男たちは北へ (ハヤカワ文庫JA)
男たちは北へを追加
男たちは北への感想・レビュー(94)
北へ向かう男たちの群れ。一路青森へ、無心にペダルを漕ぎ続ける40過ぎのしがないライター。ひょんなことからその男を追うことになる怪しげな自衛官たち。そしてヒッチハイクの旅を続ける一人の少年。無心でペダルを漕ぎ、長い長い坂に苦悩し、暑さに悶絶し、果てしない道を進むうちに男たちの中に熱いものが生まれてくる。着飾った言い回しなどとは全くの無縁なのだが、生の感情をシンプルかつ実直に言い表されていて、そのまじりっけのなさがじーんと胸にくる。今すぐにでも武骨な鉄のバイクにバックをぶら下げて走り出したくなる熱い一冊。
主人公の中年男が東京から青森に向かって自転車で旅するストーリー。ただ目的地に向かって走っているだけなのだが、同じく青森に向かうヒッチハイカーの少年との交流、そしてひょんな事から自衛隊の陰謀騒ぎに巻き込まれ追い回されたりと結構忙しいながらも楽しくハラハラしながら読む事ができた。しかしそれ以上に自転車で走る旅の途中の風景や街並み、また山越え等の描写が目に浮かぶようでまるで一緒になって旅をしているような気分になる。地図を見ながら読んだから尚更。男のロマンと友情、成長の物語。冒険心を大いにくすぐられた。
自転車でただ北へ向かう、男。少年。そして何故か追う、複数の意思を持つ自衛隊員、数名。男の旅とは、こうありたいと思える、ハードボイルド小説。少年が主人公の小説もあるそうで、ちょっと読みたくなった。初刷は1989年4月。男の通ったルートは、震災でどうなったか少し気になった。
「初めての旅」は高2の夏の能登半島一周自転車旅行だった。そしてそれが最初で最後の長距離サイクリングとなった。只管、青森を目指して自転車を走らす中年男。初日の橋の袂での野宿と無銭旅行の少年との出会いに共感と郷愁を覚える。狩る者と狩られる者が時には旅の同伴者のように一心に坂を登る。急坂を漕ぎ登る男達の激しい息遣いが聞こえてくる。北に向かう道すがら要所要所で現れるヒッチハイカーの少年。そこには最早さいぜんの気弱な姿はない。道の神がのり移ったかのように。約束の地として語られる北の大地。旅の終わりと新たなる始まり。
ハードボイルドであり旅小説でありサスペンスであり青春小説であり…それらの要素が巧妙に絡み合い一本の物語として成立しているのが見事。主人公の桐沢は絵に描いた様なハードボイルドで、旅の途上で命を狙われても気にせずそのまま目的地を目指すあたりは笑ってしまった。著者が実際に東京青森間をツーリングして書き上げたというだけあって、自転車の旅の過酷さや魅力が克明に映し出されていて大変説得力がある。そしてクライマックス、少年から男へと成長を遂げた少年の言葉と、桐沢が流した一粒の涙。これだけ爽快な読後感は久しぶりだ。
ひたすら自転車で北を目指す男の出会うひとやものとの距離感が常に一定であることにより、かえって出会いや別れ、苦悩であったりさまざまな情感を強烈に味わえる見事な一編。一箇所、彼が距離感をつまらせるところがあるのだが、そこがまたいいんだ。
かつて、自転車で東京から長崎まで行ったことがある。そのときに感じたことひとつひとつが蘇り、懐かしく、熱いものがこみあげてきた。これはずっと大切にしたい本だな。そしていつか自分も青森、いや北海道まで自転車で辿り着こう。
青春時代に聞いた友の言葉を胸に自転車で本州の果てを目指す男。旅の途中で出逢った少年と、ひょんなことからきな臭いプロジェクトに関わる機密文書を巡り追う者と追われる者となったどこか似た匂いのする男二人。それぞれの思いと目的を抱いた男たちは様々な出逢いを経て北を目指す。自転車好き、ハードボイルド好き必読!
