流れよわが涙、と警官は言った (ハヤカワ文庫SF)
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流れよわが涙、と警官は言ったの感想・レビュー(318)
ジェイスンが余計なことを言って、女性を怒らせたり、悲しませたりする印象が強かった。そんな印象が強いということは恐らくジェイスンには人としての共感力が欠けていたのだと今になって思う。3000万人に支持されたタレントも最後には壺に負けてしまうあたり、結局は薄っぺらい愛だったのだろう。そして、この本で最も人情家なのは最後に出てきた黒人に違いない。見知らぬ人にいきなり抱きつかれてあの対応・・・懐が深すぎて涙が出そうだった。
"本書はなによりも、涙を流すこと、泣くことについての物語である。最愛のものを失ったとき、人間であれば泣くことができる。"-大森望(あとがきより)
あたかもジェイスン・タヴァナーが主人公で、彼が数多く登場するヒロインたちと関わり合いながらある日突然失ったアイデンティティを取り戻すまでの過程を描いた物語である、と読者をリードする仕方がニクい細工ではないだろうか(笑)。実のところのキーパーソンは題名からも伺えるように、タヴァナーと言うより「警官」フェリックス・バックマンであり、またその彼が流すことになる「涙」に関係する彼の(双子の)「妹にして花嫁」であるアリス・バックマンだろう。それにしても生々しくて衝撃的なグロい描写が唐突に出てくるものだなと思う。
後半は先行きが気になって一気に読んでしまった。ことの真相を語る部分がちょっと何言っているのかよくわからないくらいSFSFしい感じで面白かった。でもそこ以外は時代背景や世界観の説明は少なく、代わりに登場人物たちの愛や悲しみへの考察がこゆーい感じに入っている。
感動的な話ではあると思う。SFでもあると思う。が、良いSFではない。訳がアレな点を差し引いても終盤のフェリックスの心情描写は胸に迫るし、随所にある愛についての考察は面白い。第3部の余韻から第4部の語りも感慨深いものだ。主人公に襲い掛かった状況の理由もSFとして面白いし納得もできた。だが解説にもある通り、ディックの実生活が多分に影響しているせいか、SFが手段になっている。物語のためにSF的要素が存在しているだけ。電気羊は感動とSF要素が一体となっていたので最高に面白かったがこちらは微妙。あとヒロイン多すぎ。
ラストの辺りを読んでるときは自分の心情をタヴァナーに重ねて警察本部長の横暴と理不尽に憤ったが、読み終わってしばらくすると彼の悲しみが痛切に伝わってきた。これはタイトル通り彼の物語なのかもしれない。設定は魅力的だが、オチはちょっと安易すぎるかな。
一人の人間の頭脳が他の人間の記憶に干渉・・・ただの夢落ちではない あとヒロインの人数がギャルゲ並み pkディックはおっぱいが好きなんだなと思いました
薬物による幻覚オチ! とは……驚いた。 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」と同じくテーマは「人間と非人間(機械)を分けるもの」だろう。
あと、どんな人だろうとある日突然どん底に落とされるかもしれないという恐怖も描かれている。解説でスイックス=6(シックス)と述べられていてハッとした。なるほど気づかなかった。
なんのこっちゃらと思いながら読了。今ひとつディックの倒錯的な状況での愛情というものには、深く共感が難しくてうーんと唸って読んだ。警官の気持ちがもう一つ入ってこないというか。トリックもまあ別に重要じゃないというか。しかし、常に薬物を使っている変な患者だけは印象に残った。
一言でいえばよくわからなかった。特にドラマティックな展開もなし。兄妹愛や同性愛、何人もの人と結婚したり、結婚だけはしないでたくさんの人をとっかえひっかえする人、(多分)そこに愛のあり方を書き出だした作品、かな??もう大人にならないと多分自分には理解できない。けど、作中の「私は涙を流したいの。悲しみは動物の持つもっとも崇高な感情よ(適当に引用」にはかなり同感。流れよ我が涙。
靄の中を進むような本だ。ジェイスンはどん底にあってもあっさりしているし、次々と語られる愛へ何の理解も示さない。彼に解るのは即物的な感覚だけだ。本部長やサブキャラたちの愛の深さに、わずかに救われる。人間であるかぎり、愛し愛でる感情と涙は尊く確かなものだと思った。
「存在とは関係性だ」という考え方に立つのであれば、関係性を失ったジェイスン・タヴァナーは存在しないことになってしまう。そんな存在を失ったタヴァナーが関係を取り戻そうとしてがんばる話、ではないことがびっくり。 愛するものを失う悲しみについて書かれてある本。 タヴァナーは悲しめない人間として、バックマンは悲しむことができる人間として、対照的に描かれている。 舞台になっている1988年は遠く過ぎてしまった。この本が書かれた1970年代から見ると、今、2011年はどんな風に見えるんだろう。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』に並ぶくらい、魅力的なタイトルである。ここからダウランドを想起するほど私は学があるわけではないが、それでも印象的なタイトルである。解説に引用された著者の言葉が示す通り、これは様々な愛の形を描いたものであり、倒錯的なものから、純愛と言っていいほど献身的なものもある。※ただしイケメンに限る。 それは当時ドン底状態の著者の秘めたる願望なんじゃないか。スイックスなど、設定に不完全な箇所があったりで、娯楽小説としては穴がなくもない印象だが、この作品から得られるものはあるはずだ。
