あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
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あなたのための物語の感想・レビュー(387)
◎。もうちょっと何かとも思うけど、力作には違いない。道具立てのディテイルに引っぱられて言いたいことがうまく伝わらなかったか、言いたいことに道具がついてこなかったか?
冒頭から主人公の死が語られ、読み進めて行けば行くほど気分が重く・・・。 不治の病による心身の苦痛の描写が生々しく、読んでいて心だけでなく 身体まで苦しいような錯覚を覚えた。 最後まで仕事を続けようとする主人公と、そんな主人公の役に立とうと物語をつくり続ける仮想人格《wanna be》。《彼》の最後の選択。そして、ラストの一文を読み、改めて人間の死について考えさせられた。
よみにくい。感情描写と情景描写と技術についての説明が延々と続くような。 仮想生命体と、開発者の生っていうテーマはいいと思うけど、本当に読みにくい。
重い。ひたすら思い。『円環少女』のバックボーンは、この著者の重さにあったのかも、と納得。死はすべてを捨て去る、ということを痛感させられた一冊。わかってたことだけに、突きつけられるものがある。
★★★★☆ 9 ここまで「死」について考えられた物語は読んだことがなかった。病気の描写が生々しく、著者の体験から書かれたのかと思ったほど。<>が繰り返す言葉の「何かお役に立てますか」は、あまりにも重々しい。どうしようもないとは分かっていても、繰り返す言葉があまりにも健気だった。そしてラストは涙無しには読めない。
〈物語・ことば・テキスト〉に対して紡ぐサマンサと〈wanna be〉の繊細な言葉が身に染みた。人間は、自分の〈ことば・物語〉から逃れるために他人の紡いだ物語を求めるのか。
伊藤計劃に対する追悼作品として、ある種の論理的必然とも言えるようなガジェット、テーマ、そしてなにより主題展開を見せる作品。実際、伊藤計劃を追悼する作品を“物語”というテーマで書いてみるといい。大体こんな感じになるから。この作品は、“死”に抵抗する何かを探そうとして最後まで挫折し続け、そして明確な答えを出せないまま、論理的には絶望のうちに閉じられる。皮肉なことに、死に対する恐怖というのを取り除くのもまた死なのである。死の先に“物語”は無いのだから。
死の本質をえぐっている良書だと思う。冒頭がああだったから悲劇で終わることは分かっていたんだが、それでも最後の一行はきつく、衝撃的だった。うまい構成だと思う。やりきれないものも感じるが読後感は悪くない。あと個人が必ずしも子を成して次世代を育む義務を負わない今の世ではあるのだが「死」をテーマとする以上、「生の連鎖」親から子へ子から孫へ、について、もうちょっと作者の卓見を読んでみたかった。ぶっちゃけケイトが死に瀕したらどうなるか興味がある。
「イーガン的」と評されるSF数あれど、これはもうテーマの選定から未来社会のディティールの出し方まで、どこを取っても完璧にイーガン。そしてドラマに大きな浮き沈みがあるわけでもなく、ひたすら「死」の意味、人工知能にとっての精神、「物語」の意味といったテーマが深められていく思弁的小説。凄い本を読んだという実感はあるが必ずしも満足してはいない。
冒頭、そして最後の一行が素晴らしい(段組の工夫なども)。きっと、伊藤計劃『ハーモニー』への素晴らしい返歌でもある。
最後の一文はただただ無機質で、そこに多くの「こころ」が抑制されていることがわかるために、この上なく感傷的でもある。物語は読者の言葉を奪う。この作品は、サマンサを通じてそれを行った上で、最後に彼女の物語のすべてを突きつける。本当の意味で、彼女とわたしたち読者はどこも変わるところがない。
SF+純文学=「あなたのための物語」、であるかのような小説。舞台は完璧にSFの世界なんだが、その理屈っぽい地の文と主人公が語るのはまごう事なき文学であるように思える。
死ぬことってなんなのか、とか、AIってなに?とか。人間を言語で記述することはできるのでしょうか。その言語で記述された人格が小説を書いたとしたらどんな風になるのだろう?
