ソーネチカ (新潮クレスト・ブックス)
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ソーネチカの感想・レビュー(144)
ソーネチカは、自分の身に降りかかった悲劇や困難、貧しさ、夫の心変わり(すべて彼女に非があるのではない)を受け入れ、そこに幸せを感じて生きる…。それを彼女の信仰心のためや、彼女の心の美しさ…、などと大仰に持ち上げたりせず、万事淡々と物語りは進んでゆく…。彼女の夫のアトリエに、愛人となるヤーシャの絵が飾ってあったとき、彼らの関係を理解し、本来の自分の居場所とばかりに本の世界へ戻ってしまうシーンに、ソーネチカの失望の深さを感じて哀しくなった。誰のことも非難しない彼女の、夫とヤーシャへの想いには尊ささえ感じる…。
暮らしを積み重ねて時間が過ぎていく様子が心に沁みる物語でした。いろいろあったけれど、ソーネチカの人生はこれで良かったんだろうなぁ。
人からどう思われようと自分が幸せならそれでいい。ソーネチカの幸せは他人から見ると不幸でしかない。幸せのありようを改めて考えさせてくれた良書だと思う。
ソーネチカの精神世界は、「もっともっと」「私が私が」と自己顕示やら現世利益やらに日々悶え疲れがちな私にとって、大変心地の良いものでした。ただもう、穏やかに本を閉じたのでした。
解説のソーネチカは自身の存在を夫と一体化していたからこそ、ヤーシャも許せたのではという意見になるほどなーと感心。彼女が幸せだと呟くシーンの幾つかは理屈ではわかるけど凄い感覚だ。
裏表紙のコピーにあるように、ソーネチカの静謐さに「神の恩寵」という言葉を当ててもいいだろうし、深い愛に裏づけられた感動の人だけがもつ特別な力だと賛美してもいいだろうけれど、個人的には、「超実存の静けさ」という言葉が浮かんだ。あるがままの人間実存を超えた静けさ。のべつまくなしの読書経験が彼女に与えた最大の虚構は、自らの実存だけでなく、関係する他者のそれまでを、大きな静けさで包み込んでしまう人生だった。
「普通は」誰だってどこかしら「普通じゃない」。「平凡な女性の非凡な一生」というよりは、「非凡な人々の平凡な一生」のような。平凡に非凡な人々の。変な家族にかこまれた変な女の人がひとつも変だと思わず、自分の普通をきちんと生きて行く。
こんなにも「幸せ」をふかくふかく底のほうで感じることができたならばと、これからやってくる自らのたどる真っ白ないっぽんの道のことを結局は想うことしか出来ないのだけれど、でも。
ソネーチカが幸せだと云っても、これはかなしい。善も悪もない雲の上のお話みたく感じた。ソネーチカみたいな人間がロシアにはいるの?深すぎてわたしには底の光が見えなくて、いまはやっぱりかなしい。
辛苦と幸福は表裏一体。辛苦を知っているから、幸福を感じることができるのでしょう。そして、幸福は常に寄り添うようにそばにあるのに、多くの人は気付かずに、何かを求めて遠くを目指します。この薄さで、読後のこの充実感。非常にお得な本ですよね。満足♪♪♪
平凡な女性ソーネチカの一生は非凡だったという解説どおり。常識という尺度で見れば不幸な出来事がその身にふりかかるが、幸せとか不幸だとかは他人が決めることではないのだなと思った。作者は彼女の生き方を肯定も否定もしていない。こんなに不幸なのに立派でしょ、なんてましてや言わない。考え方次第、個人それぞれなのだと教えてくれる。自分が納得できる生き方をすればいいのだと、それをやり通した女性がそこにいたのだった。
梨みたいな団子鼻、いかり肩で椅子みたいなお尻…ぱっとしない容姿のソーネチカは、何よりも読書を愛していた。時に虚構と現実の境までが曖昧になる程に。やがて、芸術家であるロベルトと運命的な出会いをし、結婚する。端から見れば、貧しく辛い日々だが、彼女は繰り返し自身の幸福を神に感謝する。「こんなに幸せで良いのかしら。これは何かの間違いではないのかしら」と。夫の裏切りを知ったときでさえ、誰のことも責めず、恨まない。全てをあるがままに受け入れる。それがソーネチカの幸せの形。共感はできないが、優しい気持ちに満たされた。
昔話や伝記を語るように、少し高い視点からすらすらと語られる女の一生。ソーネチカの何が起きても動じない非凡さは、彼女が無数の物語を読んで育ったことに起因するんだろうな。淡々と読んだけど、人の一生をまるごと生きたようなただっぴろい気持になった。