んー難しかった。と言うか、翻訳が…><これじゃ汲み取り難いなぁ。もう少し違った訳で再読したい。あと少し!あと少しで言いたいところに辿り着けるのに!なんとなく伝えたい事があるのはわかるのに届かないもどかしさ。それは正直、翻訳だと思いました。タンスの上に大事なモノが置いてあってそれが大切だし重要だとわかっていても、手に取りたいのに手が届かないし1/3しか見えてないイライラ感。もう少ししっかり手に取りたかったなぁ。翻訳って難しいね。
描かれているのは、コミュニケーションの断絶と存在の喪失について、だと思った。不条理は考えてもわからない。感じることしかできないもの。そういう意味でも、娯楽としてのSF、最後にちゃんと理屈で説明できるSFを期待するなら読まないほうが良い。
ディックの作品は含みの部分を理解できないと楽しめないということがわかった気がする。ギミックの部分は、脳の認識を絶って再認識する際にパラレルワールドに移動できる薬があり、アリスが薬を使用した際にタヴァナーを道連れにして、タヴァナーが元の可能性の世界に戻る際にバックマン他数人を道連れにした、という感じだろうか
世の中にはガチな方々が天才的な小説をものすることもあるということを世に知らしめた一作。ディックさん、さすがだよ。。。
中盤11章のウサギに始まる対話は小説の醍醐味。なぜ失うと分かっていても愛するのか?涙を流すのか?後半にいくにつれ、真の主人公とも言える警官らしくない警官の愛というテーマが浮き彫りになります。けれども、スイックスのタヴァナーが「人に知られたい」と思わずにはいられず、それにもかかわらず社会的に存在を抹消されてしまったこと。そして、涙は流さないスイックスが「零落した階層の人間。浮浪者。名もない人間。取るに足らない人間。それでも、夢を見るんだ。」夢みるスイックスと、涙を流す警官、そして全てについての愛。
著者は読者にSF世界の解説省き、世界観を探らせた上で不条理な事態見舞われるタヴァナーを見せつける。 彼を追うバックマンも権威的でブルジョアな生活をしており、尚且つインモラルな秘密も持っている。 その秘密の為に卑劣にもタヴァナーを罠にかけようとするバックマン。 さて、どこで共感すればいいのだろうか。読み手は涙を流すだろうか。流さないだろう。 種明かしの解説を受けたバックマンのようにちんぷんかんぷんというのが正直な感想になる。 されど、警官は涙を流す____ この"隔たり"が最大の魅力なのだろう。脱帽する。
2 薬の解説あたりから、もにょっとする…。途中まではとても面白い。 主題自体は『アンドロイドは~』と同じで、人間なら共感(ここでは“涙する”という事)を大事にすべきだ(し、人間にしかできない)ということなのでしょう。 それにしても素敵な装丁です。
グリッド常習者の体型云々の描写がはからずともWebのそれと似ているような、そういう細部への書き込みが本筋の普遍的な話題もあって、ぜんぜん劣化せずにすんでいるのはないのかと思う。誰も自分のことを知らない、という大きな謎がぐいぐい読ませてくれた。
ディック作品にしては、なかなかシュールな作品。あまりSFらしくないSFって感じ。怪我をし起きてみれば世界が・・・って、ありがちなシチュだけど・・・ただ、検死官の説明は、なかなか難しい。個人の認識が世界に影響?って・・・でも、面白かった。
ヴァリスのような圧倒的な世界観や、暗闇のスキャナーにみられる斬新な設定は全くない。期待したオチも正直???だったが、何故か読後感は悪くない。特に、メアリーとジェイスンのはかなく美しい関係描写(まさに彼女が作る陶器のようだ)は心に残る。ディックっぽくない作品と思っていたが、大森望氏の解説が見事に補完していて納得。あとSF好きとしては、解説にある「わたしは現実と折り合うべきだ。だが、一度も折り合ったことはない。SFとはそういうものだ」というディックの言葉に涙が出そうになった。とにかく不思議な作品だ。
突然自分が存在しない世界に放り出されたテレビスターの彷徨から始まるも、この小説はそのような悪夢的展開そのものを描くようには書かれていない。また、この小説のなかにある喪失感も涙も物語が要請したものではないので、いわゆる泣ける小説のようにそれぞれの要素がエモーショナルな効果を生むよう絡み合わされているわけではない。むしろそういった絡み合いはことごとく断絶されている。歪だ。この小説の魅力はまちがいなくその歪さそのものにある。
流れよわが涙、と警官は言ったの
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感想・レビュー:79件














ナイス!































