しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)
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しあわせの理由の感想・レビュー(401)
なかなかいい短編集でした。一番好きなのは「道徳的ウィルス学者」ユーモアと皮肉がきいたいい作品。完成度が高いのは「チェルノブイリの聖母」これは長編にするには今一つテーマに欠けるので、この形が一番ベスト。非常によく出来た短編小説。おかしな作品では「愛撫」が一番。表題作は「適切な愛」と併せ一本。くだらなさでは「闇の中へ」に軍配。ひょっとしたら凄い傑作なのかもしれないと思わせるだけで終わった「ボーダー・ガード」もいい感じ(^^)
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(1)
- 01/24
世界設定を理解するのにちょっと時間がかかったものもあったけど、作品世界を構築しているアイディアそのものはやっぱりすごいなぁと感じる。どの作品も、落着したように見せてどこかに何かしこりを残して終わっていくが、その余韻がこちらに少しだけ、その世界に自分がいたとしたらどう感じるかを考える機会を与えてくれている気がする。表題作「しあわせの理由」は、主人公が導いた結論には納得。個人的には「愛撫」「道徳的ウィルス学者」「移送夢」「ボーダー・ガード」あたりが好き(「宝石」にまたお目にかかれるとは思わなかった)。
面白かった。今まで読んできたSF作家の作品とはかなり傾向が違ったけど。多くのSFに見られる「科学が人間にもたらす影響はこうだ」といういわば断定的で、読者にその意見を突き付けるような感じがイーガンには全くなくて、彼は「僕は科学と密接に関係したこの問題に関してこんな切り口で考えてみたけどどうかな?」という、提案のような作品が多いように思った。作者の意見をうのみにするのではなく、自分でしっかりと考えなければいけないということを強いられるような。でもそれがいい。
ラストに収録の表題作の救いようのなさに沈む。「適切な愛」や「血を分けた姉妹」あたりが好きだな。「チェルノブイリの聖母」は今となっては日本でもあの絵みたいのを作れるのではないかと・・・
「しあわせの理由」がダントツ。自分も操作出来たならどうするか、どうしてしまうか。切ない話だけど終わり方に希望が見えた気がした。どの短編も毒があってハッピーエンドではないけれど嫌ではない複雑な読後感が残る。「チェルノブイリの聖母」は『宇宙消失』の前半部みたいな探偵モノ、ガジェット好き。
単行本形式では初イーガン。冒頭作は衝撃。後書きで哲学小説って言っているのも分かる。派手な結末や盛り上がりがある作品は少なく、地味だけど、面白い。難しくはなく、しっかりSFなんだけど、テーマはその世界とどう接するか接せざるを得ないかということが主題の話が多かったと思う。最後の作品の哀感と受容は、最近読んだカート・ヴェネガットに通じてる気がして良かった。
『適切な愛』『血をわけた姉妹』『しあわせの理由』が好き。『血を〜』のカレンには、ナンシー・クレス『眠る犬』を連想する。家族の復讐(だけではないが)のため、非合法な手段をも駆使して突き進む、強靭なヒロイン。
発想の奇抜さと薀蓄語りが面白く飽きさせない。量子サッカーのせいで導入部のみ拷問だった「ボーダー・ガード」は「移相夢」と対極にあるような結末で、悲観だけではない未来も提示する作者のバランス感覚がよかった。表題作はまさにその一篇のみでシーソーのように多幸と鬱のあいだを行ったり来たりする話で、各人が選択する嗜好や好悪も遺伝子の集積から篩にかけられた要素でしかなく、個性重視主義の昨今、それらを珍重しすぎる人間の優越意識に問題提起をしているようにも感じられた。【私】は「十億の断片の中で最後に残るひとつ」ではないと。
アイデンティティや人間性をテーマにするならば、まず参照せねばならないのがイーガン。自己の存在そのものを揺るがすSF的小道具を次から次へ見せるショーみたいに読んだ。急いで読んだので表面的になってしまった。もっと違った人物を主役に据えたら、これらの物語はどんなになるだろう。
再読。ベストは表題作。「愛撫」も好き。シカシおれはそんなにイーガンを誉めたくはならず,もうちょっとわかりやすくならんもんかなと思う。何ごとも「契約」だけは遵守されるのネ。
