ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
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ハーモニーの感想・レビュー(1353)
近未来の話。怖い世界だと思う。「健康」という誰もが否定できない大儀(といえるのかよく分からないけど)を掲げ、自由が制限される世界。誰も望んで病気にはなりたくはない。だから「健康のため」といわれると、従わざるを得ない。ラストも、嫌な方向に向かったように思う。こうなると、人間は絶滅していくのではないかしら?人間は自己増殖できる生き物じゃないしね。
『虐殺器官』同様メッセージ性の強い、精緻な世界観。今回は語り手が感情を抑制された兵士ではなく女の子なので、文体もがらっと変わっている。何より、概説書的な『虐殺器官』と違い「小説」してた気がする。「ハーモニー」というタイトルも見事。いいディストピアでした。
読み応えがある本。そして、幸福とはなんだろうかと考えた本。健康(体・精神共に)であることは重要なことだが、それだけが、重要視される世界。逃れるには死かそれとも意識を無くすか。最後に所々に書いてある英語(プログラム)の理由も分かる。
強いメッセージ性を持った世界観と、現実世界の延長線上にあるかのような世界情勢の構図。SF的ギミックを用いたリアリティのある近未来描写。それら全てが豊富な知識をベースに緻密に形作られている。またタグ< >を利用した文章が合理的でユニーク。エンタメ性は薄いがメッセージ性が強い。この世界がどういう進歩を遂げ、何が犠牲になり何を得られたのか。そこに生きる人が何を思い生きて行くのか。今の時代に強い意識を持ってユートピア・ディストピアを構築し、その未来を踏まえた上で、現代の問題点の自覚を促し警告を受けているかのようだ
『単調凡庸な都会生活と波乱独創な未開地と、どちらがいいですか?』 話の皮切りは、誰もが思春期に悩む自分の価値への疑問や周囲との慣れ合いへの否定を思い起こさせキャッチーである。しかし後半は世界観の魅力が薄れて、読了後の印象に薄い。 文中の「WachtMe」のネーミングセンスの良さに比べ表題の「ハーモニー」が平凡で惜しい気がする。 不健康でもジャンクフードっておいしいよね。
「虐殺器官」と同様、すごいとしか言いようがない作品。精緻な世界はやさしいのに息苦しくて、真綿で首を絞められているよう。抜け出すには死か意識の喪失かという道しか残されていないユートピア。ユートピアを描いた小説のようで、ディストピアを描いているのかもと感じます。自律を外注してしまえば、それはもはや自律ではないのだと思いました。全身全霊で「幸福ではない」と叫んでいるようなラストが印象的。
最初は文体に慣れずに、どうなのかなと思っていましたが、読み進めていくうちに逆にこの文体が癖になるなあと思いました。人間の体が機械によって常にモニタリングされているという世界観も、すごく緻密に練ってあって、よくこんなの思いつくなあと素直に感心してしまいました。完全調和の世界は平和で美しい世界なのかもしてないけれど、この本を読んで、私は私であることを認識できる大切さを実感した気がします。
登録忘れてたけど2011年末に読んだので4回目。 人が生きるとはどういうことかをSF的要素を利用し追求して一つの答えまで突き詰めた作品。色々と細かいことで語りたいこともあるが、何よりも、この人の命を最重要視するディストピアを描いた物語が長年闘病生活を送っていた作者の遺作であるという一点だけでも胸がいっぱいになる。 本当に惜しい人を失くした。
感想が書けるほど理解出来なかったが、よくこの設定を創り上げたなと思う。今の社会が発展して健康重視の世界になる可能性もあるだろう。好きではないんだけどSFとしておもしろい作品。
マークアップすることで表現された物語。文字情報から内容を読み取り、メタ情報から静寂、映像、恐怖、驚きetcの情景や感情を読み取るちょっと不思議な読書体験。そうして表現された物語は凄まじいの一言。人の意識とは進化の遺物なのだろうか。極力自然を排し完全に調和のとれた社会を築き上げた時、人類という種、利己的な遺伝子は個人を必要とするのだろうか。伊藤計劃を亡くしたのは本当に大きな損失だと思う。物語に散りばめられた数々のパロディは不要なものの、それを差し引いても余りある価値がこの本にはある。
全てを読み終わった後、HTMLの意味に愕然とした。人間の進化はその場しのぎの継ぎ接ぎでしかないという説にひどく納得してしまった。わたしがわたしであることを考えさせられる本。
凄過ぎて感想がまとまらない。 文明の発展を突き詰めると、個人の意志、意識は不要になってしまうのだろうか。でもそれって機械となんら変わらない気がする。この物語はハッピーエンドなのかバッドエンドなのか。。。「繋がれていない」人達とのこれからの関係を考えるとなんだか怖いです。
フィクション小説の頂点。SF好きでない人も、「物語」に飢えた人は読んでみてほしい。世界中の人々がサーバーで徹底的に管理され、病気も無く、健康的に生きている社会。個性が薄くなった社会。そんな社会の中で、人類が終末に向かっていく雰囲気を、こんなにも静かに、美しく書くとは、末恐ろしい人だ伊藤計劃。そんなありえそうな未来に恐怖を感じつつも、読了後は優しい気持ちになれた不思議。少しだけ繋がりのある、虐殺器官から読むのがベスト。小説という媒体の使い方も秀逸。そして予想できなかったラスト。全てが完璧、正にハーモニー。
すべての人間が調和した世界…この本を読み終わったあと、仕事で接する横柄な態度の人にも今までよりちょっとやさしい気持ちになれた。私は調和していない世界を、意外に気に入っているのかもしれない。この著者の新しい作品がもう読めないのかと思うと、とても残念です。
