劒岳―点の記 (文春文庫 (に1-34))
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劒岳―点の記の感想・レビュー(305)
「八甲田山死の彷徨」に比べるとドラマチックさに欠けるけど、山の雄大さ、吹雪の恐ろしさなど自然描写の迫力はさすが。この筆者の描く主人公の男性は誠実で好感が持てる。
測量官 柴崎の剣岳登頂の記録 当時、登頂不可能、登頂してはいけない山だった剣岳に登頂する。 地道な努力、仲間への信頼、ねぎらい、周到な準備と計画性 それらすべてをぶつけ大偉業に成功。 しかし、前人未踏ではなかった。至上命令だといった上司(軍人)は この偉業を称えもせず、ねぎらいもしない。
後半からじわじわと盛り上がってくるね。長次郎いいよ。括弧書きで後に長次郎谷と呼ばれる場所であるという箇所を読んだときは鳥肌が立ちましたね。最後はまるで自分が岩山を登りきったかのような感じがします。
剣岳に初登頂した測量官・柴崎氏の登頂がやけにサラッと描かれている、そこが山屋にはたまらなく良い。登山の過程と登頂の結果を通じて山登りは単調なもの。一瞬の恍惚でしかないが、頂上の描きが最高。自身の登山を振り返る新田氏の後書きがたまらないほど共感を覚えます。
私も何度か剱岳に登りましたが、新田氏の描写同様、人間はおろか一切の自然物を寄せ付けない雰囲気がありました。登山道なんてもちろんない、そんな未開拓の山に登る測量師のパワーは、この小説からひしひしと伝わってきます。
近代における初登頂。偉業を自分も疑似体験している気がした。当時の測量官たちの内に秘めた使命感がひしひしと伝わってきた。それにしても、奈良朝と思われる時代に登頂した人がいたとは。錫杖の頭と鉄剣を目にしたときは、本当に驚いたことだろうな。いい小説だった。
レインギアは蓑、トレッキングシューズなんてなくて草履。柴崎さんたちの命がけの地図作りのおかげで、今楽しい山登りができるのですね。難所を越えて見える絶景、読んでいるこちらもうっとり♡気象庁にお勤めだったという筆者、お天気の描写が詳しくて臨場感アップです。上司、県の役人・・・いつの時代にも困った人種がいるのですね。山岳小説好きになりました。
長次郎、生田、鶴次郎、金作の4人が剱岳に登頂した描写…異界にでも辿り着いたかのように神秘的で、澄んだ空気が読み手の私にまで届きそうだった。実際には存在しない剱岳〈点の記〉だけど、こういった形で世に出たことで、柴崎等の一行は報われたんじゃないかな。長次郎みたいな気質の人間は絶滅してしまったけど、彼らの精神性は今も何処かに受け継がれていると信じたい。現代人の心が弱いのは、有り余る情報や手段のせいなんだって思った。映画化しようってなるのは当然なくらい凄い題材。
巻末の取材記録を最初に読んだ方が良いかも知れない。彼が登山愛好家ということもあり、文章がとてもリアルで読み手に山の厳しさがよく伝わってくる。
まっすぐな文章で劔岳登頂の苦難が良く伝わってきた。小説読了後に映画も見、またつい先日奥多摩の御岳山へ初めて散策に行った折、山岳信仰の宿坊というものも垣間見る事が出来、折良く山への思いを深めることが出来た。小説としても非常に良い出来で本好きには是非にもお薦めしたい一冊であった。読了後の映画もおすすめです。
剱岳登頂への道のりがすごく細かく書かれており、当時の苦労がリアルに伝わってきた。作者本人が取材のため実際に剱岳に登ったという話を見てここまで情景がリアルに描かれていた理由が分かった。
4年ほど前に登った剣岳の風景を思い出しつつ読む。現代の我々が地図を見ながら登山を楽しめるのも先人の苦労があってこそなのですね。いつの日か再登頂したら、また違う感慨が得られそうです。
新田さんの山岳小説は悪役のセリフが私のツボを直撃するw
前人未到の劔岳に三角点を設置しに行った柴崎芳太郎の物語。大自然の脅威だけでなく、先に登頂を狙う山岳会の存在や、富山県の役人達の邪魔な行為が、その目的の達成を更に困難なものにしており、その点、このストーリーを単なる登山小説だけでないスリリングなものにしている。面白い。映画を見ていないが、これの映像化はさぞ大変だったに違いない。
ほんと面白かったです、感動しました。あと長次郎が良すぎです!
