祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)
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祈りの海の感想・レビュー(340)
表題作と「ミトコンドリア・イヴ」「イェユーカ」が好み。SF的仕掛けをメインに楽しむ作品よりも、SFを添え物にした作品のほうが読み応えあったかな。
2000年。SF初心者の私には難易度高い作品。「繭」胎児をくるんで、現代社会のあらゆる毒から保護する繭の研究の物語。主人公が怯えるのにはちょっと笑った。繭があれば、私はもっとまともに育ったかも。また世の中のあらゆる問題が改善されるかな。ひょっとしたら人類滅亡するかも?「祈りの海」マーティンは海で儀式をした時、聖ベアトリスの愛を受けた。なぐさめ、信念を授けられた。驚愕の物語。どの作品も素晴らしいが「祈りの海」がこの本一番の傑作だと思う。
小説として、SFとしてその可能性を極限に引き延ばした珠玉の短編集。テクノロジーが引き起こす根源的な不安、不調和をここまで醒めた眼で、しかしどこか切なさや清々しさも含めて描けるのはイーガンくらいだろう。表題作はそのイーガンらしさが溢れた宗教SF。繭やミトコンドリア・イヴ、イェユーカなんかはSFが苦手な読者でも楽しめる、社会派意識の強い作品。今だとぼくになることを、はまどマギのソウルジェムの先駆的アイデアとして、古典的な哲学SFとして何度読んでも面白い
比較的ありがちなSF設定が、どれも見事な切り口で描かれている短編集。タイトルの祈りの海は主人公が己の信仰をSF的に昇華させていくのが大変興味深い。
いろんなところで絶賛のイーガンですが、私にはあんまり合わないな。。。というかネタがよく分からない。なんとなく分かるんだけど、よく理解できていないのでピンとこない。落ちのない話を読んでるのと同じような、やや腑に落ちない読後感が残る。表題作の「祈りの海」は、ネタは分かったんだけど、だから何?って感じがする。「そうだったのか!」というびっくりではなく、「そう。それで?」っていう感じなんだな。長編に挑戦してみようか、どうしようか。とりあえず積読状態なのがまだ3冊くらいあるんだけどな。。。
イーガンを敬遠していたのは、ガチガチのハードSFで僕には理解できないんではないだろうか、という不安があったからなんだけど、思ってたよりも理解できてる。というか、ものすごいおもしろい。好みは「貸金庫」「ミトコンドリア・イヴ」「イェユーカ」。おもしろかったけど、この短篇集はイーガンの中でも読みやすい部類みたいだから、まだ油断はしない。
どの話にも複雑な感情を抱かずにはいられない、心を揺さぶるとはこの事を言うのだろうか。印象的だったのは「無限の暗殺者」平行世界という割とありふれたネタをここまで弄り倒してしまうセンスは驚愕の一言に尽きる。他には「キューティー」「ぼくになることを」「イェユーカ」が面白かった。表題作も悪くは無かったんだけれどちょっと読んでて疲れたかな。
『祈りの海』の世界観、めっちゃいい!!橋渡しの設定は無駄にグロさを足しただけだった気がするけど;;他のではみんなよかったけど、特に『誘拐』『キューティ』とかが好きでした。
いやぁ、どれもこれも凄い。イーガンのイメージとしては『キューティ』や『ぼくになることを』のような短編は意外でもあった。どちらかというと『繭』や『無限の暗殺者』のような作品のイメージだったので。そしてその中でも表題作『祈りの海』は異質……と思いきや、最後まで読むとやはりどこまでもイーガンだった。粒揃いの短編集で、読後(良い意味で)凄く疲れた。
初めて読んだ作家の短篇集で、あまつさえSF小説の熱心な読者でもないけれど、冒頭からめくるめく背負い投げを喰らって畳の上で七転八倒しながら、ひたすら陶酔感に耽り続けたのでした。
凄い。他の短編集と似たような感想になってしまうけれど、まずSFの仕掛けというか仮想科学技術の着想が単純に面白い。そして容易くとめどもなく流され続ける集団の中にあって、惑いながら揺らぎながらも意思をもってそこに在ろうとする個の姿に胸が熱くなる。
どの短編も一定水準以上の好みでこんな打率がいい短編(しかも海外文学で!)ってあんまりないのですごく嬉しい。翻訳者が素晴らしかったのか(無知ですみません)文章がすごく読みやすかったのも一因か。タイトルも解説も面白かった。立ち読みした時に買うか迷ったんですけどちらっと「ゲイ」の単語が見えて即購入に至ったわけですが(苦笑)その判断に間違いはなかった!好きだった短編もやっぱり件の『繭』でした。表題作の『祈りの海』もだんだん惹きこまれます。
☆7 基本的にはハードなSF短編集。だから一つひとつ読むのになかなか集中しないといけない。いくつか読んでいけば自然と解るが、テーマ性を持っていて、その態度や思想が一貫していることが伝わってくる。自我や人間そのものへの認識と存在そのものの不確かさ、と同時に解読不能な世界自体へのアプローチを描く。科学的にも精神的にも宗教的にもとにかく世界・自己へと向き合っていく。もちろんSFとしても面白く、奇想な展開にぐいぐいと引っ張られていく。『貸金庫』『ぼくになること』『祈りの海』が特に好きだった。
グレッグ・イーガンの短編集。小説には可能性がまだ残されていることを実感した。収録作品では『キューティ』『ぼくになることを』『誘拐』『ミトコンドリア・イヴ』『イェユーカ』『祈りの海』が良かった。
SF設定はあまり理解できなかったけど面白かった。話としては「放浪者の軌道」が好み。自分の存在そのものや信じていたものが足元から壊される、という筋立ての話が多かったので読むのがしんどくて読了までにかなり時間がかかった。
