初夜 (新潮クレスト・ブックス)
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初夜の感想・レビュー(170)
短い作品だけど、マキューアンのポテンシャルの高さを見せつける一品。若い夫婦の心情や、彼らの背景を、丁寧に細密に描いていてすばらしい。そして二人の感情が決定的にすれ違う姿に、痛ましい気分を抱いてしまう。若いエドワードに、ラストの言葉のような態度を望むのは酷だけど、それでもそうしていれば、と考えると、形容しがたい切なさを覚える。
いきなり初夜をむかえるところから始まる。すれ違いは性に関して拓かれていなかった時代のせいだけではない。誤解や足りない言葉、飛び出してしまった言葉…。最初はフローレンスにちょっとイライラするんだけど、それでも彼女なりにがんばった結果がアレ。最終章がすべて。フローレンスの気持ちも知りたかったなあ。
ひとの心とはなんと繊細でかつ頑迷で、その一方で光り輝く面もあるのだと思い知らされる作品。そのすべてを書ききった言える文章力と構成力が素晴らしい。若い二人の葛藤はリアルで、息苦しいほどだった。ラストは人生の苦みを経験が包み込んでいて、切ないけれどとても落ち着く結末だった
エドワードはフローレンスに母親を重ねてしまったんだろうなと思う。充分に愛されなかった彼が愛され続ける未来を確実に確かめられる時こそが「初夜」だったのだ
好きなだけでは、一緒にいられないということ。いつだって幸せは、壁の向こうにあるということ。私はそれを乗り越えられるんだろうか、と。ただただ、悲しくなった。最後の3ページのための一冊だったと思う。
そんなに長い話ではないし、たった一夜の出来事を描いているのに、すごく長い物語を読んだような感じがしました。現代でもきっとこういう行き違いはあるのだろうな。なんとも苦い、切ない気持ちになりましたがまた著者の本を読みたいです。
一夜の物語。すべてが始まり、終わった時。時代には逆らえないから彼らを責めることはできない。笑えるかっていうとほんとのところは苦々しい。彼女の提案を受け入れなかった彼は誠実であったと思う。
二人の出会いかせめて結婚式あたりから始まるのかと思ったらいきなりその夜からだった。二人の心の葛藤や揺れ動くさま、そしてなぜそう感じるのかという背景を表す、特に彼女の性格がよくきちんと書かれていて浸り込めた。男は単純に「したいから」。女は「彼を愛しているから」。時代のせいもあるだろうけど、現代であっても恋人関係ではあり得るよね。意識の擦り合わせ…。でも人に言えない人は言えないし、言える人は言える。今まで言えずにいて一気に爆発させた海辺のシーンですっきりした。似たもの同士って悲しいね
結婚式を挙げたばかりの二人、その夜のたったひとつの出来事が二人の運命を決める。まさかの展開に開いた口が塞がらなかった。フローレンスの気持ちがわからなくもないけれど…。最後の文章は本当にそうだと共感した。ほんとにねぇ。繊細で綺麗な描写で二人のキラキラした過去と現実を切り裂く。時代が、若さがそうさせたのか。面白かったです。
予想以上にすばらしい作品。読んだ後、気がつくと作中のいろいろなシーンを思い出して浸っている自分を発見。そういうの、久しぶり。 彼の作品は、これで2作目なのですが、かなり赤丸急上昇です。いよいよ「贖罪」でも読んでみようかなと、そんな気分の今日です。
面白かったです。「若さゆえ」とはいえども、なんとも苦い結末です。
語り口のせいか、内容にも関わらず、どことなく崇高な印象を受けた一冊。初夜を迎える直前の場面から導入して、その後にふたりの出会いを丁寧に描くっていう構成も綺麗。ただ、海外文学が苦手な自分には少し合わない部分もあったなぁ。内容自体は興味深いんだけど。 ハイライトはラストの10数ページ。まとめあげかたが素晴らしい。
今年読んだ本の中ではお勧めしたい中のかなり上位にくるなぁ。繊細な・・・。大人になっちゃったからか?どっちかというとエドワードに同情したかも。フローレンスのパニックも理解できないわけでもないけど。海辺での売り言葉買い言葉のいい争いでどんどんすれ違っていく感情が、あるあるこんなこと、と思いました。
自分が年取ってしまったことを痛感…。この本って、読む年代によって絶対にぜんぜん違うふうに感じるに違いない!ってぐらい、揺さぶられる物語な気もする。私は微笑ましく感じてしまった部分が多いのだけれど、、読みやすく面白い。
