アンブロークンアロー―戦闘妖精・雪風
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アンブロークンアロー―戦闘妖精・雪風の感想・レビュー(471)
主人公をはじめとする登場人物があらゆる場所・時間に偏在して,主観的な時間や場所がポンポン飛ぶのだが,その並列宇宙的な描写が見事だった.続きが気になるが,また10年待つのかと思うと…(笑)
前二作より非生物(?)の敵であるジャムと人間が創った機械知性体、そして人間自身の「リアル」とは何か、といった哲学的な色彩が濃く、前半はややスピード感に欠ける内容ではあったが、そういった土台が再確認されただけに後半の疾走感はすさまじかった。このシリーズ、かなりオススメです。
(☆☆☆)フムン。リアルとはなにか、等哲学的な問題から量子論的並列宇宙における展開などは(理解できているかは別として)慣れてはいるので読みにくいとは感じなかったのだけどいかんせんそればっかりで話が進まず、戦闘機等の「おいしさ」は少なめな感じ。ただそれでも面白いと感じる所は多々あり、こう、なんともにくい。「放たれた矢」のパートは文章もろもろ美しいと思う
どんどん哲学的、思弁的になっていく。むしろ初期の活劇色が薄くなり神林長平の本質が透けて見えてきているのかもしれない。リアルな世界は事象の選択により、主体によって違った見え方をする辺り「擬動」出来そうでもある。前半の語り手が入れ替わりながら事態の描写をする下りが、雪風の「力」だったと明かされ、ついに機械知性が「言葉使い師」になってしまった。最後まで描ききって欲しいけれど、一方ではフェアリーにラジェンドラを持ち込んでCDSをぶちかましたい衝動にもかられてしまう。
大好きな雪風シリーズですが、どうも読むスピードが上がらず、読了までに丸丸1年間を要してしまいました。遅読にもほどがある!前半部分は哲学的な問答のようだったからかもしれません。やはりこのシリーズは零と雪風の対話が成り立っていないと面白くありません。物語の終盤、わずかな時間ではありましたが、1本の矢となってメイヴ雪風が地球の空を舞ったときには、沈着冷静な零に代わり喝采をあげたくなりました。そして、零とリン・ジャクスンが邂逅したシーンは、ジャムと戦う「戦士」としてお互いの存在を確認したかのようで感動的でした。
一気に読むと混乱してよく理解できない・・・ので、何回にも分けて読了。先の2冊よりも哲学の要素が強く、悪戦苦闘。それでも読み終わった時には満足感がたっぷり。
再読完。話の筋がきっちり理解できたうえで巻末の「解説」を読んだところ、解説が素晴らしかった…。しかし今回のジャムの打ってきた手が、新たにジャムが打てるようになった新しい手段だとしたら、それを前提にリアルな世界に心酔するロンバート大佐という位置づけが良く分からない。そういう世界に人間が関わりあえるようにロンバートがジャムに知恵出ししたんだろうか。 ところで雪風以外のスーパーシルフは何故雪風のようにならなかったんだろう。そんなに深井中尉が特別とも思えないんだが。
何とか展開について行けたので、最後に収斂されていく感は有ったが、そもそも色々な個所に構成上の違和感。初読では感想をまとめられない。要再読。
毎度のことながら悪戦苦闘して読み終わる。本作では〈認識〉を中心とした問題が飛び交う。読んで納得と驚愕に震えた箇所もあれば、理解出来ずにお手上げの箇所も。最終章の放たれた矢は綺麗に纏められていたので読了感は良好。きっと続きが出ればまた読んでしまうだろう。何年後になるかは解らないけれど、実時間に問題はない。
前二作とは雰囲気の違う最新作。作中で時間は意味がないという言葉のように、事件ごとに紙面上に物語が散りばめられている様式を取る。初期の状態では人間の時間や感情の概念を知らない機械が、それを理解していく過程のように書かれている。続編があれば楽しみ。
途中の経過は前提が成り立つような成り立たないような展開で、まさに思考が揺さぶられる感じ。途中で読むのを止めたくなるもついつい先を読ませる構成は流石というか。最後までいくとすっと消化できる内容になり呼んでよかったという安心感と満足感を得られる。最初のほうなら「まだ続くのかよ…」。でも最後まで読むと「で、続きはいつなの?」な感覚を味わえます。新作が出たら全部読み直しだな。あと答えは天国にはないという言葉はとても心に残りました。
3作続けて読んだけど、どんどん文学に寄って行ってる気がした。それぞれの視点で語られたことを雪風の視点から確認する場面の、発話が終わると映像が停止するという描写は、実時間を伴わないことが可能な小説の地の文そのものである。大幅な路線変更があったシリーズ最新作だけど、これはこれで完成度高い。
抽象的なモチーフと会話で展開していくストーリーに驚きましたが、じっくり読んでみて、やっぱり面白かった。互いのリアルを手探りで当てはめていくキャラクターたちと、同じ目線で読んでいる気分になる。「グッドラック」が人間が機械を理解しようとする話なら、こちらは機械が人間を理解しようとしている話でしょうか。「人間はいらないんじゃないか」と言っていた頃からしたら、雪風が零の「人間らしさ」を必要としているのは、どちらにとっても劇的なことだなー。
哲学的であり、「ジャム」という存在を探っていく中で人目線からの世界のあり方を確立しようとするかのような思索的な内容になっている。 そして深井大尉は今回、明確に自分を「人間」として意識するようになっていく。雪風とは離れる事は無く、しかし確実に分離を始めているように思う。内容は会話文がほぼ文章の半分を占め、哲学的な事をとうとうと語り合うもの。非常に抽象的だが、面白かった。
一度読んだくらいではよくわからない。それでも雪風シリーズは好きな作品。理解しようと頭がフル回転して、現実感がグラグラしてくる。この感じがたまらない。難しいんだけど、キャラクターが魅力的なので読み進めてしまう。文庫が出たら買って、じっくり読もうと思う。
クラクラくる作品だった。時間軸で見るとほんの少しの時間が経過しただけ…ジャムとの戦いが終わるときは(実時間でって言い方も違うけど)一瞬でカタがつきそうだな、と。続きが気になる。
表紙に戦闘機は描かれているが、空戦をやるシーンはあまりなく、哲学的な話が大部分を占めている。そんな哲学的な精神的な面での敵との戦いの描写が長くて少し読むのに力が必要だったが、自分では普段あまり考えていない思想に触れられたので読んでよかったと思えている。
前二作と比べて、エンタメ的な盛り上がりと引き換えに、より思索に傾倒した印象。視点切り替えの多用は、作中で語られる「リアル世界」を想起させ、言葉によって浮かび上がる、意識する対象への操作、つまりは「小説形式」が、そのまま最後に〈雪風/機械の視点〉へと辿り着く。雪風/機械は、世界認識も判断基準も根底から異なる「他者」であり、ジャムによる二者の分断は、それを理解する人間によって超克される。それが、機械に代替され得ない〈人間なるもの〉の自己証明となり、その全てが"意識"されたとき、“雪風”との「対話」が始まる。
ブロークンアローのラストは何回読んでも泣けてくる。世界・認識・言葉・時間・存在・意識、それにシュレーディンガーの猫!好きなテーマ満載のSF映画を観たような満足感。自分が見ている景色や信じている感覚を足元からすくわれる快感にゾクゾクする。中盤、空を飛ぶ雪風の少なさに物足りなさを覚えた感情を、ラストシーンで矢の様に飛び込んできた雪風が一瞬で塗り替えてくれた。続き、待ってる!
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