第三の嘘 (Hayakawa Novels)
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第三の嘘の感想・レビュー(167)
3部作の最後。最後までリュカとクラウスに翻弄され、何が真実なのか惑わされ、そして切なく苦しかった。何が真実であるかということよりも、二人の心の祈りと叫びが描かれた3部作なのだと思った。これは作者自身の内なる想いでもあるのか。
タイトルの「第三の嘘」の嘘とは、この三部作こそが作者の嘘(=フィクション)だということを示しているように思った。
解説まで読むと、作者と作者の兄の関係は、まさに悪童日記の「僕ら」の関係だったようである。
第三の嘘では、前二作がリュカの創作(嘘)だったとしている。これが二つの嘘だとすれば三つ目の嘘とはつまり、リュカという存在すらも嘘、(分かりきっていることだが)作者の創作であるということではないか。
残る事実は作者自身の喪失の体験だけなのである。それがこの結末よりも一層物悲しい。
メインはクラウスとリュカの関係についてだけれど、背景となっている環境の重厚さもじんと心に残りました。何が創作で何が現実か曖昧になっていく。ページが進むたびに見せる新たな展開に翻弄されっ放しでした。ふたりの事実の関係は苦しくて切なかったです。あとがきにかえて、の作者のインタビューも印象強いものでした。
のっけから大どんでん返しというか、「証拠」の最後のは事実だったんだ。と。 重厚感はないけど重層的な重いはなし。 最後の一文になって、主体を持った心内発言が表れる。解放。 早川書房222P
『悪童日記』の原題、『Le Grand Chaier』(大きな帳面)があらわすように、三部作はつねに虚偽のテクストをめぐる物語であった。記述が記述によって覆される、その反復の運動によって、物語は絶えず蠕動する。最新の更新をされた記述が、その時点での真実である。いいかえればこの物語のすべてが真実であり、にもかかわらず真実はどこにも存在しない。あるのはただ「書く」という行為、それが孕む救済と孤独である。おそろしい傑作。
3部作を読んでいる間は、いったいどれが本当なの?と混乱しながらも途中でやめられない魔力がありました。リュカもクラウスもさまよい続けている。手に入りそうですり抜ける、幻とわかっているのに探さなくてはいられないもの。それは愛とも魂の片割れとも呼ぶものなのか。久しぶりに深く心に残る作品に出会えました。
読み終わって深く納得。そういうことだったのか…。『悪童日記』も『ふたりの証拠』も嘘ではないのだな。どんな気持ちで帳面に書きつけたのか、リュカとクラウスを思うとずっしりくる。リュカの帰還のタイミングが違えば、結末も違っただろうかなんて言うのは作者の意図からすると的外れかもしれないけど、思わずにはいられない。
前2作は出来事が淡々と書かれるのみで、感情はあくまで読者が行間を読まねばならないが、これは今までよりわかりやすい。好き嫌いはあれど傑作には違いない。読書好きには3冊まとめてお勧め。
「悪童日記」の続きといえる作品。二冊一気に読んだが、私の頭はかえって混乱しています。どれが「幻想」で、どれが「物語」なのか、ほとんど区別がつかないのでした。
「悪童日記」三部作完結編。この読後感を言葉にするのは難しい。読者を翻弄した末に語られる、双子を取り巻く事実は切ない。しかし、事実よりも三作を通して綴られた物語の意味が重要なのだと思う。「悪童日記」だけ読むのも良いが、どうせなら三作とも読んでこの衝撃を味わってほしい。巻末の著者のインタビューからは、作品の背景がうかがえて興味深かった。この著者だからこそ書きえた作品なのだと思った。
3部作の完結編という事で、読む前には、「ただのネタばらし的な小説じゃなければ良いけど」と思っていました。読了した今、この3部作で書かれたどれが真実なのか?どれがそうでないのか?あれはこれはといろいろ考えてしまいます。物語を安易に完結させるわけではなく、この3部作通して理想的(今までにない形)に導いていった作者はやはり凄い。見事に翻弄され、衝撃を受け、またしても強く揺さぶられました。
こんな構成の三部作だとは夢にも思わなかった。三作通して読むと、シンプルでストレートな言葉と設定、悲しみや怒りに対する徹底して客観的な視線だけで、これほどの創作のダイナミズムを生み出せるのかと驚く。天才としか言いようがない。。。
3部作を読み終えた。いろんな層のいろんなかたちの真実が浮き出ては消え、映っては変容していく。佐藤亜紀さんとミヒャエル・ハネケをふと思い出した。(似ているということではなくごく個人的な感触として)
どこまでが嘘で、あるいは幻想か悪夢なのか真実なのか、まるで万華鏡を見ているような気分になった。それにしても1冊1冊の印象がこんなに違うのに、一貫した物語と思えるのは何故なんだろう。あまりにも斬新で、あまりにもとりつくしまが無い。類稀なる物語だとは思う。理解はしがたいが。
「悪童日記」「ふたりの証拠」の続編で完結。・・・なんというかタイトルがすべてを物語っているのですが・・・。でも前2作が第一、第二の嘘で、第三の嘘は・・・・・。とかいうかんぐりをしなければ、普通に前2作のネタ晴らし的な位置の本になります。個人的には「ふたりの証拠」のわけのわからないラストで終わってもよかったかな。
△薦めもしないし、読むなとも言わない本である。でも「悪童日記」を読んだあとで、実は三部作なのだと知ると、つい読みたくなってしまう続編、続々編である。ひとつだけ言っておきたいのは、三部作全部を読んだときに、「悪童日記」を読んだときに感じたものを否定しないことである。「悪童日記」は完成された物語である。「悪童日記」三部作は、また別の作品だと思ってほしい
いくつもの嘘。見つけた嘘をひっくり返してはたいてみれば、残ったのは孤独と郷愁。この物語には出口がなかった。著者本人も、出られなかったのならば、全ての思いはこの物語の中に閉じ込められたままなのだ。
悪童日記から3冊纏めて一気に通読。しかしながら謎は、簡単には解決しない。戦争によって分裂した意識のなせる業なのか?双子ではあったが精神的にも負傷した人間の物語か?この後も何度も読み返したい本となりました。
違う方向に歩き出した二人が落ち合って再び向き合う感じです。双子としてではなく、別の人間として。落ち合って向き合っても、同じ方向には歩かないしその必要もなくなっているといった雰囲気です。ひとりの人間の成長とも、双子の生き方ともとれる夢みたいな書きかたでした。
この3部作、何と言うかもうブラボーですよ。第三の嘘まで読み終わると「悪童日記」と「ふたりの証拠」をもう一度読んでしまうんじゃないかな。読後の不思議な感覚はぜひ味わうべき。
第三の嘘の
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感想・レビュー:40件














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