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橋の感想・レビュー(104)
どんな事情があっても、犯罪を犯すことや、ましてや人の命を奪うことが容認されることはないと思う。 でも、犯罪を犯してしまうのは自分とは全く違う世界の人間で、自分とは無関係のことだと言い切ってしまうこともできないような気がする。 誰かが罪を犯したことについて、親のせいだとか環境のせいだとか言うのは違うのかもしれないけど、でもその人の弱さや未熟さのせいだけでもない。 とにかく、いろんなことを考えさせれられ、いい意味でとても読後に疲れた小説でした。
三部作の中でも一番重たい作品だろう。モデルとなった二つの事件のことはよく知らないけれど、とにかく救いがない。僕自身、学生時代はあまりイケてなかったものの、こういう未来が待ち受けている可能性なんて、信じたくもない。でも、誰か三部作を映像化してくれないだろうか?
橋本治は容赦ない。実際にあった事件を題材にして書いた小説だがここに描かれるのは考えることを放棄した人間。だから結末まで抜け道もなく容赦なく断罪する。濃密に。救いなんて最初からないのだ、この小説の世界には。
実際に起きた二つの事件を題材にして書かれた本。 事件の背景に『育ち』の問題があったとは思わない。これは母親のせいでもなければ、時代のせいでもなく本人の問題だ。そうでなければ、育った環境で人生が決まってしまうじゃないか。同じような境遇でも立派に生きている人は、たくさんいるのだ。
予備知識なしで読み始めた。自分の世代と同じ話だなぁ、と思いつつ読んでいった先の最終部分。なんともあっけなく衝撃的な展開。だからどうすればいいのか、私にはわからない。タイトルの深さを感じた。
実際に起きた2つの事件、直接的な原因は結局誰にもわからないけれど、そこにいたるまでの人格形成の過程が生々しく書かれていて、決して愉快ではないけどおもしろかった。2人がどうやって生まれて、どう育ってきたか、たしかに愛情が足りなかったり、偏っていたりするのかもしれないけれど、その家庭は決して不幸なわけでも、特別な環境だったわけでもない。そのことが一番怖い。
日本の高度成長期からオイルショック、そしてバブル景気とその崩壊という激動の時代に翻弄される、不器用で生き方が下手な二人の女。その母親がかつて同じ中学の同級生であり、父親がバブルに乗って一時期の栄華をものにした後、やがて没落していく、また弟との二人兄弟という、ある程度共通点を持ちながらも、決して交差せず、でも上記の共通点以上の類似性をうかがわせる。ただ、本書のクライマックスとなる「第四章 橋」におけるストーリーの展開はあまりに性急で、他の人も述べている通り、もうすこし頁数を費やしてもいいかと思う。
読後はなんかどっと落ち込んだ。
同じような環境で育っても、罪に手を染める人とそうじゃない人の違いって?
