あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)
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あなたの人生の物語の感想・レビュー(721)
エイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、異なる言語を理解しながら、25歳で死んだ娘を回想し・・・。言語理解では「意味図示法」や「視覚的統語法」等、用語が出てきてフェルマーの定理まで飛んでいきます。これが続くなら読みきれる自信なしです。合間で娘の回想があるってのがミソであり、深みを持たせている気がします。娘が誕生した時の感動や、反抗期、女性に成長していく姿を見て寂しくなるような感覚を覚える等、母親ならではの視点に「ふーむ」と心うなる。一つひとつを気軽に読ませないテッドに脱帽です。他7作。
おもしろかった。SFを堪能しました。寡作なのが残念。途中の意識系の話はちょっと苦手ですが、それでも何か引きこまれてしまいます。次作はちょっと先になりそうなんかな。
2003年ローカス賞受賞。図書館で表紙絵や題名に目をひかれた。人気作品。時間かかった。印象に残る3作品「あなたの人生の物語 」未来の思い出を語る母親。ヘプタポッドとの交流は難解だがなんとなくわかる。作者の言葉「しんぼうしていたまえ、諸君の未来は、諸君が何者であろうと、諸君のことをよく知り」が心に残る。「地獄とは神の不在なり 」不遇なニールがどのようにして神を愛するようになったか。今まで気づかなかったことを気付かせてくれる物語だった。「顔の美醜について」もし私なら簡単に取り外しができてもしないだろう。傑作。
読み終えて合点のいったタイトル「地獄とは神の不在なり」が一番面白かった。しかし、全体的に難しく、わたしの読解力で、どこまで理解できているのかわからない。ただ、解説にあるSF的想像力を刺激される点は納得。この一冊から、沢山の世界を空想することができた。
「理解」は合わなかったけど、その他は全てかなり面白かった。特に、表題作。最初はタルいなーと思って読んでしまったけれど、二つの語りの意味が分かってきてからは一気に読め、最後は号泣してしまった。SFとしての仕掛けはスローターハウス5と共通するが、あちらの方がシニカルで地味深い作品であるのに対して、こちらの方がよりスマートで作品としての作りは上手く、かなりストレートに感情に迫る話になっていると思う。自由意志があっても無くても、運命が決まっていていなくても、我々はそれをして、喜び、憤り、嘆き、慈しむ。
各編のアイデアとそのガジェットを組み立ていく描写が技巧の極み。ゴーレムの生成を言語的に描く「七十二文字」や神、天使といった存在とその降臨を自然災害(天災ではなくこう表現したくなる)としてドライに表現する「地獄とは神の不在なり」辺りの古典的な宗教/ファンタジーのモチーフを独創的な論理で書く作品が印象に残った。表題作の二人称の意味が解き明かされる瞬間に一番驚かされたけれど、ともかく全作通し無駄な描写がないというか。ただそれ故に個人的な情感として物語からエモーショナルやカタルシスを得られた部分はあまりないかも。
★★★★ 8 短編なのに、とても体力を要するものばかりだった。特に楽に読めたのは、「顔の美醜について――ドキュメンタリー」だろうか。個人的にベストを選ぶなら、「七十二文字」だろう。今の不妊治療に通じるテーマが印象深く、「名辞」というファンタジー的な要素も面白かった。そして表題作については、感動的な物語ではあると思うものの、文章を自然に理解出来ず、物語にあまり入り込めなかった。全体的に良い作品ばかりなのだが、少し難解であったため、それほど傑作だとは思えなかった。
ハードSFだと思って読んだが、そうではなくどこか文学的な香りがする作品だった。一から十まで答えが書かれている訳では無く、物語構造がモチーフを表現していたり、内容を示していたりと物語のメタ的な記述も多く、読むのには体力が要った。 SFを書くための物語ではなく、何か書きたい物語を簡潔に表現するためにSFの手法を用いているように感じる。SFの様々な方向性を示していて、新たな時代の到来を予感させた。