掘り出し物とはまさにこの小説の事ですね。初版から20年以上経っても全く古臭 さを感じないのは時代背景と関係のない男のロマンを描いた作品だったからではな いでしょうか。主人公の世代の年になるまでこの本の存在を知らなくてある意味 ラッキーでした。若い時に読んでも主人公にこんなにも共感できなかったでしょ う。私は旅行はしたことがあるけど旅というものはしていない。いつかこんな旅をしてみたいです。
おっさんくささと汗くささの漂う素晴らしいロードノベル。「ロードバイク」でも「ランドナー」でもない「サイクリング車」という言葉の響きにノスタルジーを感じる。また峠を走りに行きたくなってきた。
かなり面白かった。あらすじを見ても最初はあまり興味はなかったんですが、読んでみると……あらまぁ! これは一流のエンターテインメントです。
故・風間一輝先生のデビュー作で最高傑作。アル中のグラフィックデザイナー、自衛隊のはぐれエリート、国道を歩く男、受験に失敗しヒッチハイクを続ける少年・・・男たちはそれぞれの思いを秘めて北を目指す。そこには損得や駆け引きはなく、純粋なまでに真摯な気持ちがある。ハードボイルドとしても旅小説としても文句なしの傑作。これで10回は読んでいるが、何度読んでもおもしろい。
面白かった。あまり期待していなかったのだが、この世界にぐいぐい引き込まれた。あんな自衛隊がいたら怖いが、自衛隊ならいそうなところがなお怖い。
この小説好きです。映画でいえばロードムービーに分類されるのかな。色々な要素が含まれているから、飽きる事無く一気に読んでしまいました。この作品を読むときは手元に地図があると楽しみが増すかも。登場人物のその後が気になる(特に家出少年)ので、著者の他の作品も読んでみようと思います。
ハードボイルドな旅小説。陰謀の巨大さに比べて自衛隊側の前半の対応がのんきに過ぎる気がするとはいえ、桐沢と尾形両者の一人称視点の変化による盛り上がり。旧友との約束と、無銭旅行する少年との心の交流と。旅の終着でのさわやかさ。遠くへ行きたくなってきた。
自転車旅行を題材にしたロードノベル。作者が行った東京~青森間自転車走破の実体験に基づいているらしい。つまり桐沢=作者というわけだ。読んでいて非常に気持ちがいい。暑さに汗を滴らせ、坂道を苦行僧のように身体を苛めながら一心不乱に登り、体を切る風を感じるかのようだ。とにかく何度も涙が出そうになった。それは自分の力のみで成しうる旅への羨望もそうだろう。適わないことだが、私もいつかこのような旅をしたい。いや旅ではない、冒険なのだ。かつて子供の頃、眼前に広っていた未知の世界へ乗り出す、あの面白さ、それがここにある。
帰省本。自転車の旅と、自衛隊の隠密行動という全く異なる2つをつなげる手腕が良いです。少年の成長記も織り交ぜつつ、北に行くほど面白いです。しかし、男100%です。女は名前すら出てきません。。。
ハードボイルド・ミステリ小説としての楽しみ、サイクリストとしての楽しみ、酒呑みとしての楽しみ、色々な意味で楽しませてくれる最高の小説だ。
旅本。三田北方作戦はオマケの要素で、メインは自転車での旅。そこに、少年の成長と男の友情が絡む。圧巻は、宮城から岩手への山越え。桐沢と尾形の掛け合い的なテンポが心地良い。
アル中で中年なグラフィックデザイナー、ある使命を帯びた自衛隊員、無銭旅行を思い立つ少年。それぞれがそれぞれの想いで青森を目指す。話の進行も、風景の描写も、情景も熱い。とりあえずビールと日本酒を飲みたくなる。そして自転車に乗りたくなる。
桐沢、尾形の一人語りが交差して、そこに放浪少年も加わり、濃厚な男達が北へ向かう・・・。桐沢の何気ない言葉がグッとくる。男を熱くさせる物語だ!
三度目の読了。わたしがこんなに自転車に夢中になってしまったのは、この小説を読んだことがきっかけだった。わたしの人生を変えた一冊、わたしに素晴しいものに出会わせてくれた一冊である。
二つをくっつけたら一丁になる豆腐が入った土鍋いっぱいのホルモン鍋と丼いっぱいの岩手米の半ライスを食べながら この世の物とは思えぬ旨さの大瓶のビールを飲む描写がたまりません
男たちは北への
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感想・レビュー:48件














ナイス!

