エンターテイメントとしては特に何の事件があるわけでもない。それなのに物語に引き込まれた。『死』は人類にとってありふれた、それでいて個人にとって最大の「事件」なのかもしれない。
死という題材のなかで、死とは何なのか、そもそも人間とは何なのか、そういったことについて考え・考えさせられる。これまたすごい作品に出会ってしまったようだ。ぜひともまた時間をあけて再読したい物語。ただ、自分の知識不足のせいで若干の読みにくさはあった。
ひたすらに容赦のない「死」という主題に、人間と機械、肉体と人格、言葉とそして「物語」を通じて真正面から凄絶にインファイトをかます小説。凄いよこれ。陳腐な言い草になってしまうが、ゼロ年代終わりの年に、マスな視点から「生と死」を見つめた「ハーモニー」とパーソナルな所からそれに向き合った本作が並んでたことには、やっぱり意味があるのだろうな。
なぜアメリカ女性という設定なのかという強い違和感、もしくは不信感は、拭えない。主題が個人的体験であるがゆえにこそ、何人にも論破しようもない良質のシミュレーションを、著者特有の繊細な執拗さで描き出している。まあ、ねえ。この著者にはなにか特殊な嗜好があるのではないかと思わせられるほど、したたるように生々しい病苦の描写が、ねえ。【警告】体調の悪い時には読まないで下さい。
死の孤独さと断絶性を完膚無きまでに描ききった傑作。この小説を読んで思ったのは、人間は誰でも物語を纏っているのだな、ということ。だから人間は人間として死ねるのだろう。サマンサと《彼》の物語がこれからもたくさんの人に読まれますように。
《あなた》のための物語。それは、あなたへの想いを込めた《わたし》の物語であり、作品に自らの気持ちを託した《作者》の物語である。そして、いつか死を迎える全ての人に捧ぐ《人間》の物語でもある。
体調悪いときに読み始めたので病状の描写に同調しそうできつかったです。そのせいかwanna beとサマンサの最後のやりとりには泣けました。再読は元気なときに。
超ストロングなブラックコーヒーにさらに塩を盛ったような1冊。主人公の壮絶な死に様が描かれるエピローグ的なプロローグを皮切りに、余計な手心や感傷はラストの一文に至るまで殆ど加えられず、「死」「機械と人間のあり方」について、形而上的問いかけで淡々とストイックに展開していく。心情的にも肉体的にもヘヴィな展開が容赦なく続くのだけれども、仮想人格【wanna be】と主人公とのやり取りには、結末がどうあれ幾分かの救いの面があったように思う。また、本書のシンプルで無機的な装丁には、読後の印象を随分代弁してもらった。
「死」とはどういうことか、人間の定義は何か?といった、簡単には説明できない事柄について、ITP言語を通じてもう一度考えてみようではないか、と作者に問われていると感じる作品だった。病気が進行していく初期段階のサマンサの行動や、病気の影響の描写が生々しい。
要再読。しかし読む時期を間違えると大変なことになりそうなのでそれなりの覚悟を持って臨むべし。
「死」は誰にも平等に、しかし突然不意打ちのように訪れる、太古の昔から現在まで、そしてこれからも我々人間について回る現象である。
怒り、悲しみ、恐怖し、戦っても逃げても必ずやって来る死。
人格を記述し移植が可能になろうとも、それが克服されることはない。
死をどのように扱うかという問いとそれに対する物語の可能性を提示した佳作。
内臓が血管が脳がふつふつと沸いて溶けだしてしまいそうな感覚に襲われて、読んでいる間じゅう、ずっと苦しくてせつなかった。「私は、あなたの、お役に、立てましたか」──肉体を持たない《wanna be》は、「死」を理解し、自分の物語を描ききった。残されたサマンサは、肉体を持つゆえの物語を綴ろうとする──わたしには、どんな物語が描けるのか。SFというジャンルの間口の広さに驚かされた小説だった。こみ上げる喉の奥の熱いものが冷める頃に、もう一度読み直したい。
小説。SF(で、いいのかな)。色々と考えさせられる話でしたが、今はまだ自分の思考が追いついていないのでとてももどかしい。一言で表すのなら『壮絶』。すごいものを読んだな、という感動ばかりが残ってしまい、放心状態。気軽に人には薦められませんが、多くの人に読んでもらいたい!と思わされる作品でありました。
死を目前にした主人公。病に苦しむ様は、ある意味スプラッター物のホラーより、現実的で恐ろしい。トイレで読書をすることがあるなら状況がシンクロしてて、気分はサマンサ。そんな彼女が死ぬまでに体感する生死観の変遷の話というか。これを読んでも決して死には希望は持てない。ここから何を考えさせられるか、だ。
身体性、一回性、テキストといったテーマ。ちょうど、野田秀樹の身体性と言語についてのトークをテレビで見たので通じるところがあって興味深かった。野田秀樹が言うには、話していることはたいていの人は言葉だと思ってるけど、野田秀樹は身体だと捉えているらしい。声とか息遣いとか。この本では、苦痛を感じたり死んだりする身体を持つからこそ、人間は特権を持つという。ただ、テーマや設定には惹かれたが、文章が似たようなことの繰り返しが多くて冗長な気がする。もう少しテンポいいほうが読みやすい。読み終えるまでに半年かかってしまった…
ひたすら続く苦痛と死に近づいていく描写が辛すぎて、物語にのめり込めなかった。なんか読むタイミング間違えたかも。少ししたら、再読してみよう。
成立しない(成就しない、ではなく)ことが予め決定されているラブストーリー。絶え間なく続く思考が重くのしかかってくる。どうにでもメッセージを込められそうなのに作者が出しゃばってこない結末が何とも。(稲)
サマンサと《wanna be》はITPを介して誰よりも濃密な意思疎通ができるのに決してお互いに受け入れられないというのが哀しい。サマンサの脳内に《彼》を書き込むというのは読んでる私としては最適解のように思えたけど、《彼》とってそれは、彼女の役に立つことにはならなかったのか。《彼》は死を以てテキストとして完結してサマンサにとっての救いの物語となりたかったみたいだけどこれも結局は彼女の役に立ったかは判らない。本当に救いのない「死」が物語られている。《wanna be》の最後の「お願い」もなんだか泣けた
あなたのための物語の
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感想・レビュー:162件














ナイス!
































