ブラッド・メリディアン
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ブラッド・メリディアンの感想・レビュー(134)
荒野の描写が美しい。主人公の少年はいっさい心理描写がなく、荒野で光る遠雷と同列におかれている。人を狩る野蛮な集団が夜に焚き火を囲みながら妙に哲学的な話をしているのがおかしい。 この世界は残虐な出来事に満ち人はあっけなく死んでいく。マッカーシーは「世界はこんなものなのだよ」という。そこに神のようなものの存在を感じさせるが、それはキリスト教的な神ではない。実質上の主人公である『判事』は絶対悪というより、その神のようなものを体現しているような気がする。 世界がいかにそうであっても、夕暮れの海岸ににシルエッ
★★★★★★★☆☆☆ 暴力描写がキツくて、読み終わるまでに2年近くかかってしまった。残酷なシーンも多いが、この人の書く物語の渇いた孤独感は病みつきになる。
余計なものを削ぎ落とした、不条理で残酷な暴力そのもの。この小説は、一言で言えばそんなとてつもない世界だ。善人が殺戮される。悪人が殺戮される。強者が殺戮される。弱者が殺戮される。男が、女が、老人が、赤ん坊が、その骨や臓物、血潮を飛び散らせ、西部の大地で殺戮される。それも、一切の感傷も断罪も絶望も交えない、乾いた詩的なリアリズムで。この小説は史実を元にしていて、登場人物にもモデルがいるけど、その凝縮された、人間も風景も、世界をまるごと描く文章が、本書を暴力の神話としか言えないものにしている。圧倒的
著者の脂がノリにノッている頃だったのか、描写がかなりコッテリ気味…詩的で迫力はあるものの言い回しがややくどく、他作品と比べるとかなり胃もたれ気味の読後感。『血と暴力の国』で陰りを見せ、『ザ・ロード』で消えかかってしまう「炎」の存在をはっきりと感じるのは、判事という絶対的な悪がシガーのように車に轢かれること無く最後まで健在だからかと。上記二作品のような黄昏時ではない、生命力の絶頂点(メリディアン)ともいえる殺戮無双フルスロットルを原始時代から真空パックして持ってきたような内容は神話のようでもありました。
何度、何度も、読むのをやめようかと思った。女も年寄りも子供も残らず虐殺虐殺虐殺虐殺虐殺虐殺虐殺虐殺の繰り返し強奪強姦なんでもありで、耳は首飾り、もれなく頭の皮をはぎ取り買い取ってもらう「頭皮狩り隊」の仲間になった、孤児の14歳の少年がたどる生活が綴られる。荒涼たる荒野、砂漠、そこには愛の微塵もない。はたまたモデルがいるというから驚きだ。でも頁をめくってしまうんです。奥底の残虐な自分が読んでいるんだろうな。最後になってもいまいち著者の想いが分からなかったな。こういう書はほどほどいしておいたほうがいいかも。
ある意味、単純な小説。強い人が殺す。弱い人が殺される。でも結局、強い人も殺される。半端ではなく血が流れる。白い人の血もそうでない人の血も。「戦争とは神だ」と言う人(じゃないかも)が出て来る。神は意味を持たない。神とは意味そのものだから。メルヴィルは神を、あるいは世界を、鯨に仮託した。マッカーシーの場合、それは血と殺戮の彼岸、およそ生あるものすべてが相対化される地平の果てに、静かに浮かび上がってくる。最もおぞましいものが、最も透明な感動をもたらすこともある。私は本書でそれを知った。この荒野を見よ。
(☆☆☆)黄昏時の砂漠を写真で取り、それをコマ撮りアニメとしたものを見たような。そんな印象を受けた。というのも確かに話としては前へ進んでいくわけだけど、少年の心理描写がなく、またどのような場面であっても途切れることのない風景の圧倒的な描写によって、その言葉なき主張は絶えず断片的なものであり続けるように思えるから。ただ個人的な話として写真の類は好きではなく……要素として他の部分にも味があったほうが、好み。とはいえ、凄い作品だとは思う
家を出た少年は、やがて頭皮狩り隊に加わる。隊長のグラントンは、殺すことが目的のように人を殺す。少年の行くところ、常に判事がつきまとい、殺戮が行われる。判事は演説をぶつ。「生か死か、何が存在し続け何が存在をやめるかという問題の前では正しいかどうかの問題など無力だ」 今も昔も、日本は一貫して平和だ。
後の作品に繋がる要素は頻出するが、ここに火はあっても、まだそれを意識して運ぶ者はいない。
二度挫折している本書。やっと読み終わることができました。 コ―マック・マッカーシーの文体になれるまでがかなり骨で。 19世紀半ば開拓時代のアメリカ南西部を舞台にした物語だ。 14歳で家出し各地を放浪していた少年は2メートルを超える巨漢で禿頭のホールデン判事に誘われグラントン大尉率いる「頭皮狩り隊」に加わりアパッチ達の頭皮を剥いで売る生活を送る。高い知性と教養をもつ判事は、一方で虐殺の限りを尽くす。 描かれている暴力・殺人・戦争は想像するだけで全身に震えのくるような殺戮シーンの連続だ。登場人物たち
現代アメリカ文学の巨匠の傑作。 修正主義西部劇(Revisionist Western)。 アメリカ西部開拓時代、 インディアン討伐隊(別名:頭皮狩り隊)に加わった名もない少年の、 残虐で極悪な日々を中心に描かれている。 彼らの行為は容赦なく凄まじい。 決して討伐隊=悪、インディアン=善という訳でもない。 読点のない長文が重く圧し掛かってくる。 心理描写を極力排した、挑発的な神話と言えるかも知れない。
