ドゥームズデイ・ブック〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)
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ドゥームズデイ・ブック〈下〉の感想・レビュー(148)
中世英国へのタイムトラベル。ペストが猛威を振るう1348年は避けてさらに30年ほど過去へ。ところが、現代では未知のウイルスによるインフルエンザが。さらに過去へ行った女性も罹患してしまうし、着地点がわからない戻れない。この先はお得意の「すれちがい」やら「くりかえし」のドタバタ。こりゃ印象に残らんなと思いつつ読んでいると、第三部からの凄まじいばかりの展開にページをめくる手が止まらない。574ページ
上巻読んだ後下巻から間を置かなければならなかったけどその間中読みたくて読みたくて仕方がなかった……。怒涛の中で人が死んでいくのだけれど、あんまその死に焦点は置いていない感じ(数人の死は別として)。でもこっちにも感傷を残しながら物語を進めていく技量は素晴らしい。
「いかなる障害があろうとも、かたときも自分の鐘を離れてはならない」鳴鐘者の精神がこういう形で結実するとは思いもよらなかった。とりあえず『犬は勘定に入れません』を読み直さねば。
この長さで一気読みしたのは、久しぶり。ローシュへの弔鐘の場面は胸に突き刺さる。が、しかし!送り出した側のドタバタぶりは何? 心配性のダンワージーは善良だけれど、愚かだ。送られたキヴリンが善良で優秀なのが救い。
下巻は一気読み(それでも時間はかかったけど)。中世パートでは世界そのものが墓場になってしまった絶望感に満ちているが、現代パートも中々の凄惨さ。それでもウィリスの力量は半端じゃなくて、とにかく読まされた。後半、キヴリンは紛れもなく神の遣いだったのだ。少なくともローシュや子供たちにとっては。
長い長い、長すぎる。みなさん、とてもほめているけれど、私には、絶賛というコメントがよく分からない。そんなに面白いのかなと思いながら、読了です。
現代パートのキャラがいい味出してる。メアリもコリンも笑わされたり泣かされたり。というかウィリアム…!(笑) 中世パートはなんだかもう、思い入れが深まれば深まるほどラストに行くにつれどうしようもない絶望感が。ローシュがどんな思いでキヴリンを見ていたかを思うと、どうにも切ないです。まぎれもない悲劇ですけど、彼が自分を幸せな男だと心から思っていたのは真実だと思います。
悲劇すぎて読むのがつらかった。作家は悲喜劇を書き分けてこそとのことで、ウィリスは姉妹篇『犬は勘定に入れません』を喜劇、本書を悲劇として書いたらしいけど。タイムトラベルした14世紀の黒死病うずまく暗黒時代の描写の絶望感を書ききったのは傑作としか言いようがない。でも時間SFのプロットとしてはそんなに目新しくないのにトリプルクラウンってのが不思議。ウィリスのストーリイテリングの為せる技か。
歴史学科の女学生が中世の時代にタイムスリップ! という前知識だけで読み始めたら思ったのとちょっと違いドシリアスだった。現代と中世で進行する感染病の描写がリアルで、特に中世でばったばったと死んでいく人の様が生々しくて恐ろしかった。個人的にはもうちょっと主人公が活躍して、なんらかのアクションができればよかったなぁと思ったのですが、主人公は無力でただ病気の前に為す術もなかったのが読んでてつらかったなぁ。リアルですけども。あまりカタルシスは感じられませんでした。
センスオブワンダーは少ないけれど、SFと純文学を融合させたような内容が凄く好き。技巧を技巧を感じさせない域まで達しているという、恩田先生の指摘はまさしくその通りだと思った。航路も読もうっと。
ラストは感動。二つの話が会話によって語られる。ほとんどはひどいものばかり。と静かにいう。でも中にはすばらしいものもあるわ。すばらしいもの。(略。一生忘れない。とメアリはいった。すばらしいもの。SFっぼいギミックはあまりなく、象徴的に鳴り続ける鐘が印象に残る。イギリスは鐘の国なんだとおもわせ、一度は行ってみたい。
航路もそうだったけど、ラストに向けて突き進む後半は中断するのがきつい作品。怒涛の展開に合わせて読み進み、終わった時にはぐったり。内容に感動したのと疲労感で。
クリスマス・イヴにこの物語を読み終えるとはタイムリー。謎を引っ張った上巻と打って変わって、下巻に物語が動き出しました。「青わずらい」の悲惨さに目を覆いたくなりますが、そこはじっくり読むべきところ。それにしても登場人物たちみんながなんて魅力的なことか。キヴリンの気丈さと優しさ。ダンワージー教授の「モラルスティック」な愛情と勇気。コリンとフィンチの期待に違わぬ活躍。メアリ先生の献身を思うとホロリとする。そして、意外にも、実にドラマティックな役割を演じることとなるアメリカ人鳴鐘者たち!