映画(DVDで)を見たくて、でも先に原作読みたいなと思って読みました。文庫の方を読んで良かったです。巻末の取材記等がとても興味深かったです。新田さんの作品、他にも読んでみたくなりました。
淡々と進んでいく印象。でもその中でも測量隊の苦労が感じられたり、柴崎さんや長次郎さんの人柄が感じられた。剣岳登頂の価値が上司にそれほど理解されず、ライバルだと思ってた山岳会に正確に理解される、というのが凄く印象に残ってる。皮肉だけど、組織ってそういう一面はあるよなぁ、と思ったり。映画はまだ観てないけど、近い内にレンタルでも借りてきて絶対観たい!
昔、『観てから読むか、読んでから観るか』ってCMがあった。映画化の1年前に買ったが、先に映画を見てしまい積読本になったままだった。やはり活字と映像は別の媒体であるということに気づいた。
興奮した!確かに淡々と描かれているように思いはしましたが、詳しくかかれているので聞き慣れない言葉の中でも情景がよく読み取れます。所々ある妻への心遣いで、柴崎の人柄がわかりました。上官の期待ハズレの態度にはかなりがっかりさせられましたが、こうやって伝えられる事で認められたと思うと救われます。今度は映画を見ます!こんな物語があることを知れて感謝です!
★★史伝、歴史小説、時代小説をどこで区別するか悩んだ学生時代を思い出した。ドキュメント小説とかノンフィクション・ノベルもあったな。
明治39年、日本地図で唯一残された空白地帯、立山連峰。なかでも地獄の山とされた劔岳は、弘法大使が草鞋三千足を費やしても登頂が叶わなったという伝説があるほどの山であり、前人未到の山であった。この危険で峻険な頂への初登頂・測量を命ぜられた測量官、柴咲芳太郎の戦いの日々を綴る。道なき道を歩き、この大事業をやり遂げた先人の苦労が偲ばれる小説だった。
自然の厳しさや山の雄大さの描写が良いです。 誰も登ることの出来なかった『剣岳』に三角点を設ける事に命懸けて挑む姿は迫力があります。 測量は地味で脚光をあびる事も無い世界だけれど、ひとつひとつの測量の積み重ねが地図を作り上げていくと言う、当たり前の事に改めて気がつかされる。 山岳会との競争、不思議な業者、仲間との友情などドラマチックで面白かったです。
山岳会との劒岳初登頂争いが話の中心となった映画と異なり、測量隊が淡々と作業を進めて行く姿が描かれる。暴風雨の中、天幕の中で濡れながら凍え、下山した旅館ではまともな部屋に投宿できない等々の過酷な日々。晩年に、測量隊の足跡を劒岳に登って取材した著者のあとがきには敬服させられる。
確かに非常に淡々としてた。もうちょっとドラマティックでもよかったが、逆に「シュミじゃない、仕事」感や誠実さと評価すべきかな。映画では山岳会はかなりヤな敵役だったが、こちらは爽やかで良かった。山の苦労も栄光も山屋にだけはくっきりとわかる、みたいな。とにかく、「測量のひとたちありがとう!」。
今どきのエンタメ本と違って、淡々と話が進む。「ここはもうちょっと盛り上げなくていいのか!」と思ってしまう場面もあったけど、読み終わってみると、逆にそれが作者の、そして主人公柴崎の誠実さにつながってくるような気がした。
劒岳―点の記の
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感想・レビュー:84件














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