虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
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虐殺器官の感想・レビュー(772)
作り込まれている小説。現代社会の矛盾を出している。いろいろ考えることが多い。特記しなければならないのは、どんなにテクノロジーが発展してもそれを動かすのは人間であり、人間の意思という事だ。だが、それはどこまで信用出来るのだろうか。
タイトルと装丁に、ギョっ~!で最後まで読めるかなと思ったけど大丈夫でした(*^_^*)。近未来SFのなかに哲学的なものや現代社会の抱える問題がいっぱい詰まっていて、いろいろ考えさせられる作品。良くできているなあと思う。特殊部隊の装備にワクワク。
虐殺の文法が完成するのは、罪を背負うことと罪に背を向けることが一致してしまう地点である。本書は、主人公が一兵士から虐殺の語り手になる軌跡を一貫して論理的に描いてみせている。それは、物語内、つまりクラヴィスにとっての戦場の位置が変化することであり、物語外、つまり読者にとって、クラヴィスの結論をもっともな選択だとして享受できてしまうことであり、そして、本書の与える衝撃は、この自分の態度を批判する視点を仮構することが非常識ですらあることへの驚きである。物語の内と外で、虐殺されたものとは何だったのか。
勝手に政治的戦略を巡らす話だと思っていたので、結構現場仕事でびっくりした。本当にこうなるかもなぁという絶妙な近未来SFだけど、ちょっとお母さんのエピソードがくどい。
本書がデビュー作だと知りひっくり返った。一字一句を解読するように追っていたため膨大な時間がかかったが、そうすべき作品だった。読了後の静けさと興奮が噛み合わない。「それは、ぼくが見る死者の国の夢と、そう変わらない風景だったからだ。」印象に残っていたシーンだが、この心情が物語の結末までもを語っていたように思う。
微細にわたり作り込まれた世界観、リアルと非現実感ギリギリを危うげにさまようストーリーが魅力的。一人称で淡々とした語り口も読みやすく、著者の器官が生みだしたコトバは確かに私を揺るがした。「人間は、見たいものしか見ない」――“一部の平和”は常に“他の誰かの犠牲”の上に成り立っている。それを前提とした上で、我々は、どう進むべきか。目の前の世界を守るために、武器を行使する?思考を停止し、何かに決定権を譲り渡す?人間の利他性を信じ、“痛み”と向き合う?その答えの一つが、「ハーモニー」だとしたら…皮肉としかいえない。
評価が分かれる作品だと思う。私は軍事諜報系の本は好みではないのだけれど、評判を聞いて読んでよかった。五感の存在しないリアルさの希薄な世界感や、設定と論理とで成り立った文章が独特だった。ラストの転換を含めて、書きたいことがあるという熱意は伝わってくるのに、エンターテイメントとしてきちんとまとめている姿勢には好感がもてた。読み始めたときと読み終わったときでは世界のあり方がまったく違ったものになっている、その感じが好きだ。稚拙な部分もあるけれど、この勢いと稚拙さがなくては成り立たない作品のような気もする。
この方の本は初めて読みます。久しぶりに面白いと思った本でした。ラストも好きです。ですがもう亡くなられているのですね…。残念です。他の作品も読んでみようと思います。
「ハーモニー」を先に読んでいたが、それでもこの世界観に圧倒された。「ジェノサイド」のコメントに時々この本の名が出てきたのがわかった。だが、「ジェノサイド」よりこちらのほうが「実際そんなものだろう」と思ってしまう。面白い、というには重いテーマを含んだ小説だが、引き込まれる世界だった。著者の早逝が惜しまれる。
07.6.25.282p。画:佐伯経多・新間大悟。軍事SF。軍事物になじみがないせいか、すらすらと読めず。でも未来軍事SFの設定は嫌いじゃないので機会があればゆっくり読み直したいかも。
名前と表紙に惹かれて。軍事物もSFもほとんど読まないのだけど、これは面白かったです。近未来を舞台にテロ対策に許された暗殺を実行するアメリカ軍の特殊部隊の人間が主人公。混乱する国の政府に入り込んでは、虐殺をもたらすジョン・ポールという謎の人物を追って行くうちに感じる自分への違和感。自分の中にある殺意は、果たして本当に自分のものなのか?それとも感情調整で与えられる薬物によるものなのか?