SFと言えば堅苦しく感じる人が多いと思いますが、本作品で扱っている テーマ自体は中高生に特に感じることだと思うので、中高生に特に読んで欲しいです、文体も時折はさまれるxml系の言語以外は平易ですし。 エンディングは正直想像全くしていなかったので衝撃的でした、作者が死の淵にいたからこそ考え付いたのかと思うと感慨深いです、xml系の言語も何かの仕掛けだと思いながら読んでましたが最後まで読み終えたときやっと 意味が分かりました。 文も平易ですし、テーマ自体も人間にとって普遍的な物なのでもっと読まれるべき作品です
この人の作品はほんとに作り込まれた世界観とか凄まじいのだけど、裏にものすごく悪趣味な笑いを織り込んであるのが良いんですよね。おいおいおい誰がうまいこと言えと、言いすぎだろはっはっは……と笑ったあとに背筋が冷える。みんなわかってると思うんだけどね。どんなにリスクを排除しても、世界に陰惨な空気が満ちている限り惨劇は何度でも繰り返される。自分で自分を殺したくなったりもする。僕らの敵は空気だと。
衝撃的だった。とにかくそのひとことに尽きる。『虐殺器官』では参考資料の山に隠れてよく見えなかった伊藤計畫という人間が、この作品では派手派手しく姿を現してくれた。『SFは思想性』と貴志祐介さんが語っているのをどこかで見たが、そういう意味で、この作品は、SFの一大傑作だと言って差し支えない。死の苦しみに冒されつつ、これほどの作品を書き上げた作者の胆力には、ただただ頭が下がる思いだ。
タイトルがプログラム言語で書かれてたり登場人物の名前がアレだったり展開が世界系だったりで、この厨二っぽさ、ついてけるかしらんなどと思って読んでいたが、間もなく違和感なくなった。なるほど必要な表現だった。大部分の世界がハレルヤになったあとの“繋がれていない”人々との関係が気になる。停戦監視活動とか? あと、仮にそういう人たちに攻撃を受けた時に意志を持たない人間はどう対応するのだろうか。
ある程度神経科学関連とか、感情や意識に関するあれやこれやを調べたので改めて読みたくなったので読み返す。ユートピアの限界点。ディストピアの到来。WatchMe!!
設定が緻密で、デッドメディアや死語の扱われ方などよく考えたな~と思う。人間の意識に関する考察が新鮮。英単語の勉強になりました。
医療を中心として、思想・生活・風潮の全てが調和の取れた社会。“善”なるシステムによって、完璧なまでの優しさ、正しさを押しつける“ユートピア”の限界と、それを超えるための、人類の新しい進化の一形態が提示される。極端すぎるほどの世界観には正直現実味が感じられなかったが、この“行き過ぎてしまった世界”を“二人の少女の物語”という形で読みやすく、しかしあくまでも乾いた筆致で描き出しているところが面白いと思った。個人的には、プログラミング言語についての知識が皆無なため、作品を髄まで味わえなかったのが残念でならない。
面白かったけど、文章はいまいち好みじゃなかったので、ちょっとだらけ気味に読んでしまいました。自分達にとって当然だった物の話が結構出てくるけど、大して話が膨らむわけでもなく……映像で見たほうが面白かったかも。
「虐殺器官」とリンクしていると思う。作者が健在だったら、「ハーモニー」にリンクして、さらなる「第三部」があったかもしれない。作者の生涯と重ねてすぎて読んではいけないかもしれないが...作中のセリフが今となっては、せつなすぎる。ラストでの驚愕はまさにSF。謎の追究というミステリーとしても「虐殺器官」よりぐいぐい引き込まれた。思い読後感に打ちのめされる。「人類」とは...弱い生き物なのだ。
読み終えてなんとも言えない気分になった。虐殺器官もだったが、緻密に練り込まれた世界観には驚く。完全平和の世界、誰もが健康な世界、読みながら考えさせられた。屍者の帝国…読みたかった。
虐殺器官の続編と聞いて、なんとか大尉がばら撒いた虐殺の文法のせいで起こった混乱の中で表紙の女子高生たちが繰り広げるB級サバイバルアクションを想像したけど全然そんなことなかった。しかし面白かった。
★★★・・・ん~私にはちょっと難しくちょっと読むのに時間がかかった。『迷いも、選択も、決断も存在しない、限りなく天国に近いもの』人間が内面を消し去られた世界・・・キモチ悪い。ただ、肌のデキモノを兆候のうちに潰してくれる医療分子の群・・・羨ましい。
厚みのある本でゆっくり読もうと思ったのにできなかった。謎が絡むと先が知りたくて疲れてもずっと読んでしまう。随所に点在するタグの意味は分からないままに世界観とちらつくミァハの影や回想での彼女の言葉・考えに黙々と読みふけっていた。一気読みはわりと疲れる話かも。最終章を読んで物語としての全体像がすとんと胸に落ちてくる感じ、読み切った時の脱力感や無力感は秀逸でした。しっかりして骨太で読みごたえある話
本文がXML風の言語でマークアップされている。この斬新なスタイルも実は伏線になっているのだけど最後の最後までまったく気づかず、ただ単に未来感を演出するためだとか奇を衒ってみたのだろうとしか考えていなかった(というかさほど気に留めていなかった)自分の何と頭の悪いこと……。でも展開が読めない作品ってやっぱり面白い。
etml が話のなかでどのような意味を与えられているのかが最大の関心事だったので、この結末はなかなか素敵だった。一体どのようなタグが実装されているのだろう。私たちにとって当たり前のものがない世界、記述されてはじめて現れる世界を想像するのは骨がおれるけど、それが今の私たちを見つめなおす面白いきっかけになるのかもしれない。
ハーモニーの
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感想・レビュー:508件















ナイス!


