再読。『理解』以外は全部面白いが、特に表題作と『バビロンの塔』『七十二文字』は、物語の意味が解った瞬間の、世界が開ける感じが好き。『理解』は、主人公の関心対象(詩や新言語)に興味を持てないのが、途中で飽きる原因だろうか……。
確かに興味深い物語の数々ではある。たぶん、ある意味では面白い物語でもあるのだろう。が、好みかと聞かれれば、首を傾げてしまう。どこか、私には合わない物事があちこちに感じられるのだ。一番初めの物語「バビロンの塔」を、面白い、好みの話だ、と思わなかったら、本を最後まで読まなかったかもしれない。
近未来SFが読みたかったのだが…始めてまともにSFを読んだ。なるほど、科学を用いたフィクションならなんでもありなんだな。古代や近代の話、魔法が存在する世界の話などもあるが、人物たちの姿勢はみな科学的だ。寓話的で面白かったとは思うが、どきどき、わくわくな楽しさはなかった。
そこに存在している世界に変化は起こらないのに、獲得した概念(物の見方)や能力、経験や技術によって、語り手が認知する世界の有り様は変わってしまう。それが、本書のキモであり、面白いところですね。
プレゼントしてくれた@zhanponさんありがとうございます。表題作を筆頭に、本当に傑作揃い。科学的な言葉に対して極めて鋭く、その上物語の構成と上手に絡めている。人類が有する科学的知識を想像の軸にするのではなく、何をモチーフとするにせよある種の世界認識と人との関係を軸にしている感じが有って、解説によると著者は宗教的には無頓着であるようだが何か祈りに近いものを感じて、個人的に素晴らしい。
どの分野の短編も、鋼鉄の棒みたいな一本の芯があって、読んでいるとその棒で妄想の世界をどんどんどんどん、際限なく押し広げられる。棒の名前をSFと呼んでもいい気はするけどなんか怖いしばかげてる気がするのでやめておこう。それにしても表題作より遥かにラストのドキュメンタリータッチのやつのほうがよかった気がするのは、おれが俗物すぎるのか、無教養過ぎるのか。
数学とか物理学とか、理系のSF。短編集で色んな題材を扱っているけれど、表題作と「地獄とは神の不在なり」が気に入りました。特に「天使」の設定が天災並なのが面白い。
ヒューゴー賞やネビュラ賞などの名だたるSF関連の賞を軒並み制覇していることと「中国系のアメリカSF作家」というちょっと珍しい出自に興味を持って読んでみたものの、がっつり本格的なハードSFであっさり撃沈…。数学のや物理をモチーフにきっちり世界観の設定をしているので、そういう発想に面白さを感じる人にはおすすめ。 面白く読んだのは「理解」。薬物により脳の機能が大幅に向上し、神に等しい認知能力を備えることになったら世界はどう見えるのか。映画「スキャナーズ」を思い出した。ファンタジー寄りの「バビロンの塔」と「地獄
どの作品も、とてもよく練られていて、アイデアも優れていると思うし、抑えた表現もいいですね。残念ながら、理系ではないので、使われているモチーフが理解できない部分もありましたが。様々な事象に対して多面的な見方が行われているのがとても好印象的です。
テッドの短編集。8作品収録。お気に入りは表題作『あなたの人生の物語』、『地獄とは神の不在なり』、『顔の美醜について』。「SF」と聞いただけで身構えるような本好き連中にはぜひ読んでもらいたい。SFの本質のようなものが、様々なテーマ、舞台で表現されている。どの作品も相当レベル高い。読まなきゃ損々。
「理解」が一番のお気に入り。一番物語への没入感があった。「あなたの人生の物語」「ゼロで割る」はアイディアと話の構造・構成の結びつきのすごさに感動。「顔の美醜について」は、テーマ設定が秀逸。
