沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)
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沈黙のフライバイの感想・レビュー(322)
これが現代のSFか!
古典SFばかり読んでたからファンタジーや思考実験のような作品に偏ってたけど、本来のSFって今分かってることをジャンプ台にして飛躍させるものなんだね。この感覚は書かれた時代に読まないと味わえないものだわ。
「沈黙のフライバイ」「轍の先にあるもの」「大風呂敷と蜘蛛の糸」どれも夢と実現の可能性に溢れた素敵な物語だった。
特に「轍の先にあるもの」ははやぶさとリンクしていて心が踊る。限られた写真に興味をかき立てられ、それが高じて小惑星に降り立つ話とはね。
SFというジャンルに身構えずに、宇宙への技術開発を軸に楽しめる一冊だった。ポジティブな話に心が踊って、夢中になってしまった。表題作目当てで手にとり、表題作、『轍の先にあるもの』、『ゆりかごから墓場まで』が特に興味をひいた。そして、『大風呂敷〜』は、着想から思わず笑みがこぼれるほほえましい作品。
短編SFを5編収録。いずれも宇宙に対する憧れがテーマ。面白かったが、長編のワンシーンを切り取ったような印象で食い足りなかった。 短く簡潔だが説明不足ではない文章と、ふざけた時でも知性を感じさせる会話は私好みで、長編でたっぷり味わいたい。
「地に足の着いた」感のある短編5編による日本製ハードSF集。「大風呂敷と蜘蛛の糸」では、その設定とともに何とも言えない浮遊感が心地よかった。長編にして代表作の「太陽の簒奪者」では、ハードな展開による舞い上がるような興奮が味わえることを期待します。
SFを読んだことのない人にこそ読んでもらいたい作品。どの短編にも人間、というものがしっかり芯をもって書かれていて特に最近失われつつある「科学」への希望が心にしみる傑作だと思う。
テクニカルタームが多いが素晴らしいSF。2001年:NEARシューメーカー、エロスへの軟着陸成功。02年:MUSES-C(はやぶさ)打ち上げ[実際は03年]。05年:インド洋上空、軌道エレベーター建設開始。10年:ASTEROID-A(れいめい)打ち上げ。1?年:「赤い小人」の探査機接近[H2Aによる恒星間探査計画から8年]。22年:あるSF作家エロスに着陸。2?年:凧による中間圏有人初飛行[F-15運用終了前]。33年:有人火星飛行へ向けリフトオフ。??年:火星にインド第一期植民180名が送り込まれる。
比較的現実的な路線のSF短篇集。人類と異星人とのファーストコンタクトを描いた表題作や、火星の写真に写っていた轍のような跡が気になってやがて宇宙まで行ってしまうという「轍の先にあるもの」など全5編。宇宙は遠い、でも行きたい。地上に縛られた人類の夢とロマンと悪あがきが凝縮されている。
名前は聞いていたが、読むのは初めての野尻さん。一般的なSFより描写が軽くて、とっつきやすい印象。でもSFのための大道具・小道具には手を抜かず、作品の枠組みをきっちり固めている。その土台の上に重ねられた話も、ニヤリとさせられるシーンが数多くて飽きさせない。全5篇、はずれなし。「沈黙のフライバイ」「大風呂敷と蜘蛛の糸」は、映像で見たいなあ。
長期の宇宙滞在におけるある重要な装備品について、宇宙船クルーの評価は「完全ではないけれど、所期の機能を発揮したと思う」であった。手の届きそうなところにあるSF短編集。
なかなか読みごごちの良かったSF短編集。すべての話しに明確な回答をあえて設けずに、読者の想像に任せるところは、どれもこれもが数十年のうちに現実に変わってしまう可能性があるからだろう。中でも「大風呂敷と蜘蛛の糸」はみずみずしい思いに駆られる秀作。「片道切符」のその後も読んでみたいなあ。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
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- 02/07
