うたかたの日々 (ハヤカワepi文庫)
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うたかたの日々の感想・レビュー(186)
ともさかりえの映画が好きだったので手に取ってみました。砂糖菓子みたいなファンタジーと、皮肉というフィルターで現実を切り取ったような風景がカクテルになった世界で、3組のカップルが織りなす恋愛物語。正直読みにくくはあるんだけど、読み流していても漂ってくるあわあわした空気が印象的です。最初は周囲の悪や汚いものから隔絶され幸せ色だった二人なのに、そろそろと忍び寄ってくる悲劇の手に絡め捕られていくのがつらい。ラストに向けて加速していく哀しさと暴力的なお金や世俗の圧力が容赦なかったです。小川さんの解説も堪能。
言葉と感受性のつくり出す美しい世界と、そこで生きる純真な人々。自由という言葉でさえ、この本の奔放さをあらわすには足りないような気がする。その美しい中にも、現実に対する皮肉が戯画のように描かれ、読み進むたびにこの強固な現実から逃げ出したい気持ちに捉われる。そうして破滅へと突き進む中にも、常に美しさと軽やかさを失わない、そこには愛しさをかき立てられるものがある。「何か言葉では説明できないもの。完全に感覚的な何かが。言ってみれば純粋状態の感受性だ。身体なんかには関係ない」という一文は、まさにこの物語に相応しい。
読み始めは、しつこい位のお洒落感が鼻に着いてゲップが出そうだったが、読み進む内にその世界観や感性に魅了された。半分ほど読んだところで眠ってしまい、睡蓮の花の中に暮らしている様な、世界が全て睡蓮の薄い乳白色から桃色までの色で包まれている様な夢の様な夢を見た。
おとぎ話かアニメのよう。キャラクターは三頭身で、ファンシーな色合いの街をよちよちと歩いている。働かずに遊んで暮らしていけると思っている人びと。どうにかなってきた人生は、停滞気味だったに違いない。運命の女性との出会いによって、人生が動き始め、今までのツケが回ってくる。胎内に花が咲く、美しすぎる病気。その不可思議な世界が、崩壊していく。それはまさに泡のよう。すべてを失った青年を置いて世界は続いていくはずだが、喪失感に飲まれた青年と共に世界も色あせてしまった。
スケート場で、クロエが病に倒れたという知らせを受けた後のコランの一連の行動やパルトルを心臓抜きで殺したアリーズの行為が、もの凄く残酷なのだけれども温かささえ感じるという、とても印象的な場面だった。そういう強大な愛をまざまざと見せつけられた上で破滅に向かっていき、とてつもない悲しみを感じた。
前知識なしで読み始めたので、低めのテンションで語られる非現実的過ぎる世界にはじめはびっくりしました。でも、愛する彼女の肺に睡蓮が巣食ってしまうという設定はすごくひきこまれました。登場人物が皆驚くほどに純粋で正直で、それがなんだか痛々しくもあり。そして時折みせる子供のような無垢な残酷さにぞくりとします。
不思議な小説。非現実的でシュールな描写が続く小説世界に、浮世離れして現実感の伴わない登場人物たち。愛らしくてときに残酷。自己本位だけど愛する者には献身的。ひたむきだけど、どこか冷めている。ときに攻撃的で破滅的。そして、はかなさ。青春だなぁと遠い目をしてしまった。
モノ、そのものを描くことが出来ないから、その滅亡を描いて肉迫しようとしたたんだろう。そんな悲しいほど奴隷的な男性的な痛みを主軸に据えているが、それだけとは言い難いほどの諧謔、全てを俯瞰したような皮肉が全編散りばめられていて可笑しくもほの暗い。だのに、描写がいちいちキラキラしてて狂ったリアルライフが心地良い。
最初、「こんなわけのわからない文章を読まされることになんの価値があるのか」とまで思った。しかし、クロエが肺に睡蓮が咲く病気にかかり、コランにはお金がなくなりと、主人公たちの身に悪いことがふりかかると、作品がどんどん魅力的になっていくように思えた。なんなんだろう。私はその魅力をなんと言葉にしていいかわからない。子どもの読む童話に、別の世界の災厄が入り込んじゃったような感じ。
わけの分からない破綻した描写がくり広げられる世界で、誠実で純粋な愛の話が進む。でも悲しい終わり。容赦ないな、金銭面の描写も。個人的に最後のネズミと猫のシーンがとても好きだ。
「大切な恋人が死んでしまう」というありふれたストーリーは、市場では飽和状態。だからこそ、このくらい訳わかんない感じで描かれているのがちょうどいい。悲劇は最初から始まっている。ピアノカクテル、素敵すぎる。ニコラは一体何者?メタファーと現実の境目。
「二つのことがあるだけだ。それは、きれいな女の子との恋愛だ。それとニューオーリンズかデューク・エリントンの音楽だ。その他のものはみんな消えちまえばいい。なぜって、その他のものはみんな醜いからだ。」
小説のなかで不吉/不穏なことが起こる場合に、「雨が降ってくる」「ネックレスが切れる」などの描写が一般だとすれば、うたかたの日々では家が縮み光がはいらなくなる。その自在さに驚いた。時間と空間と光、全ての形あるものが自在に伸び縮みする多彩な世界で、登場人物そのものはたいへん薄っぺらである。 内面の葛藤のようなものがほとんど描かれないために、紙人形のように軽薄な印象を与える。あくまで純真な恋人たちに対し世界が意地悪をし、不条理に汚していくようだからこそ、はかない純愛の美しさが引き立つようなのは、「セカイ系」の元
