天竺を目指した親王の旅物語。親王は齢七十近く、元皇太子という貴人でありながら少年のように若々しく好奇心いっぱい。その目を通して見たアジアの国々の幻想的で美しいこと。時折エロティックなイメージが混じるのも、少年の夢のようで楽しかった。
ナイス!ナイス! ★​★​ - コメント(0) - 11/06

数年前に挫折した本。再挑戦してみたところ、殿堂入りの面白さだった。艶かしさ・妖しさがたくさん詰まった白昼夢のような冒険譚。心酔…
ナイス!ナイス! ★​★​ - コメント(0) - 10/29

HF
「バウドリーノ」からの連想で久しぶりに再読。ひたすらに好きなモチーフを詰め込んで好きな事を好きなように書いたようなやたらと楽しいフリーダムさと遊戯性と、ぎゅうっと濃縮された小さな珠玉のような美しさ。それにしても何度読んでも秋丸かわいいなあ。
ナイス!ナイス! ★​ - コメント(0) - 09/11

さしずめ東洋版「シンドバッドの冒険」とでもいうべきか。脳裏に父平城帝の寵姫である藤原薬子と過ごした幼年代の記憶が不断にちらつき、古希を前にして旅に出るというパワフルな主人公・親王が唐代の摩訶不思議な東南アジア諸国を歴訪し天竺を目指すというお話。所々に見られる澁澤龍彦のわざとらしいご都合主義もご愛嬌。楽しんで読めます。エクゾティシズムが薫り立つ冒険譚。
ナイス!ナイス! ★​★​★​ - コメント(0) - 08/04

北京旅行の旅のお供に。彼の地で読了。透明感と軽みをそなえた美文を堪能した。

幼心を持ち続ける高丘親王の壮大な夢物語。高丘親王が天竺に惹かれるようにめくるめく冒険譚は陶酔境に浸れる古酒のような一冊。
ナイス!ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​ - コメント(0) - 07/21

幼い日の憧れから天竺を目指す御子。夢と現が溶け合ったような、突拍子もない、だけど不思議な魅力に溢れた旅物語。さらりとした文章なのに、どうしてこんな雰囲気を出せるのだろう。ファンタジーの一つの完成形。
ナイス!ナイス! ★​ - コメント(0) - 07/18

(以下、内容に言及あり)渋澤と親王を重ねて読んでしまう。 晩年にあって天竺を求め、珍しい事物に眼を輝かせる様子は、少年のようで微笑ましく、薬子や空海を懐かしく思い、秋丸の性別を自在に観じ、己の死の予兆さえ利用し鏡を封じてみせる、周囲への態度は、ただただ優しい。 楽しい旅路の果て、訪れた親王との別れに涙する、従者の姿はそのまま読者だろう。 それでも、日本に向かった真珠が、いずれの再会を約していった。親王は、やはり優しい。
ナイス!ナイス! ★​★​★​★​ - コメント(0) - 07/18

澁澤は末期癌でこの結末を書いたと聞いた。

夢のなかで夢を見ているような幻想譚。時空を自然に超えていく場面が多い。文章でも古典や古い名前と「スポーツのごとき」という現代的な表現が混ざっており、最初は少し違和感があったが、次第に今現在夢を見ているような、現在と過去を往復しているような不思議な感覚になってきた。親王の心境など、また10年後に読み返してみたいと思う。面白い小説だった。
ナイス!ナイス! ★​★​ - コメント(0) - 06/23

http://plaza.rakuten.co.jp/fcshiba/diary/201106030000/

いやぁ、面白かった! 奇想天外与太話ではあるけれど、何とも高貴な香りが漂う。澁澤龍彦自身が、病の床にある時に、これを書いたことを思うと胸が痛むが、そんなことは微塵も感じさせない。「美学」という言葉の似合う人だ。
ナイス!ナイス! ★​★​ - コメント(0) - 05/22