何が堕ちていく要因になるんだろう。
淡々とした描写で、明確な理由が描かれてないのも、救いようがないというかなんというか。
引きずられる本です。
★★★☆☆ 殺人を犯した2人の女の生涯をたんたんと。こういうのは子育てが怖くなる。何がいけなかったのか、何が子どもの傷になるのか、ちっともわからないまま、事件が起きるなんて。でも、生涯を見ると納得できちゃうのが不思議。でも、相当にくどすぎる。
「巡礼」よりも、もうちょっと時代の下ったスタート地点から始まるお話。並行した二つの話が、最後まで交わることのないまま終わるという、なんとも言えない本です。子どもが育つってどういうことか、という示唆が随所にあって、教育関係者が読んでみる価値はあると思います。古典の翻訳モノや、くどくどと抽象的なことを書いている本の方が好みです。
さほど長くない1冊の本の中で、2人の女とそれぞれの娘の人生が語られる。母親は戦後という時代を生きた昭和の女、娘たちは昭和から平成にかけて育ち、時代の変転がありありと感じられるが、より豊かになった時代の娘たちの方が、より飢え、思いもかけぬ犯罪に手を染めていく。ぱっとワイドショーの写真や名前まで思い出す2人の犯罪者、2人のうっすらとした関係性はフィクションだが、日本の東北部の高度経済成長そのものを主人公として、2つのあだ花を置いた、これもまた橋本治の昭和サーガ。もう少し長くくどくてもよかったかな。
〈昭和のアイドル〉になるには一足遅れ、〈80年代の(もう一つの)アイドル〉である「霊」 にしかなれなかった少女たちの汚辱にまみれた生を周到な文体で描いた佳作。現実に存在する殺人犯らの心の闇といった読み筋もあろうがぼくの関心はそこには向わなかった(事件はあくまで小説内の出来事)。熱狂的な記憶を呼覚ますある〈時代〉への回復し得ない決定的な遅れ―。西暦/元号、都市/地方、上昇/仰臥等の二項対立が張り巡らされ、少し間違えれば社会学の論文になりそうな物語をかくも繊細な小説として成立させたのは矢張文体の力なのだろう。
事件を描くのではなく、ある時代を生きた人間がどうなっていくのか、客観的に観察するように描いている。やはり圧倒されるものがある。橋本さんは、小説という形を使って、評論しているのだと思う。
有名な2つの事件がモチーフになっている。が、事件そのものではなく、背景の昭和という時代を2人の女性を通して書いている。まさに今もひどいある虐待事件の報道が連日されていて、このモチーフとなっている事件を思い出すのは精神的に辛かった。
マスコミが安易に使う「心の闇」を、橋本治がその翳り始めたところから丁寧に描いて見せてくれる。橋本治のペンナイフは、どんな小さな齟齬もすれ違いも不満も抑圧も見逃すことはなく、その切れ味は情け容赦がない。主人公二人の人生を腑分けして傷つき腐りかけたところをかき集めると殺人のエネルギーになるのだ。
ラストで、あの有名な事件だったとわかりました。 その、過程が長くて、長くて^^; 確か、夫をバラバラにしたあの 三橋かおり 15年の求刑が出ていましたが・・・・・・・。 もう少し、掘り下げて核心部分を描いてほしかったです。 でも、一気に読めました!!
多かれ少なかれ、二例に含まれる要素というのは割とどこにでも転がっているような気がした。殺人という形で帰結させてあるから特殊な事例のように見えるけど。事件付近はさらっと流していたけど、踏み外した瞬間というのにも興味がある。
有名な2つの事件がモチーフ。その事件に至るまでの過程・・・と言うか、履歴のような物語。なんの事件がモチーフなのかがわかったのはラスト10ページw 昭和の時代背景はよかったけど、最終的にこの事件と結び付けなくてもよかったような気がする。
巡礼に次ぎ、実際にあった事件を橋本治風に歴史的に位置づけ、評論。このシリーズ続くのか? 正直あまり好みではないので、橋本治ウォッチャーとしてはちょっと困るな。
淡々として語られる人生の果てにこの事件、、ちょっと唐突過ぎる気がした。その「人生」とこの「事件」を結びつける必要はあったのかな。事件は実在の事件じゃないといけなかったのかな。
物語が淡々と特に面白くもなく進みましたが、なとなく感じる不穏なかんじ・・・それがあのラストに繋がるためのお話だったのね?う~ん、なんとも後味悪いけど、過去に実際あった事件の背景にもこんな物語があるのかもなぁ~。