読書好きの読者にとっては結末でソーネチカに降りかかった不幸を、ソーネチカ同様の想像力と洞察力で、むしろ別種の幸福な出来事が起こったに過ぎないと思えるかもしれない。
幸せという名の綿毛に包まれたようなソーネチカの人生。本の虫の栄養は数え切れないほど多くの物語。ソーネチカを愛せない読書家はいないと思う。
なんてこと、なんてこと、こんなに幸せでいいのかしら…。まわりからは同情されるような人生を送り、ただただ平凡な女性、ソネーチカ。彼女のような人生を生きたいとは思えないけれど、彼女のように幸せを一つひとつ心に留めながら生きていけたら素晴らしいなと思いました。いい本。
読後に不思議な余韻が残ります。ソーネチカの芯の通った生き方は一人の女性としてとても美しく、大好きになりました。同じ体験をしたとき、果たして私はソーネチカのように強く冷静に自分を保っていられるでしょうか。本をたくさん読んで、自分の糧にしたいです。
本を読んで自分を豊かにし、幸せな生活のために本を読む事より現実に生きるソーネチカ。そしてまた本を読んで幸せな日々に帰る彼女の一生の物語。辛いこともたくさんあるのに、あんなに幸せを感じるソーネチカ。読み終えた時に感じる静かな余韻は、どんな出来事も自分の中に受け入れ、静かに生きてきた彼女の生活の一部のような気がします。
物語と現実の区別がつかなくなるほど読書に耽溺していた少女ソーネチカは、成長して結婚し子どもを育て、貧しいながらも幸せに暮らしている。そんなごく平凡な人生の最中、彼女を襲ったある出来事。常識的には不幸としか思えないのに、それを淡々と受け入れ、あるがままで幸せだと感じるソーネチカ。神でも白痴でもない平凡な人間が本当にそんな風に感じることが出来るなら、人生はどれほど美しく生き易いものになることか。静謐で美しい物語だが、純粋な魂の末路を描いたものとしてはドストエフスキーの『白痴』の方が好き。
夫の裏切りにあっても、それを静かに受け入れるだけではなく、自分はなんて幸運だったのだろうと感謝するソーネチカの姿をみたとき、天からパアーっと光が射してきたような、そんな心洗われる気持ちになりました。どうしてソーネチカはこんなに清らかな心でいられるのでしょう。幼い頃から読んできた文学の世界が彼女を支えたのか、でもそれだけじゃない、これはソーネチカが神さまから与えられた素晴らしい才能なのですね。ソーネチカの人生に出会うことが出来て、わたしも幸せです。
何とも言えぬ読後感。「もう今となっては自分には何もない」と悟った日、自室で無作為に手にした本を読むまでの一連の場面が秀逸。不思議な静けさと優しさが滲み出る一冊。「何に幸せを感じるのか」も、一つのセンスだよな。そんでそのセンスを共有出来ることもまた、幸せのひとつのかたち。表層だけのセンセーショナルな感情や出来事にばかりフォーカス(あるいは依存とさえ言っていいかもしれないけど)しがちな文学ものが少なくないなかで出色の良作だと思う。
本当に色々な体験をしたソーネチカ。なのに、やさぐれることもなく、落ち着いて運命を受け入れる姿に感動しました。一番最後の本を読んでいる場面では、以前の幸せな時間とは比べものにならないようなものだと思いますが、ソーネチカがとてもめ幸せそうに見えました。
★★★★夫への執着心を捨てて、その愛人にも無償の愛で接することのできる幸せな人。気持ちよく読めた。性格が違うから自分の参考にはならない。
本当の意味で豊かな女。人にも自分にも与えるものを沢山持っている。人から見れば不幸でも本があれば幸せ。人から見れば不幸でも彼女は愛に包まれている。なぜなら彼女自身が愛をたくさん持っているから。こんな生き方、こんな幸福、こんな豊かさもある。世の中には一言一言を噛み締めて読みたい本があり、その時間は他の何かと引き換えになんか出来ない、そう感じたことのある人なら彼女の生き方がよく解るのではないでしょうか。
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感想・レビュー:46件














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