図書館の返却棚に並んでるのを見て何となく借りた。この本に出会えて良かった。読み終わってココを見るまでこの作家が既にこの世にいないことを知らなかった。もっと作品を読みたかった…残念でならない。全篇を通して死と破壊の音であふれた戦場を描いた作品なのに、この静かさは一体何?根底から存在の意味を覆す世界のありように、読み終えたあとしばらく虚脱状態に陥って困った。主人公の心境には強く共感した。ラストについてはまだ考えがまとまらないが、クラシック的で綺麗な終わり方だった。あと3回は読みたい。図書館借り、購入予定。
足元への信頼を揺さぶるSF。あるものに対する過信。科学、情報、インフラ、言葉、国家。足元への信頼篤く、落とし穴は見てみぬふりをする。では何なら信頼できるのか。俺なら、自分なら信頼できるだろう。遺伝子、ミーム、薬物に左右されない“自分”があるとでも?・・・そんな「ここに落とし穴がある」と声高に叫ぶ輩はケシカラン!ここにある幸せを享受して何が悪い!自分が落ちなければそれでいい・・・!知る必要なんてない――。それで、いい・・・・・・?
面白かった、という言葉だけでは片づけたくない。出会えて良かった1冊。某雑誌の編集者に「全世界の人が読むべきSF」と言わしめたそうだが、さもありなん。近未来の、世界中で内戦が続き人が死ぬのが当たり前になった国々と、そこから切り離された一部の国に生まれ、暗殺を生業にして生きる男の物語。人が生きるとは、死ぬとは。人が人であるとは何をもってするのか、考えさせられる。個人的には主人公たちの「ことば」に関する考察や、それに関連した会話が面白かった。作者が311以降の日本を見ていたならどんな物語を生み出しただろう。
前評判の割には…という感じではあったけれども、軍事モノをほとんど読まない自分にとっては新鮮で面白く読ませてもらった。細やかな情景描写と淡々とした語り口を両立させたような文体も好き。しかしなんだろうこの結末……。
9.11以降の「ライ麦畑でつかまえて」。SFは苦手なのだけど、読んでよかった。救いがないけど、もうそんなもの世界中どこにもないのだ。そしてこの作者の新刊がもう出ないというのが悲しい。
驚異のデビュー作。戦争地域が拡大を続ける絶望的未来にリアリティーがありすぎて怖い。早逝した著者がもし生きていたら、どんなフクシマ以降を描いたのだろう?
軍事物はあまり読まないので、なかなかに新鮮でありました(登場する単語をいちいち Wikipedia で調べたりしつつ読んだので、時間がかかりましたが)。 言い回しが少し読みにくいなと感じるか箇所がチラホラと。でも、このドライな文章は嫌いじゃ無いです。夭折したのが惜しまれます。 虐殺の理由があっさり語られているところが唯一不満。クラヴィスとジョン・ポールのねちっこい会話が100Pくらいあれば良かったのに。 人工筋肉とか、環境追従迷彩とかのSF的ガジェットは、けっこう気に入りました。
文庫版の表紙と題名でホラーだと思い込んでいたけど、SFなのね。グロさ控えめで楽しめた。功殻機動隊とイメージがダブる。功殻と比較して、機械というより肉そのもの、人間そのものが戦っているのがリアル。科学が発達しても、人間は殺すことをやめられないのね。
哲学的なのがすごくツボ。個人的に主人公の恋的な部分は必要なかったかな、と。表現のしかた(ぐろっちいところ)はなかなか好き。過剰にぐろさを出してるんじゃなく、描写したらぐろくなった、という感じ。だから世界観にもすんなり入れるのかな、と思った。
暗殺のスペシャリストな軍人が、世界規模で起きている虐殺の背後にある人物を追い詰め、戦う。アイデアはシンプルなトンデモ物語なんだけど、チェコやインドの風景、軍事的ペダントリーが読んでいて心地よい。あんまりセカイ系という感じではないですね。神林長平の子供、小松左京の孫、という感じ。
日頃あまり(というかほとんど)SFは読まないのだけど、勧められたので読んでみた。グロテスクな死体や銃撃戦の描写が多いけれど、作品全体から感じたのは静けさだったと思う。最後は狂気なのか、悟りなのか…。今年読んだ本の中で、今のところ一番印象に残る一冊。
今と地続きな感じのする近未来SF。揺るがない世界観、哲学的でユーモアのある文章。一気に読みました。最初の方に出てきた「フジワラという名前のトーフショップが使っていた車」に受けましたw「言霊」を操るのは人なのか。人が「言霊」に操られるのか。9・11はまだ終わっていない。