初橋本作品。「あの事件には,こんな背景があった。」と思って読んでしまう。虚構か事実か。淡々とした筆致に,こちらの感情が大きく動かされることはないと思っていたが,引き込まれて一気に読んでしまった。昭和と平成の両方をしっている者にとって,鮮やかに浮かんでくる「匂い」が表現されているからかもしれない。
因果の法則を感じた。どこにでもあるような毎日、何気なく軽い気持ちで悪に近づくと、とりかえしのつかないことに繋がる。現代の悲劇はどこにでもその遠因は転がってる。
初めて読んだ橋本治。何の予備知識も無く読んでいたので、「なんでこんなに空疎な女の話を延々書いてあるんだ?!」と、イライラしていたんだけど、最後まで読んで「ああ、そういうことだったのか」と納得。それにしてもなんて救いのないいやな話なんだ…。苦手、私には無理と言い捨ててしまいたい気持ちもあるけど、橋の下を流れていく長靴が目に焼きついて離れない。
淡々と描かれているのは二人の女性とその母親たちだったりするのだけれど、実際メインとなるのは昭和のその時代だという気がします。 母親たちが青春をすごし結婚した、高度成長時代から日本列島改造、バブルとその後の時代…。 ラストへ来てとある事件にたどり着くのだけれど、それまではそれが全く判らなかったので余計にその時代というものを感じたのかもしれません。 りこの時代の闇の部分や歪んだ部分の行く末として、あの事件が選ばれ、この物語が描かれたのかもしれません。 読後なんとも言えない空虚な、やるせない気持が残りました。
予備知識なしで読み始めたので、そうかあの事件に回収されるのか、と驚く。そうであったかもしれない二つの人生。橋本節は快調で時々突き刺さる文言が。たとえば「子供から大人へと変わる時期、一部の子供はそのバランスを崩して、一時的に醜くなる-それが思春期の理不尽な苦悩でもある。」とかね。
2つの事件の犯人がモチーフになっているけれど事件そのものではなく事件の背後にあるもの、むしろ彼女たちの親の物語のような印象。淡々と語られているけれど昭和がどういう時代だったかということが上手く描かれている。彼女たちと同世代で子ども時代にバブルを過ごし自分たちが大人になる頃に崩壊してしまったので当時のことを思い出しながら読んだ。それにしてもやっぱり母親の責任って重い。
相変わらず鮮やかです! わからないものはわからないままで人の心の闇の深さをくっきり際立たせてくれる。その背景の時代が登場人物同様存在感をもって浮き上がってくる計算がじつにうまい!
これは実際に起こった二つの事件を思い出させる。でもこれは戦後日本の時代史でもある。北国に二人の哀しい少女がいた。二人は同じ県の小学生というだけで何の接点も無かったが母親はその昔中学の同級生だった。やがてひとりは夫を殺しもうひとりは息子を殺すことになる。二人の母親が生まれた戦後そして高度成長期、日本列島改造、少女が育ったバブルの時代。そしてバブルがはじけて時代がゆがんでいくように二人の人生も歪み破滅への足音が聞えてくる。時代の流れ、人生の流れ、あらがうことのできない本流に胸が痛み締め付けられる思いがした。
圧倒されました。派手な物語ではありません。独特の文体に、最初は戸惑うかもしれません。けれどぜひ、手にとって読み始めて見てください。ひとつの大きな流れに対する個人の無力。それをこの物語からは感じます。
「蝶のゆくえ」の虐待死の物語も「巡礼」のゴミ屋敷も実在の事件。虚構か現実か、読む側は錯覚に陥る。本作もあの事件の犯人のあったかもしれない過去、その母親達、そして時代。彼女達の心の闇は解明されないが、その闇を想像することが同じ事件を生み出さないことに繋がるんだと思いたい。橋本氏の作品はここのところ鋭く、脳を刺激される傑作が続く。やはり天才。
現実にあった殺人事件の時間を遡って追う人間像。「巡礼」のゴミ屋敷も、現代の人間の不可解な行動だが、この人たちの人生を振り返るとどこにでもいる人、どこで道を踏み外したのか。犯罪者になるかどうかは紙一重かとも。現代人は危ない橋の上でよろめいている。とても読みやすいテンポ良い文章で中身は深い。
橋の
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