大切なものにだけそそがれる愛は、彼を取り囲むその他すべてのものを醜くしてしまう。現代の悲劇的な寓話としては、素晴らしいと思う。文章の温度が低く淡々としているからこそ、幸せが徐々に壊れていくことが切なかった。
フランス文学初めて読んだけど、やっぱり読む人選びそう。徹底的にロマンチックで悲観的。純粋で美しいもの(恋人とデュークエリントンの音楽)を大切にしようとするあまりどこまでも傷つきやつれてしまう主人公。世間のどこまでも非常でドライな部分を強調し、イエスキリストすらも皮肉の対象にしてしまう作者。恋人の肺に睡蓮の花が咲く奇病にかかったり、病に冒されるつらさゆえ部屋が自体が次第にゆがみ狭くなったり、心労故に主人公のパスポートの年齢が増えていたりと単純なストーリーを彩る表現や文体自体がこの作品の面白さだとおもうからや
タイトルがとてもハマってる。大事にされる命とされない命が明確。クロエの病気から破綻してゆく人々、人間関係、そして世界がまさしく泡沫。合間合間に出現するハツカネズミの存在が唯一の癒し。病発覚後の不条理に構築された世界は何度読んでも理解出来そうにない。
実にフランス的。不条理な世界が純粋な恋愛を奇抜なものにしていく。現実世界はここまでショッキングなものではないが、私達は実際に現実「世界」と多少なりとも距離を持っていて、その「世界」のコードに合わせることで生命を維持している。純粋に生きることは不可能なのだ。そう考えるとこれは不条理小説の皮を被った青春小説なのだろうか。うーむ。
パートナーが死の病・・・って、考えたら星の数ほどある設定ですが、数多いそれらの物語とはまったく別物ですね。スローテンポなモンティパイソン風恋愛小説
理解出来る出来ないでなく、好きになるか興味を持たないかで判断して読む物語。私は好きになった。不可思議で不条理で独特のロマンチックさが漂う世界は、読み終えても後について来そうだ。
☆☆☆ どんなお話なのかちっとも知らないまま読んだら、むむっとなった。肺に睡蓮って、乙女チック安部公房。そして、スケート場の係の男の首が鳩って、鳥人じゃないか(ⓒ笑い飯)!!!難解というより、物語に入っていけるかどうか。岡崎京子がこれをどう漫画にしたのか非常に非常に気になる。(図)
新潮版とさほど比べることなく、ジャケ買い。「うたかた」のイメージそのままに、話はなんてこともないエピソードや描写で進んでいく……。友人に飯を作ってもらい、無駄話をし、恋をする。鼠と会話をしたり、随所にシュールな笑いを挿入したり、このままファンタジー風・幻想風の描写で高等遊民的に進み、カップルたちは別れるか何かして終わるのかとタルくなってきた矢先、クロエが睡蓮の病にかかるところあたりから転調し、彼らは社会の荒波に呑まれていく。ここから緊迫感が高まり、小説としての結構もあがる。この小説は恋愛小説であり、青春小
なんじゃこりゃ~?予備知識0で読み始めたので自分の頭がおかしくなったかと思い、解説(小川洋子)を先に読む禁じ手に打って出る。可愛らしい、美しい表現も所々あるが、油断していると足元をすくわれる。とにかく今までに出会った事のない奇抜な文章と設定。労働せずに生活できる程の青年コランとクロエをはじめとするカップルたちの恋愛小説。なんとクロエの肺に睡蓮の花が生えるのだ。読み手を選ぶ作品かも。既製概念打ち砕かれました。最後の、イエスとコランの会話、猫とネズミの会話が印象深い。
独特な表現についていけるかな、と思ってたけど、すぐに馴染んで心地よく読めました。若い頃に好きだった平中悠一を思い出したりしました。かなり好きな作品です。新潮版の評判がいいようなので機会があればそちらも読んでみたいです。
ちょっとSF入ってるというか、不条理な描写も結構あるんだけど、またそこが魅力ですね。ピアノ・カクテル欲しいです。アリーズとシックのカップルは互いに相手を思いやりながら報われることなく、悲しい恋愛だった。
最初に岡崎京子による漫画ヴァージョンで読んだため、ついそちらのイメージを重ねながら読んでしまった。それはそれとして、これほど途轍もなく奇妙でなおかつこの上なく悲しみに満ちた小説はそうそうないのではないか。シックの破滅、アリーズの犯罪、コランがニコラに解雇を言い渡す場面、そして勿論クロエの死、何もかもが奇妙で美しくも悲しい。また小川洋子氏の解説も秀逸。
6/8なんじゃこりゃ~?予備知識0で読み始めたので自分の頭がおかしくなったかと思い、解説(小川洋子)を先に読む禁じ手に打って出る。可愛らしい、美しい表現も所々あるが、油断していると足元をすくわれる。とにかく今までに出会った事のない奇抜な文章と設定。労働せずに生活できる程の青年コランとクロエをはじめとするカップルたちの恋愛小説。なんとクロエの肺に睡蓮の花が生えるのだ。読み手を選ぶ作品かも。既製概念打ち砕かれました。最後の、イエスとコランの会話、猫とネズミの会話が印象深い。
これがなぜだかちっとも読み勧めることが出来なかった。アメリカンでキャッチーな文章で全体的にキュートなんだけど、原文読んだら全然意訳ばっかじゃん! と軽い怒りさえ。。。ただ、登場人物たちの感情は「日々の泡」より、こっちのほうが伝わりやすいかなぁ。でも、雰囲気としてはあんまし好きじゃない。(翻訳のかたがアレンジしすぎているきらいがあります)
うたかたの日々の
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感想・レビュー:41件














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