サイエンス部分の細かい書き込みは、フンイキ程度にしか味わえなかったけれど、ストーリーでグイグイ読ませてくれるのでなんとかなりました。トンデモな設定とハード・ボイルドな描写の組み合わせがなんともクセになります。
邦訳済長編は全部読んでのイーガン初短編。一篇の中で舞台と話を理解させようとしてるせいか、長篇と違ってとても読みやすい。「貸金庫」「ぼくになること」「誘拐」が特に好き。中でも「誘拐」は『順列都市』の前半で描かれていたような未来社会において有るであろう全く新しい社会問題というのを書いてて、そこに未来の日常が感じられてとても良かった。あと意外だったのが「貸金庫」「放浪者の軌道」「無限の暗殺者」。イーガンは徹底して現在の延長を描くイメージがあったので、こういうアイデア先行のも書くんだと少し見方が変わった。
「ディアスポラ」でその設定を飲み込むのに四苦八苦して、頭がお粥になりそうだったので(笑)かなり構えて臨んだんだけど、今回は短編集であり、それぞれの舞台もわりと飲み込みやすかった。特にSFで宗教を描く「祈りの海」の切り口には脱帽。アシモフにしても伊藤計劃にしてもそうだけど、SFという手法を使って「人間とは何ものか」を追求しているような作風が、個人的にはとても好みだと再確認した。なので、やっぱりもっとイーガンを読もうと思った。
イーガンは言葉を使って何処まで高く飛べるか実験しているような作家だ。それは人間の意識をどこまで変容させられるか(順列都市/ディアスポラ)という話でもあるし、倫理的な意味でもある。「祈りの海」はイーガンの倫理観がよく表現されている傑作で、そこで提出される倫理はおそろしく高度である。イーガンの主人公が皆不自然なのは、超高度な倫理を受け入れる役どころだからだろう。
まどマギの「ソウルジェム」と『ぼくであること』の宝石を比較している考察サイトを見つけたので気になって読んでみた。SFに手を付けたのは初めてだったので戸惑ったが、イメージしていたよりも読みやすい。
難解だが、やはり面白い。アイデンティティーの問題を、様々なSF的設定から物語られている。 個人的には幸せの理由のほうが好きでした。
自らが主体であるための、ゆるぎのない、しかし漠然とした生の動機が、ただ機能や偶発性の結果であったとするなら・・・。実際、今の技術レベルでも、脳にある特定の細胞の活動を自在に操ることが可能になったようです。イーガンによって丁寧に剥ぎ取られ、借り物でもあるかのような様相を帯び始める意識や精神の主体性。そしてその最後の残りカス、あきらめの清々しさのような気分だけが、不可侵な人の温もりのような気さえしてくるのです。特に表題作「祈りの海」は、架空の世界とビルドゥングスロマンがしっとりと調和する美しい物語でした。
まだ完全に消化し切れていない気がする。テッド・チャンの『あなたの人生の物語』もそうだったけど、認識/認知/アイデンティティが主題となっていて、それらを描くために科学を用いているという感じ。解説は非常に納得、という感じだった。
どの作品でも主人公が没個性的だ。でも最高に面白い。なぜか。イーガンの目は徹底して世界構築に向いていているからだ。主人公のキャラクターには無関心になっている気がするし、作りこまれた世界観に対して、そこだけぽっかり空いたように見える。ここでは読み手はそれぞれの物語世界を追うだけで、無垢に信じていたアイデンティティがぐらりとゆらぎ、結果「自分という不思議」に触れることができる。イーガンは主人公を吹き飛ばして直接読者に語りかけていると思う。この作品群に関して言えば、感情移入なんていらない。
情報溢れる現代・未来社会が発展させた合理性と、倫理感や宗教観がぶつかり合って、世界の見方を示し、翻ってそれを見る自分の在り方を見る、という自分の求めているSFがあって非常に満足。特に医療知識が盛り込まれた話が好物で、「ぼくになることを」や「キューティ」は人間(自分)の定義を揺さぶってくれる。並行世界や異星モノなど、ヴァリエーションにも富んでいて良かった。
無限の並行世界を行き来する暗殺者と並行世界を転移するジャンキーが無限に繰り広げる超空間的駆け引きを描いた「無限の暗殺者」の眩暈のするような内容に思わず勃起した。男が擬似的な子を【出産】するという「キューティ」や、男性器と女性器を交換するという「祈りの海」の【橋を移す】シーンなど、性にまつわるテーマやネタが多いのも印象深い。未来を完全に把握しているということの残酷さを描いた「百光年ダイアリー」のわかりやすさとやり切れなさも好き。アイデンティティをテーマに濃ゆくガッツリ展開される短編集。
訳が生き生きしてていい。古典悲劇にも通ずる物語構造と、現代でも十分受け入れうる考え抜かれた倫理観と、未来の科学技術。こんなの面白くないわけがない。「ぼくになることを」は忘れないと思った。
アイデンティティのお話は結構好きなので、楽しめました。表題作も幻想的でいいですとも。「橋」の受け渡しはちょっとそそられた。いいじゃん、ねえ。
どの作品もアイディアは秀逸なんだけど、難しすぎていまいちオチが分からない作品が多かった。 「貸し金庫」「ぼくになることを」なんかは比較的オチが分かりやすい気がする。
科学が未来に感じられた古い時代のSFを思い出させる短編集。サイエンスの部分を突出させすぎてないのもいい感じです。収録されている中では世間的には評価は低いようですがミトコンドリアンイブは面白かった。
祈りの海の
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感想・レビュー:91件














ナイス!
































