昏き目の暗殺者
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昏き目の暗殺者の感想・レビュー(25)
この小説は重層構造をしており、幾つかのパートに分かれているのだが、そのうち老婦人アイリスの独白部分が実に面白い。老いというものをシニカルに描きつつ、若かりし頃の思い出をぽつぽつと語る。辛辣な語り口と、回想の中での少女時代の稚さとのギャップに、人生苦労したんだろうなあと感じる。と思ってたら予想以上の波乱の人生。中盤以降、物語は段々核心にいたり、真相にはかなり驚愕させられた。面白かったです。
カナダの作家マーガレット・アトウッドの667ページもある大作。今年読んだの本の中で一番印象に残った。純文学であり、同時にミステリであり、さらに物語の中にSFも挿入されるという離れ業的な技巧が凝らされている。結末で明らかになるどんでん返しには、だれもが驚くはず。物語を作り、それを語っていくのは救いであるという、作者の祈りにも似た想いに深く共感した。
アイリスの回想、新聞記事、小説の中の小説と、数々の物語が重なり、何処かで少しずつ歯車がずれてきているように感じる違和感や不安に、最後まで惹きつけられました。読み応え十分で、面白かったです。
面白かった!心が揺らされる大作を読み切った充実感に充たされている。幾重にも重なる入れ子構造、SFを含む挿話、華やかな一家の知られざる歴史…物語が進み、語られていることが真実か否かという境界線すらぼやけてゆく中で、どんどんと作品に惹きつけられていった。読み応えも満足感もたっぷり。
落ちぶれ老女の現在のひとりごと、過去の回想、若くして自殺したと思われる妹の書いた小説、その小説の中のSF冒険談、数々の新聞記事と、幾重にもストーリーが交錯する凝った小説。一気に読めずに、「うん、どうだったけ?」で前に戻りの繰り返しで、さらに時間がかかる。あまりに過去にとらわれ続ける老女の深き執念に、おぼろげながら途中から何となくわかりかけてはいたものの、最後のサプライズはやはり衝撃的、またまたあちこちを読み返してしまった。でもいささか凝りすぎ、長すぎの感あり。
鴻巣友季子訳。ブッカー賞、ハメット賞受賞作。「語り手を信頼できるか」というのはアトウッド作品に通底する問題だ。語り手は受け手に何か隠しているか、何らかの事情で語れないものを抱えている。語り手、老女アイリスは五世代にわたる一族の興亡を語るが、一族の死には新聞記事や表向きの歴史では知ることのできない「昏き目の暗殺」があった。世界恐慌により労使関係の溝が深まり、世界大戦へ突入してますます混迷のただ中へと突き進んだ北米。誰もが盲目であり、誰が誰を殺したのかすら定かではない。語り手は自分自身でさえ信用できないのだ。
06/06:yuko
05/31:Yoko
12/27:きりぱい
04/22:2manyDJs
『昏き目の暗殺者』は小説内小説のタイトルで、本作自体は具体的に暗殺者が登場してどうこうという話ではない。この小説(創作物)と、折々の新聞記事(客観的事実)、そして回想(主観的な心情)を並行させた構成で、ある老女の人生と秘密をジワリジワリと浮かび上がらせていく。長いけど巧い。。。ジーンとしみるようなラストの余韻もよかった。
素晴らしい読み応えでした。姉妹の宿命の過酷さには胸が痛いけれど、そこにドラマチックさを感じてしまう私がいます。重層性、響き合う構造もとても素敵。姉妹の関係性やローラの人となりにも、興味深いものがありました。そして、何かを後ろに隠したままのアイリスの語り口の企み深い周到さが、堪りません。
2000年ブッカー賞&2001年ハメット賞をW受賞。読んで納得。ああ、アトウッド素晴らしい。5年も積んでた私はばかだ。ブルジョア家に生まれ嫁ぎ果ては独居老人となったアイリスの独白による一家の壮大なサーガ。妹ローラの書いた物語が挿入され、その物語の登場人物がSF物語を語る。そしてさらに挿入される新聞記事。入れ子になった物語の数々が終盤、一気につながってひとつの絵をなし、「昏き目の暗殺者」が意とするものが明らかになる。息を呑む。個人的にはアイリスの意地悪ばあさんっぷりがお気に入り。鴻巣訳も素晴らしい。
01/15:squarerose
07/30:crysalis
06/26:司書つかさ
03/09:オカンピー
本自体のボリュームもさることながら、作品が持つ「圧力」みたいなものに圧倒されてしまい、読み終えたころにはもうへとへと。とてつもない価格と同様、その中身のほうもとてつもない小説だった。
--/--:こぶた
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