純粋にかなしくて読みながら泣きまくった。男性、女性どちらにも共感できるし、二人ともいい子なのに……ちょっと性的なことに不慣れで、焦った結果がこれかよ!マキューアンの作品はいつも読みながら「絶対起こらないでほしい」と思うことが起こる。悪い空想が本当に書かれて来る……でも面白いので読み続けてしまう。この小説も忘れられないものになった。
あっさり読めるような感触だったのに、最後には中編と思えない余韻が残る作品だった。出会いから結婚初夜を迎えるまで、うぶで赤裸々、お互いのシグナルの受け止め方のすれ違いが如実に表され、涙ぐましいほどじれったく細かくコミカル。幸せに感じていた時間は美しく、効果的に挟まれる2人の生い立ちと、若さゆえに知らなかったこと知り過ぎていたことが招く結果はあまりに・・ああ、愛があるだけに。
面白かった!ヒトの心と身体は不可分だが、未熟故に心とは全く異なる言動をしてしまうことがままあって、その所以で何かを完全に損なってしまうことがある。『初夜』のように、その出来事の最中に「損なわれた」ことを自覚するかもしれないし、後に振り返ってみてそのときに「損なわれてしまった」のだと気付くこともある。後半に、老境に差し掛かったエドワードの回想が挿入されるのだけど、この苦しさったらない。過ちを乗り越えても僕たちは普通に生活していけるが、損なわれたものは決して戻らないのだ。
砂のお城に住むお姫さまに、ガラス玉を持った王子さまは恋をしました。でも「エドワードとフローレンスのホテルは実在しない」ものでした。だから王子さまはガラス玉を割らずに、お姫さまは砂のお城に囚われのままで余生を送りましたとさ。
このちょっと前に「太陽がいっぱい」を見たんですが、当時マキューアンの小説に出てくるふたりが普通なんだったら、あの映画はそうとう刺激的でドッキリする映画だったのでは?とふと考えました。
感動すると言うより、考えさせられた。私はこの女性にすごく共感できたから、拒絶のシーンは辛かった。話していれば、と思うけれど、話したからと言って理解されただろうか。それが怖いフローレンスの気持ちが辛いし、一方でエドにしてみたら滑稽なほど可哀想で、別れるしかなくてもやっぱ話し合うべきだった…。ただの恋愛小説かと思いきや、最後がマキューアン節。フローレンスにも、成功だけでなく幸せが訪れることを望む。
性の解放が叫ばれる直前1960年代初頭のイギリスという時代設定が絶妙。新婚の二人の戸惑いとすれ違いがグロテスクなほど生々しく滑稽に描かれる。悲しい結末だけどこれぞ青春における喜劇だと思う。
どんなに愛していても、たとえばその夜でなくても、いつかは破綻したのかもしれない2人。それとも、その夜の何かが少しでも違っていたら、その後がすっかり違っていたのかも… 僅か数時間の出来事を、2人の背景やその後も含めて描かれたことで、長編を読んだほどの読後感が残り、ほろ苦さとやるせなさに包まれてしまう。その時代、2人の若さ、相手に求めるものと与えたいもの…2人を阻んだものと、乗り越えられたかもしれないものがほろ苦さとなって深く心に広がります。
久々のマキューアン。マクロ的に描かれる初夜の「事件」だけでなくエドワードの「その後」も俯瞰的に描かれているところが、いかにもマキューアン的。
ラストが少し物足りなかった。アセクシャルという存在を知らない読者が大半だろうし…。最後は彼の視点ではなくて、その時代名前がなく、「異常」で「病気」で「罪」だったものが、名付けられ、病でも異常でもない、そういう在り方として生きて行った(あるいはそう思う事ができなかった)彼女のその後の方が見たかった。
贖罪に打ちのめされたので、マキューアン体験2作目はやや拍子抜け。でも1962年のイギリスの設定が時代がかっているのに驚き、ラストに何かを期待してしまった自分の軽薄さを戒める。
一度狂ってしまった歯車は元には戻らないものです。あの時ああすればよかったのではなかったかと思うことがなんと多いことか。でもそれは現在に満足していないから。人生で3回訪れるというチャンスに気付けるか、そしてそれをものにできるかどうかでその人のその後が変わっていく…後悔せずに生きたいものです。
これが『付き合っている時』に起こったことなら、まだ修正出来ただろうに…と、私自身の交際間際の伝えきれない些細な喧嘩、相手を失いたくないが故にすべてをさらけ出せない、けれど自分が被害者・悲劇の主人公でありたいがために起こす不器用さを思い出した。あんなに愛せる人とせっかくめぐり逢えたのに。という結果がとても切なかった。晩年のフローレンスの心情も読んでみたかったな
初夜の
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