マッカーシーの文体は相変わらず。そして『ザ・ロード』以上にずっしりくる作品。
壮大で強烈。ひとつの作品でこれだけ描けるのが凄いと思った。
ただ判事イコール超人と見るのは、ニーチェ研究してる私にとっては少し懐疑的。たしかに話にニーチェ的なところはあるが、、
インディアン討伐の描写はすさまじく、グラントン大尉たちのイかれ具合が恐ろしかった。
この物語には二つ結末がある気がするが、どちらも衝撃的。なんというか、救いのない、徹底されたリアリズムを感じました。
舞台はアメリカ開拓時代。ただ"少年"(the kid)とだけ称される主人公は、14歳で家出をし、物乞いや盗人を経て、インディアン討伐隊に加わる。インディアンを虐殺し頭皮を剥いで売る、残虐非道の日々。そこに少年の感情は一切描かれず、物語が淡々と続くことに戦慄する。これは紛れもなく実際にあったことだからだ。読点の無い執拗に長い描写は若干読みにくいが、その内容に圧倒されて一気に読了。『人間を結束させるのはパンの共有ではなく敵の共有だ』という"判事"の台詞にははっとさせられた。ある意味、ピカレスクロマンの頂点かも
学校で教えられる歴史とは、言わば徹底的にリアルが削ぎ落とされたあとの出涸らしのようなものだ。本当に起きた事のほとんどは、語り継がれもせず書き残されもしない。小説こそが真実を描く場合があるとすれば、こういう作品のことをいうのだろう。
圧倒的な暴力。理由もなく殴る、撃つ、殺す。どうも情景はうかぶのだが、心に入ってこないというか、読み進めるのが辛いところもあり。自分には合わないのだろう。
家出をして放浪する14歳の少年が、インディアン討伐隊に参加し、残虐行為の限りを尽くす。その地獄のような残酷描写はホラーを超える恐ろしさ。知性と教養を兼ね備えた悪魔のようなリーダー「判事」のキャラクターが強烈。アメリカ開拓時代版「闇の奥」。
生きることは殺すこと。血膿で書かれた物語には殺して殺して殺して殺す場面しかない。そこには愛も憎しみも快楽さえも入り込む余地は少ない。果てしなく続く平原の穴には、まだ骨を埋める余地はタップリある。
一読すると、残酷な暴力描写しか印象に残らない。しかし、風景と人間を区別しない独特の圧縮された文章は、これもまた変人現象学者リンギスの散文に似て、面白い。主人公の少年の運命に思いを馳せて読んでいると、頭にガツンとショックが来る。グラントンや元司祭など、いろんな個性的なキャラクターが登場するが、やはりホールデン判事の言動は際立っている。ダース・ベイダー的な判事の、言葉と行動の埋めがたいギャップこそ、この作品のキモだろう。
もはや途方もないとしか言いようがない傑作。砂漠と無数の死体の光景が頭の奥にこびりついて離れなくなる。ほとんど悪魔的なまでに圧倒的な描写と文圧をもった叙事詩。巻頭から巻末まで、砂と血と泥のあいだを彷徨いながら、ここまで歴史を俯瞰する視点を実現できるものなのか。
今までなんとなく敬遠していたコーマック・マッカーシー初読み。すんげえ。人間を芯までとことんひんむいてる感じ。リズミカルに連なったなだらかな文体がまたいい(って、これは翻訳がいいってこともあるけど)。アメリカって国のときどきすごく鼻についてやだなって思うあたりを思いっ切り蹴飛ばしてくれてる気がする。途方もない虚無。薄っぺらなヒューマニズムだの理想だの、ぜんぶ蹴散らかす。生きる虚しさ、それでも生にしがみつく人間。陰画によるヒューマン・コメディかな。
まず、世界感が共有できないために、こうも自分の想像力が限定された場面でのみの力でしかないんだと痛感。それでも文体に慣れていくにつれ、部分的に、すんなり読めるところが出てきた。よくもまあ、残虐なことを残虐に、すらっと書けるものだと思う。ここに登場する判事は、一般的には悪であるはずだが、善悪を超えた視点でこの長い旅が描かれている。作家の力のすごさを感じる。(翻訳本だから、翻訳者の力でもあるが)
一文が長く、コンマも少ないためかなり読むのに骨が折れる。テンポよくすいすい読める本ではないが、その分はまるとなかなかその世界から出てこられない深みがある。あとがきによれば、トッド・フィールド監督による映画化の動きがあるそう。確かに2メートルを肥える巨体ながらつるつるした赤ん坊のような判事、砂漠に散らばる動物や人の骨の間をさまよう場面など映像化したくなるような描写が多い。残虐シーンをうまく乗り越えて"とんでもない"作品が出来上がることを私も楽しみにしたい。
インディアン討伐隊に拾われた少年が、人間を狩る過酷な旅に身を投じる物語です。この作品の恐ろしいところは、全く温度というか「熱」を感じさせないところです。夥しい数の人間が無造作に殺戮されて行くのですが、そこには全く高揚も感情もなく、淡々と、機械的に、単純作業をやったかのように、さらりと描写されていきます。まるでそれが人間の本質であるかのように。恐ろしいながらも目を逸らすことができない作品でした。。
ブラッド・メリディアンの
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