アイディアは素晴らしい。でもすべての話が小説として面白いかといえばそうではない。読んでて面白いなと思ったのは、「理解」と「七十二文字」と「顔の美醜について」の3つ。特に理解は、ものすごく頭が良くなった主人公が敵と戦うシーンが面白い。頭が良くなりすぎると、もう手を使って相手を殴るとかそういう野蛮な事をしなくてもよくなるんですね。表題の「あなたの人生の物語」は、正直言って理解不能だった。何回か読み直してネットの解説見れば分かるのかもしれないけど、もう一度あの短編を読み返す気にはならないです。
うまく言葉に表せないものの、「SF界の優等生」というのが初読時の漠然とした印象。私たちの世界を取り巻く宗教や言語、歴史感覚や物理法則といったあらゆる事象を、豊かな想像力と表現力で以て緩やかに解体し、再び「科学のフィクション」として理詰めで脱構築する手腕はとにかく鮮やかで、人々が自ら求めてSF作品を読むことの根源的な喜びがこの1冊にはいっぱいに詰まっている。寡作な著者だけあって1編1編に込められたエネルギーも凄まじく、その精緻な構成は文芸的娯楽というよりはまるで世界をまなざす新たな技法を提示するもののよう。
SFは、そんなによく読むわけでないが、SFのSはスペースではなくサイエンスだったんだとこの本に久々に気づかせられた。表題作も勿論いいが、「理解」みたいないかにもなの(好きですが)から「バビロン〜」や「美醜〜」のようなのまであり、どれも質が高い幅の広さがすごい。つい勢いづいて、大きくなったら理系に進みたいとさえ思ったが、よく考えたらとっくの大昔に文系だった、しかも留年までして。
入っている短編全ての世界観がしっかりと分かれていて、そしてどれも深いテーマのものばかり。キリスト教圏で神についてこれだけ語れた事もすごいと思う。バビロンの塔の空へと上がっていく描写の細かさに特にリアリティを感じた。
表題作、しみじみと深い感慨を覚えました。人が生きていくということ、『あなたの人生』が私の、そしてあなた達の人生に広がっていく。 しかしテッド・チャンにはなんともいえない奇妙さがあるような気がします。「バビロンの塔」や「地獄とは神の不在なり」に特に感じたのですが、それは『この人はなんて変なことを考えるんだろう』ではなく『テッド・チャンは実は中世の人間なので現代人とは感覚が違う』と言われれば納得するような奇妙さ。うまく論理的に説明できないのですが、そこがチャンの一番の魅力なのだと思います。
わたしはいま、このコメントで、あなたにこの本を紹介しようとしている。表題作はあなたにあなたの人生の物語を聞かせる話で、わたしはこれを薦めている。最初は文体に違和感を感じるのだけれども、あなたは彼女がほんとうは何を物語っているのか気づくでしょう。そうして文体の仕組みに、それを支配する世界認識のかたちに気づいて。「それでもなお」という彼女の生き様に心を動かされるの。それは「感動のSF」にありがちなものではなくて、静かに生を肯定するもので。だからわたしは、あなたが感動すると知っていながらこの本を紹介するの。
表題作が「トラウマになった」という人がいたので気になった。実際読んでみると別にそんなことはなかった。私の頭脳ではあまりよく理解できないが、すごい。テッド・チャンが沢山の賞を受賞するに値する人間だということはわかる。どんな頭をしているんだ。「バビロンの塔」と「地獄とは神の不在なり」が好き。
表題作は途中ではっと気づかされる感覚がたまらなかった。この楽しみが味わえるのは逐次的認識だからこそなのかな。 その他では「理解」「地獄とは神の不在なり」が好き。「理解」はクライマックスのスピード感が読んでいてたまらないし「地獄とは〜」は天使降臨が自然災害の一種みたいに当たり前の現象になっているというのが面白い。
ソリッドな技術に愛が宿る。雄大な信仰に問題が提起される。 世界を、別の側から見ると、こんなに魅力的に見れるのか。 お勧めは、天使の奇跡によって信仰心を試される「地獄とは神の不在なり」。
ひさびさの傑作。私的年間ベストに入ること確実。マルドゥック・フラグメンツに、この本が言及されていたので読んでみたが、うーん、タイプはだいぶ違う……
あなたの人生の物語の
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