まさに夢のような読み心地でした。最近はこんな小説に滅多に出会わないな…。
ナイス!ナイス! ★​★​ - コメント(0) - 04/10

http://booklog.jp/users/beta-carotene/archives/4167140020

「ちくま文学全集」澁澤の巻に部分が収録されていて、そこから惹かれて読んでみました。幻想という言葉は便利(というか安易)に使われすぎている気がするから、ここではあえて避けておきます。日本から異国へ、現在から過去へ、また現在へ、夢から現へ、航海する高丘親王。老年にさしかかり仏籍に身を置く親王だから、色や恋からもほどよく距離をとっていて、そういうところでは、回想で語られる子ども時代と今が重なる。耳慣れない地名や名前や肌なじみのない習俗も、作者が澁澤だと思うと、ただ自分が知らないだけなのか、作家の創作なのかわから
ナイス!ナイス! ★​ - コメント(0) - 02/20

西洋の文学から出発し、日本の古典へと回帰した、澁澤龍彦という著作家の遺作であり、集大成といえる。今回でかれこれ五読目くらいなのだが、考えてみると、これまでなにかの岐路に立つたびに本書を紐解いている気がする。文学の効能ということを考えざるをえない。日本から天竺へ、天竺から日本へ。過去から現在へ、そして現在から過去へ。循環する物語は終わりを知らない。「そうれ、天竺まで飛んでゆけ。」
ナイス!ナイス! ★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​★​ - コメント(0) - 02/01

この面白さは小説にしか出せない。素晴らしい。

どこまでが現実でどこから夢なのか。最近の小説からはさっぱり見られなくなった文学の高き香り。

誰の選か忘れたけど、「すごい小説50選」とかいうのに入っていたので読んでみた。題名からはなにか、格調高いものを感じてしまうのですが、いやはやこれはとんでもないホラ話、いや失礼、御伽噺というか、ファンタジーですね、これは。親王が天竺を目指して旅をしていたように、人は何か夢を持たずには生きてはいけない生き物だと思いました。
ナイス!ナイス! ★​★​ - コメント(0) - 11/17

夢にはすぐ忘れたい夢と容易に忘れたくない夢があるがこれは紛れもなく後者であり、読み終えてからまた初めへと戻って読みたくなる。大蟻食が出た時の言葉のやり取りは爆笑物で、まさか澁澤龍彦の著作でこんなに笑わせられるとは思わなかった。
ナイス!ナイス! ★​ - コメント(0) - 11/09

頻伽の鳴き声が私の内に響く。文章だからこそ表現できる美しさだろう。

どことなく妖しく、どことなく耽美的で、どことなく淫靡で、どことなく生真面目で、どことなく極彩色で、どことなく現実的で、どことなく恐ろしく、どことなく楽しい。全体が茫洋としているようでいて、各パーツの輪郭はいやにくっきりとしていて、それが頭の中にぽたぽたと落ちていく。人間の個性を徹底して省略し、世界を徹底的に描き込む。
ナイス!ナイス! ★​ - コメント(0) - 09/20

作品内では「アナクロニズム」という言葉で軽く片付けられているが、仏教的な、循環する時間のイメージが物語全体に漂っている。それにつられて何度でも読み直してしまいそう。
ナイス!ナイス! ★​★​ - コメント(0) - 09/20

再読。グロテスクで幻想的な世界は映像化したら陳腐なものになってしまうほど危うく、小説という表現だからこそ出来る世界だと再認識した。
ナイス!ナイス! ★​ - コメント(0) - 06/23

なぜか機会に恵まれなかったがようやく読めた。絶筆ということでいろいろと思うところありつつ、親王が子どものようになんにでも興味を示す姿が単純に微笑ましかった。好奇心は天竺への旅にまで拡大され、さらに幻想の彼方へ。
ナイス!ナイス! ★​★​★​ - コメント(1) - 05/15
misui
ところでこの小説が再読必至なのは論を俟ちませんが、普通に読み返すのではなく、うしろの章から逆順に読んでいくのもひとつの手ではないかと思います。それこそ天竺から日本へ帰るように読めば、また違った感興を得るでしょう。
ナイス!ナイス! - 05/15 05:05


one of overrated novels

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高丘親王航海記の 評価:64 感想・レビュー:77
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