ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)
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ふたりの証拠の感想・レビュー(532)
息の詰まるようでいて美しくもあって、という全体のトーンはまるでシューベルトのよう。『悪童日記』という前作の存在があるとはいえ、かなり感動した。冒頭でいきなり「白痴と呼ばれている」事が明らかになったり終盤でどんでん返しがあったり(三人称とはこんなにも不安定な記述の仕方だったのかと衝撃だった)と語り手の問題を重層的に織り込む作者に打ちのめされた。
前作悪童日記の感じとはまた違った感じ。悪くはないが、前作に比べるといまいち良くはない。そういえば、ここでようやく双子の名前、リュカとクラウスが出てくる。でも、それはそう良い事でもない。二人で居る限りでは、名前等必要なかったのだから。悪童日記と違って、ここでは人名が明確に表記される。これも離別の表れかと思うと何か物悲しい。この物語から、mother3の双子の名前は取られたという。
昔読んだときは、悪童日記での全能感や残酷さが失われたような寂しさを感じたからかのめり込めなかったけど、改めて読んでみるとめちゃくちゃ面白かった…。双子の片割れを取り巻く人々の濃密さ、前作同様、足元がぱっくり割れて世界が反転するような驚愕を味あわせてくれるラストシーン。素晴らしいでした。 そして、読み終わってからタイトルの妙に気付く。訳者さんセンスありすぎです。
再読:シリーズ二作目。どれだけ経っても、変わらない衝撃。描写が増えたことで、いっきに広がりがふえ客観性が生まれた。初めて名前も明かされる。「第三の嘘」も楽しみです。
『悪童日記』の、続編。 衝撃のラストに愕然とした前作の後、戦争は終わった。 リュカスが大人になってしまった分、前作ほどの衝撃は薄かったけれど、 登場人物の一人が言うように、リュカスとクラウスは本当に2人だったのか…? アナグラムのような名前を持つ2人は、本当は1人なのでは…? なぜなら、2人が存在する、という証明は、何一つないのだから。
うーん、正直に言うと、前作の方が好きだった(なんかヒリヒリしたのだ)が、本作も楽しく読んだ。徹底的に何かが文体から削がれている。それは何か、と考えたとき、「情感」という単語が浮かんだ。『ふたりの証拠』のふたり、というのはリュカとクラウスとも取れるが、ガイコツ(母と妹)、リュカとマティアス、リュカとクララ、マティアスにとっての父親は二人、など様々にとれる。二人関係は本作では数多いが、三角関係はほとんどない。そこら辺りも意識されていると思う。展開は面白いけれど、登場人物がほんの少し多すぎると思った。
とても不思議な小説だ。短く明解な文で、不思議な出来事が綴られていく。「普通そうなるには理由があってそれを説明するでしょう」といったとこに説明がなく結果だけが書き連ねられていく。0.5次元ぐらい欠落した世界なのだろうか。主人公やその息子は超人である。そうして皆、何かが足りない人々である。奇妙な世界の奇妙な小説。シックリこない感じが心地よい不思議な小説だった。
『悪童日記』で無敵の双子も大人になって儚くて脆く見えた。前作以上に人間味があってとても生々しい。特にマティアス関連の話。時間を空けて読んだため、深く読めてなかったのが残念。
彼らに名前が与えられる。小さな街に心を囚われ、傷ついた人々の物語。マティアスという深くて美しい存在には、参った。狂っていて悲しくて、大変、私好みの一冊。最後はどうなる…というより、何が明かされるの?
「悪童日記」で国内に留まった双子の片割れのその後について書いてある。 「悪童日記」と違って普通の小説のような書き方になっているが、注目すべきは感情を表す言葉がとても少ないことだと思う。ラストが衝撃的。続編の「第三の嘘」はどうなっていくんだろう。一日で読破してしまった。
悪童日記の続編。ただ純粋に面白い。双子としての子からの独立したリュカのあゆみ。続きが読みたくなった。個人的には悪童日記の方がすき。
ただただ読まされました。そして混乱しました。たくさんの人。たくさんの縛り。その中で触れ合うこと、生きること。信じること。 痛みも生易しい、そんな小説。
面白すぎて、おまけに読みやすいものだから瞬く間に読み終わってしまった。書いてある内容をそのまま信じて読んでいたため、虚実があるかもよって事を解説によって知らされた。なるほどー。。
胸を締めつけられた。
双子のうち、ひとりおばあちゃんの家に残ったリュカは、喪失感に打ちのめされ、無意識に愛情を求めさ迷う。ひたすら鍛えぬいた彼の強さは、呆気ないくらい脆く、儚くなってしまった。
リュカや他の登場人物の生き方はとても悲しい。でも、いとおしい。
衝撃的で謎の多い終わり方に戸惑うが、完結編で彼らの存在が救われることを願いたい。
借りた本。前作では、二人の物語だったのが今作ではほぼ片割れ一人の物語となっている。生きることへの善悪を越えたところでの力強さがあった前の物語に比べて、本作では物語全編に生きていく中での埋められない悲しさや空虚感が満ちているように思えた。歳をとることで、命の力強さが弱まっていくということなのだろうか。
悪童達の片割れがメインになるんだけど、憎たらしいまでの生命力、小賢しさは薄まったように感じた。と思いきや終盤で納得というか困惑というか、何事?つまり妄想の中ゆえの逞しさ?ん?え?という混乱と共に次巻へ。近親間での性の話が割と出て来て、当時の情勢ではよくあったんだろうか?特に本屋のおっちゃんのエピソードは作者なりの創作論的な思想も合わせて強烈。