*3.6 ずさんなタイムトラベル×過去と現代の同時進行なパンデミック×すれ違い。長いけど、難解な科学話ではないし(つまりタイムトラベル技術を読む話ではない)、展開が上手くて、ひきこまれる。中世のキャラクターが現代との感覚のずれも含めてよく書けているので、余計に最後の悲惨な展開が活きている。ただ、最後のこれがメインなら、タイムトラベルとか現代のドタバタはいらなかったんじゃなぃのかな・・・普通に、黒死病時代の歴史小説を読みたくなった。
軽めの前半とうって変わってどんどん重い展開になるけど、それでも一気に読んでしまった。SFとしての仕掛けはあまりないけど、シリアスとコメディのバランス、「悲劇」の提示の仕方など、ストーリーテリングのうまさは抜群。新型インフルエンザ騒動に見舞われた今年、この小説に描かれる未来世界のパンデミック(正確にはアウトブレイク?)はあまりにもリアルだ。
SFとしては全く目新しいことはない。タイムパラドックスもおこらない。面倒な理屈は全てほっぽって、タイムトラベルのひとつのテーマを丁寧に描いただけ、といってしまえばその通りなのだが、いやあしかし感動してしまうのである。じーんとするのである。
作者の力量には間違いなく圧倒されたけれど、SF的な面白さに対してはちょっと物足りなさも。解説でも指摘されている、饒舌なのに大事なところはさらっと描く点は、非常に効果的と分かっていても、ラストはもう少し濃密に描いて欲しかったような。まあでもそれがウィリス流なんだろうけど。
このページを開くのが読み終わる前じゃなくてよかった・・・。それはさておき、とにかく小説としての完成度に脱帽。真に迫った中世の描写もすばらしいですが、それ以上に1700枚を長いとすら感じさせない圧倒的なストーリーテリングにはもう参りましたの一言。数あるSFのなかでもトップクラスの「物語」だと思う。
正直、舐めてました。長すぎる描写に進まない事件。憎らしく自分勝手な登場人物に、鍵を握る人物の欠席退場。しかし、それも中世でのペスト発生。現代での事態把握と共に、大きく動き出しました。これまで大きく、細やかに中世での生活と一家の生活が描かれてきただけに、どんな端役の死にも、心動かされ、特に幼い姉妹の死には、この世界に神なんかいない、と嘆きましたね。一方現代パートはではコニーやウィリアム親子、ベル奏者を始めとしたコメディ的な人物が暗い雰囲気を和らげる効果があると気づいたときにははっとしました。上手いな~~と。
相変わらず、登場人物たちは勝手だし、後半で「え!?」と思う人が死ぬしで、「航路」と展開が一緒なんだけど、やっぱ先を読まずにはおれん本だった。中世の描写は素晴らしいというかよく調べてあるなあと感心。怒涛の展開の終わり方もうまくて、さすがコニーという感じでした。だけど、イライラする人にはきついかも(笑)
上巻のドタバタ劇、日常からの連続のような笑い混じりの展開から打って変わって、まさかまさかのジェノサイド、というか大量虐殺という日本語の語感こそふさわしいストーリーになり、心底びっくりした。 しかしタイムスリップものに私が期待する、センチメンタルな余韻がほとんど無かった。 なので黒死病の描写という凄いもの読んだな~という感覚しか残らなかったのも確か
ヒューゴ賞、ネビュラ賞、ローカス賞受賞。原稿用紙1700枚の大作も読み出せば、止まらなかった。過去と近未来のウィルスの脅威はすさまじいが、「いのちの尊さ」と「献身」が印象的だった。
中世パーツの感動をぶち壊して余りある近未来パーツの混乱ぶりを「さもありなん」と捉えるか、イラッとくるかによって読後感は大きく変わるものと推測される。キリスト教的なものの考え方について知っていると、より読みやすいのかも。ところで、「キヴリン」がなぜ「キャサリン」になるのか、初読のときにも分からず、今回も最後まで分からなかった。どういう発音してどういう耳をしてたらこんな化けるんだ?とか思ってしまう私は、決して本書のよい読者ではない。や、好きなんですけどね。この本。
タイムトラベルものを読むとよく???となってしまう私でもとても楽しめた。時期的にインフルエンザ騒動の最中で21世紀部分がよりリアルになったし、14世紀部分では当時の生活の様子や病気に対する処置など細かく描写されていて臭いまで感じそうだった。
「犬は勘定に入れません」の姉妹篇ということで、同じ設定と一部の登場人物が被っているものの、こちらは全くのシリアス。タイムトラベルものといいつつ、過去(14世紀)と現在(21世紀)がほとんど交わることなく並行して話は進んで行きます。SFというよりはほぼ歴史小説。ただしテーマはパンデミックによる悲劇。話の展開が遅く人物をじっくり描いている分、終盤で感じる何も出来ないという絶望感はすごいです。さすがに医学の進歩に感謝したくなる。
さすがコニー・ウィリス、この長さにも関わらず一気に読んでしまった。(インフルエンザが流行り始めている時期に読むものではなかった気がするけど。)『犬は勘定に~』とのフィンチの違いにびっくり。フィンチに何があったのだろうか。
時間旅行SFの中では最高傑作だと思う。為す術もなく人々が死んでいく悲劇だがラストは感動。ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞をトリプル受賞している。
実は、ハードカバーの上下2段の細かい字の分厚い本で読みました。始めは、登場人物の名前とか理解できなくてついて行かれなかったけれど、途中から、止まらなくなりました。教授は本当に会いに行けるのだろうか?ウィルスは?かわいい子どもたちは?とハラハラしながら、最後まで読みました。あの状況の中で、良く頑張ったよ・・・本当に!
ドゥームズデイ・ブック〈下〉の
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感想・レビュー:52件














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