アイデンティティがテーマの一つに設定されているからなのか、ついつい惹かれてしまう。イーガンは今後も何度となく読み返す作家の一人になると思う。今作では『適切な愛』『チェルノブイリの聖母』『血をわけた姉妹』『しあわせの理由』が良かった。
個人的には祈りの海の方が好きかも。「闇の中へ」の主人公やっちまったな感がなんとも後味悪い。「道徳的ウイルス学者」は最後それでいいのかよwと言いたくなった。そして、「しあわせの理由」や「祈りの海」みたいに、人間の根源的な感情は所詮脳内物質によるものだ、とばっさり切り捨てられたときのあの哀愁がイーガンの持ち味だなと思った。
SF的な仕掛けの一つひとつにリアリティを巧みに纏わせている。どの作品も自分のわかる範囲内の科学知識で面白く読めるのが嬉しい。そしてぐらぐらと不確かにされてゆく自己同一性に対して、物質はただ在り続けようとするのだな。その間隙。
イーガン短篇集二つ目。「適切な愛」「ボーダーガード」「しあわせの理由」が特によかった。適切な愛の理性を突き詰めさせられた結果の人間性消失ってのは、ほんとに痺れる。ボーダーガードは、永遠を生きるかもしれない存在たちの途方もない文化と、永遠を生きることになりながらも有限を知ってる人の苦悩が面白かった。しあわせの理由は最高。長編に出てきた価値ソフトみたいな概念を、肉体人の段階持ち出せばどうなるかということを、その実現過程まで含めて書いており、それは情報人格の特権みたいに思ってただけに、衝撃だった。
最近読んだSFの中では読後感が良く楽しめた。色々なギミックによって自分の何かが変わってしまっても、それは見方が変わっただけということなのか?こういった作品を読むと著者の主題を意識してしまうが、そんなに難しく考えなくても楽しめるのがどの短編にも共通する良さと感じた。表題作とボーダーガードあたりが印象的。オチのあほらしさで言えば道徳的ウィルス学者か。
人間の自由意志はフィクションでそれは結局ただの化学反応の連鎖でしかないのではないか、という西洋におけるトラディショナルな問い掛けについての表題作が一番よかった。自分の感情を手元のスイッチひとつで操作できるときファム・ファタルを選んだその根拠は?
グロテスク。でも「苦痛で、そして逆らえなかった」。死の回避という人の絶対の欲望は人を人で無くしていくのか。それが現実である世界の物語は憧れと嫌悪のマーブル模様(しかも近未来設定!)。人間って結局なんなの?どこからどこまでに留まれば人間って名乗れる?そこに完全な定義ってあるの?ってな質問をずっとされている気がして、当然回答を知らない自分には落ち着かない。読み終わってからも残る本。読めてよかった。
ボーダー・ガードがお気に入り。最新科学と哲学的、文学的な主題を理想的な形で組み合わせる短編SF集のお手本のような一冊ですね。宗教を扱ったミステリータッチもあり、芸術を扱うサスペンスタッチもあり、量子論を使ったミッションものもあれば脳科学を使ったいかにも青春文学というものもある。その全てが高い完成度と読みやすさを備えています。同じ著者の祈りの海やテッド・チャンと並ぶSF短編集の宝
久しぶりに再読。どれも粒ぞろいだけど、特に表題作、適切な愛、道徳的ウイルス学者、ボーダー・ガイドあたりが好きかな。特に表題作はよい。科学技術ガジェットを使って堅実に一般的な認識を崩すこと。「人間」をやめること。あと、解説における「道徳的ウイルス学者」の読解は結局道徳を神秘化している気がして首肯できない。むしろ、そうではない、というのがイーガンのいいところだと思っている。
イーガンは肉体を捨てることをものすごくポジティブに書くから不思議。これだけ肯定的に書かれてるとアイデンティティの存在って何に依るんだろうとウダウダ考えてしまうよ。しかしよくこんな変なことばっか考えつくよなあ。
SFのネタがなかなかいい。量子サッカーは確かにイメージができない。道徳的ウイルス学者は「リア充死ね」って感じの話で無駄に壮大なのが滑稽で気に入った。
「闇の中へ」「移相夢」「しあわせの理由」あたりが好み。量子サッカーが全く理解もイメージもできず衝撃的だった。何となくの説明を人に伝える事もできない。あのくだりをスラスラ理解できる人、尊敬する。
しあわせの理由の
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感想・レビュー:107件


















