前作の衝撃のラスト直後からスタート。前作は小さい子だったのに大きくなったなぁ。面白かったんだけれど、相変わらず魅力と一言で表せない本。一番あっている言葉は悲惨?? 長く尾を引く悲鳴は痛ましい。最後の方でえ? って思ってたら最後の最後でえ? え? ええ? って不安になりました。すごいラスト。文体も好き。
なんつう悲しい話だ。キャラの立った登場人物それぞれに絶望があり、そしてその悲しみをも突き放すような冷徹な眼差し。乾いた文でサクサク読めるがそれは罠だ。シンプルな文体は鋭いジャブとなり読み手は打たれっぱなしのサンドバッグ状態。強烈なトドメの一撃に震える。結局みんな一人ぼっちなのか、そうなのか。謎を残して以下次号。
前作と間が空いてしまったけど読む。「ぼくら」という人称と語り口の使い方が衝撃的な前作と比べると“普通”に見えるのだが、終章でも言及されているような自明性の不確かさは常に漂う、これまた違った形で揺さ振ってくる作品。「どこにでもいて、どこにもいない」とは死者や兄弟のことであると同時に、この物語そのもののことでもある。さて、早速完結巻へ
双子の強さが表現されていた前作とは打って変わって、双子の弱さや脆さが際立っている気がする。完結編の「第三の嘘」でどのように物語が締めくくられるのか非常に気になる。
マティアスの抱える劣等感と葛藤が悲しくてやりきれない。悪童たちが大人になっても、また別の子どもの視点の介入によって新たな大人の卑怯さが際立って見える気がした。三部作とかって中弛みしたり途中で緊張感がなくなってしまうことがあるけど、これほどそれぞれに独立したクオリティの高さを保っているのが凄い。
ちょ、なんという終わり方\(◎o◎)/!悪童の日記は、ふたりがふたりであることの証拠になり。これからどうなるのだろう。双子の名前も、人称も普通になったけれど、作品の雰囲気や文体が損なわれることなく、残酷なことも嬉しいこともあっさりと描写されます。翻訳ものにありがちなひっかかりもなく一気に読めます。リュカは「ぼくの内には、どんな愛も、どんな思いやりもありはしないのです」というけれど、それならば、いったい何をもって愛とし、思いやりとするのでしょうか。早くつづきが読みたい!
物語は前作より人間関係に重点をおき、名前・人称の点でより普通の小説らしくなったといえるが、淡々とした語り口は健在。徹底的に感情を抑制された文体だからこそ、垣間見える感情が劇的になっている。一種の作中作という形式をとっている点も注目だ。この形式によって、"ノート"の筆者について考察は直接、語り手についての考察につながっていく。三人称を使い、名前を記述する文体に切り替わったことからも、語り手の幼年期における自己のアイデンティティの混乱を脱しアイデンティティの確立を試みていることを考察できる。次作が楽しみ。
☆☆『悪童日記』のインパクトが強くて、2作目は少しアクが抜けた感じ。戦争の色が薄くなったせいか。そうは言っても3部作となれば3作目も気になる。読ませるなぁ・・・。
「悪童日記」青年編。無敵の少年時代は過ぎ去り、さすがの悪童〈リュカ〉も片翼をもがれて喪失の日々。新しい出会いも絶望へのカウントダウンを加速させただけ。畸形の子どもマティアスのリュカへの思慕の深さと生命の煌めきは切ない余韻を残す。何人で寄り添おうとも、けっきょく末路は人が心奥に秘めている根源的な恐怖〈独り〉に集約されるのではないかという重い問いが浮かぶ。
前作の「ぼくら」は無垢で冷酷な子供、モンスターだった。どんな苛酷な出来事も彼らを傷つけない。而して双子は一人になり、三人称で語られる彼は人間となり、人間の脆さと孤独と愛、愛の代償である痛みを獲得した。現実は変わらず悲しく残酷だ。現実…現実? 最初の2ページ目から続く、奇妙な異和感…。一人になった彼は輪郭を現したが、どこか捉えどころがなく、前作同様に安易な感情移入を許してくれない。やっと彼の気持ちに寄り添ったと思った瞬間、足元からひっくり返された。と思ったら、またひっくり返された。こんな小説は初めてだ。
文学→ノワール→本格推理?二部までは謎の提示編に過ぎなかったのか?『第三の嘘』でまたどんでん返しがあるんだろうな。デラ楽しみ。文学としてもホモとの絡みはあるので新しい。よくある変態性欲(今回は近親相姦が多い)は挿入まで描写するが、ホモとはキスシーンしかないのが不満だが、次巻はホモネタも爆裂すると期待する!
はじめ、「悪童日記」を書いたひととは別のひとの本を買っちゃったと思って焦った。読み進めて「あ、おんなじひとだ」って思った。物語によって記述するか。「彼女の髪にも気づいていないのかい? すばらしい髪だよ。見て、ほら、光に照らされてあんなに輝いているよ」 だって!かわいいかわいいかわいい!
前作「悪童日記」同様、なんかやっぱりすごい引力のある小説。 曲がり角曲がったら地面がありませんでした、とか、斜め後ろから刺されました、みたいな。 勝手に西島大介氏の絵でイメージしています…。
ふたりの証拠の
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感想・レビュー:146件














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