SFとは、単に大風呂敷を広げることではない。その織り方を具体的に提示することがScienceであり、素材の意外性で驚かせる部分がFictionという組成である。息苦しいばかりの衒学性ではなく、ただのファンタジーでもない、嘘から出た真になりそうな“今”と地続きの世界。そんなSFマインドを提供する作家として、野尻の右に出る者は世界にもそうはいない。突飛な発想と卑近な漸進。「SFとは何か」がここにある。やがて眼前に敷き広げられるは、蜘蛛の糸の如き超軽量大風呂敷。我々はその端を掴んで、ただ風に舞い上がればいい。
どの収録作品も良いのですが、個人的には「大風呂敷と蜘蛛の糸」が一番良かったです。理系大学生や研究者の生活やノリが上手く書いてある作品はなかなかないんじゃないかな?議論が白熱したらそのまま中華料理屋になだれ込むとか読んでてにやりとしてしまいました。
短編集。どの話も宇宙に対する眼差しが熱くしかし極めて理性的な登場人物たちが、地球外生物、惑星間飛行、恒星間探査、火星植民、宇宙飛行等の話で活躍する。ある意味これらは絵空事なのかもしれないが、そう思わせずに極めてリアルだと感じさせられるような様相が克明に書かれていたことは凄い。現実で実際にある理論を元に話が書かれているという点、「手は綺麗に、心は熱く、頭は冷静に」を信念に持っているかのような登場人物たち、野尻抱介のリアルにあり得そうだと読者に感じさせる筆力の高さ、これらがうまくかみ合った良質のハードSFだ。
根っからの文系人間の自分には、分からない単語や科学知識も多少あった。しかし、物語の枠を捉える事には何の支障も無かったです。面白かったのは『片道切符』『ゆりかごから墓場まで』の2作品。『片道切符』は厳しい状況にも関わらず、あまり暗い雰囲気にならないのは主人公のキャラクターのお陰か。『ゆりかご〜』はC2Gスーツの設定が良い。まさかスーツ内で生態系を再現するとは!!あと『大風呂敷と蜘蛛の糸』は良かったんですが、最後をもう少し先まで見せてほしかったです。
すごい読みやすい短編集でした。面白いからするする読めるのか、文章のセンスが良いからか、あるいはそのどちらもかも知れませんが、あっとゆう間に読み終わってしまいます。途中で話題の「はやぶさ」なんかも出てきたり、いろいろ楽しかったです。
ハードな宇宙もの短編SF→なのに読みやすい名作。大風呂敷も面白いけど、やっぱり、自分的には「沈黙のフライバイ」。終わり1ページを含む全体の読後感がなんともいえない…ドレイクの方程式上、接触可能な宇宙人は多くは無いのだけど「話しかけてくれる」項目を付け加えてしまうと、広すぎる宇宙の中の地球人の孤独さがより一層、身にしみてくる。寂しい。
ハードSFと称しながらも話は全体的にゆるい。でも、おもしろい。ミステリー系でないのに、読後感はすっきりしている。純粋にエンターテイメント小説として楽しめる。
ストイックに過ぎるSFは単なる科学知識の開陳に堕す事もあるのだが、のじりんのSFはあくまでも人間が主役なので感情移入しやすいのが良い。表題の短編はややストイック気味だけど。
読んでいて自然と涙がこぼれてくるのを抑えられなかった。SFとは科学技術の話ではなくて、人間の情熱の力、意志の力をこそ描いたものなのだと思うことができた。文章が淡々としていようが、人間がこれほど生き生きと活写されるのは、きっとそこにある宇宙への想いが純粋だからなのだろう。真空の空間には、余計な大気に満ちた重力圏とは違った速度で、違った熱量で人間の意志が拡散するのだろう。漆黒の闇の無垢性に、虚無の空間の可能性にあこがれを抱かずにはいられなかった。おすすめです。
宇宙 SF の傑作短編集。収録作品はすべて現実と地続きの技術に根ざしたアイデアで出来ていて、魔法のような未来技術は使われていない。それゆえにこそ、著者の宇宙開発に対する思いが胸に迫る。
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感想・レビュー:90件














