前評判で期待しすぎてしまった、典型的な作品。確かに作品の、世界観の完成度は素晴らしく高い。一つの近未来の形が出来上がっている。哲学的思考に流れていく文章も、無理矢理ではなくてごく自然。だけど私が(勝手に)期待し過ぎていたのは目新しさだったのですが、そんなモノは特にありませんでした。むしろ、SFの王道的作品ではないかと。SFが哲学的な部分と繋がり易いとは昔から感じていましたが、そう言う意味で非常に王道的完成度は高いと思います。もちろん、面白く無いわけも無く。SF・近未来モノの良作だと思います。
読みながらアニメの「攻殻機動隊」と映画「スカイ・クロラ」を思い出しました。哲学+SF(近未来)って感じです。言葉によって思想のベクトルを虐殺方向にする。言われて初めてあり得る事に気が付きました。「言葉で救われた」経験なら沢山あるからです。虐殺の先にみえるものが本当の目的と分かった時はジョンの思索の深さに唸りました。作者の事を何も存じ上げないまま読んだので、次に読むときは作者を意識しながら読んでみたいです。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(10)
- 06/12
london3
ますます、わからなくなりますw でも、ナ・バ・テア で、ほのかにみえて、スカイ・イクリプスがもう少しつないでくれる。 あまりの美しさ、退廃さ、あきらめ、そして未来への光 入り混じって、自分が泣いていることに気づかない涙を流していることに気付く。 http://london3.blog81.fc2.com/blog-entry-10.html 読む順番には注意!ね
ナイス!
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06/15 23:23
ますます、わからなくなりますw でも、ナ・バ・テア で、ほのかにみえて、スカイ・イクリプスがもう少しつないでくれる。 あまりの美しさ、退廃さ、あきらめ、そして未来への光 入り混じって、自分が泣いていることに気づかない涙を流していることに気付く。 http://london3.blog81.fc2.com/blog-entry-10.html 読む順番には注意!ね
ナイス!
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06/15 23:23
スケキヨ@灯れ松明の火
むむむ、完全に虚数っぽい世界じゃないですか!(もうイメージが)白黒はっきりさせるために読むのではなく、その世界に入って酔いしれてたゆたうタイプなんですかね。上記のブログページ参考にしますっm(_ _)m
ナイス!
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06/16 00:10
むむむ、完全に虚数っぽい世界じゃないですか!(もうイメージが)白黒はっきりさせるために読むのではなく、その世界に入って酔いしれてたゆたうタイプなんですかね。上記のブログページ参考にしますっm(_ _)m
ナイス!
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06/16 00:10
近未来の特殊部隊もの。ゲームで言うところのメタルギアソリッド的な世界観で、ハードな展開なのに内容はセカイ系。描写が戦場なので生々しくて、若干読みづらいのですが、ラストに進むに連れ引き込まれました。
ナノテク、人工筋肉、ネットワーク化され常に監視される情報社会。一つ一つは目新しいとは言えない小道具だが、その描写がものすごくリアルでなるほど新しい世代の作家だと痛感。作品全体としては、SFというより社会小説。グロテスクな死体の描写の積み重ねには結構疲れてしまったが、ラストまで一気に引きずられるように読み切ってしまった。やたらルビ付き造語の多い文章もニューウェイブ的な哲学的会話もあんまり好きではないが、上手い。ラストの妙に戯画的な雰囲気が余計怖かった。夭逝した才能が惜しまれる。
虐殺器官の
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感想・レビュー:296件



















































