どこから行っても遠い町
どこから行っても遠い町を追加
どこから行っても遠い町の感想・レビュー(607)
人生そのものというか、切なくなるくらい人生がぎゅうっと凝縮されていたというか、とにかく川上弘美さんのならではの力技、短編のようでいて、巨編とでもいうべき一冊だ。こんな大切な小説を読み忘れていたなんて。
他の本にかまけてなかなか読めなかったけれど、読み始めたらとまらなかった。愛してるけど、一緒には寝られない主人公や、愛されたいけれど、愛さない、複雑な人たちの話。少しずつある繋がりが面白かったです。
ちょっとずつつながっている感じが読んでいて面白かった。ただ最後の話で幽霊のような存在が話している話や、その一つ前の、魚屋の男二人の事が出てきた話に妙な感じがした。一気に読まなかったからかな。人は出会い、すれ違い、ふとした瞬間に思い出し、互いに影響を与え合っている。今は遠い場所に住んでいたり、連絡をもう何年も取っていなかったり、死んでしまった人でさえ、それは変わらない。
日常と非日常の、地続きになったふたつの世界の境界あたりをふらーりふらーりとたゆたうような短編集。同じ町に住むそれぞれの登場人物たちは、皆自分たちのことを「ふつう」と自覚している。普通な彼らに潜む普通ではない一面が、確かにここではない、どこから行っても遠い場所を感じさせた。短編同士のリンクがまた面白い。一見「脇役」の人たちにも、それぞれ主役の人生があり、それぞれの物語があるのだという当たり前のことが、何だか心を温かくさせてくれた。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
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- 02/07
どの短編もきれいさっぱりな、スカッとした読み終わりではないのだけれど、不完全燃焼感はなくてまた時間が経ったら読んでみようと思えるお話でした。雨が降ってて、向こう側の景色ははっきり見えないんだけど、雨脚が少しゆるんだ時になんとなく見える...ような気がする、という感じのぼんやり感が好きです。
作風が変わった?とかであまり評判よくないみたいですが、 とてもおもしろかった この感覚すごく共感できました、たまらなくよいです 川上さんの作品でもいちばんかも!(興奮)
連作短編集で、登場人物がつながってる本は好き。商店街の中で物語が展開するので、人間関係が濃いようでそうでもなく。日々の生活の愛おしさを感じる小説でした。
おもしろい。連作短編といっても軽くつながっている感じが好きですね。町に住む人たちはどこかで誰かとつながっていてそれをたどっていくとこんなにも大きな輪になっていくんだなぁ。それぞれの人々の相関図を書き出してみたくなりました。
夕方、ぶらぶら歩いておいしいおかずが買えそうな商店街。ちょっと憧れです。でも、二世代前から知ってる人たちとの濃密なコミュニティは、その中でずっと生活するのはきつそう。登場人物が多くてそれぞれ少しずつ繋がってるっていう設定は好きです。それにしても川上さん、食べもののこと書くとどうしてあんなに美味しそうなの?
最近お気に入りになる小説って、下町の商店街が出てくる連作短編っていうパターンが多いな~。「茗荷谷の猫」「いつか陽の当たる場所で」、そしてこの「どこから行っても遠い町」。どこかで誰かとつながってる感がいいな~。ちょっとエロいけど。
人の数だけドラマがある。山あり谷ありではないけどゆるゆるとした日々が綴られてる、下町に住む人々が持つドラマ。雰囲気は好きなんだけど、なぜか話に入り込めなかった・・・。「長い夜の紅茶」の嫁姑の関係、羨ましいな。
久しぶりに川上弘美を読んだ。人間て精神的に男と女ばかりでみんな誰かと好き合ってセックスして生きてそんで死んでくんだと改めて突きつけられた。接客業のせいか分からないけど、一瞬の触れあいばっかこなしてるから忘れる。人と人との関係ってもっと複雑で繊細で辛くて美しくはかないものなんだなあ。
川上さんの、こういう直接的な表現は少ないんだけど、ちょっとナマっぽくてエロっぽい雰囲気、好きなんだな。みんな少しづつ繋がってて、みんなそれぞれなんかある。怖いような心強いような。私はあけみが結構好き。
このところの川上作品の生活感溢れる庶民的な艶っぽさはどうも苦手。でも心に残る台詞やエピソードの多い連作短でした。あいかわらず空腹時に読むと危険なほどに食べ物がどれもこれも美味しそう。
面白かった。少しずつ繋がりがある話が続いた。淡々としているんだけど妙に洒落ていて、川上ワールドに引き込まれた。せんせいの鞄とも風花とも違う世界。すっうとじわじわ浮かんでいるような感じ。
まちに沈むぼわぼわとした夕日を思っていた。平均と平凡は違うんだよねえ。死んじゃった魚春のおかみさんの「幸せだけではないけれど、そう不幸でもない人生」がいい。わたしもだれかも記憶のなかで生き続けたいな。
日常の中にある物語をこうもうまく抜き出せるものなんだなと。それにしても今まで四十代の恋愛ってイメージできなかったのだけれど(失礼)この作品のおかげで理解できるようになった。三十代と四十代で何が変わるわけでもないのにね。私もなるのだそのうち。
はたから見ればただの日常が描かれている。その日常は本人にとっては、紛れも無い現実で、ただの日常とは言い切れないこの本の解説に次の一説がある。「私達は何時からか。未来の奴隷のように暮らしています。中学生や高校生のうちから将来の職業を考えさせられ、会社員になれば老後の生活資金を準備せよと促され・・・死ぬまでの毎日が、未来からの前倒しの連続で、「いま」は、未来への助走期間でしかない。」そんな急かされた生き方を、「今生きる感触が、私達の中で息を吹き返すこと」になる。 心にゆとりが持てる1冊です。
私はあまり好きではなかった。でも、いろいろ印象に残った言葉もあるし、生き方について考えさせられた。今の自分は数えきれぬ決断の上に立っていて、ひとつ違えば今と違う場所に立っているのだろうか。立っていないかも。しんでたかも。
小さな商店街の中の、色んな人々のお話。全てが小さな、微かな物語で、少しだけドラマチックだったり愉快だったり悲しかったりする。淡々と、この物語のように、私の一生も紡がれるのだろうなぁと思う。心に残った表現は「生きていてもだんだん死んでいく。大好きな人が死ぬ度に次第に死んでいく。死んでいても、まだ死なない。大好きな人の記憶の中にあれば、いつまでも死なない」。あと素朴に、この作家は年の離れた友情とか、かなり年上の恋人といった人間関係が好きなんだなぁと思った。
★★★★☆ 登場人物はみんな、なにかを抱えながらも、水が流れるように自然に生きている。それぞれの人生にドラマがあり、うすく繋がっている。気持ちが優しくなれる一冊。
東京にある小さな商店街と、そこを行き交う人々の物語。すらすらふんわり読み進める中、時折ハッとする文章や表現があるのが川上さん。嬉しいときの気持ちを「水の中に沈んでゆくり水をふくみ、しみとおっていき、最後にはふくみすぎちゃってかなしくなる感じ」としているところや、「好きな人が死ぬと、すこし、自分も死ぬ」というところが今回のツボ。歳をとるということは決して悲しいことではないけれど、少し寂しいのかもしれない、な。
(予感はおおむねはずれるものだけれど、予感がある、というそのことだけで、じゅうぶんなんじゃないかと、あたしは思う)。この一文はとても印象に残りました。
色々な人がいる。生き様も様々だ。東京の小さな商店街界隈に暮らす、若い夫婦。老夫婦。小学生たち。父子家庭。飲み屋の常連。それぞれすこしずつつながりながら人々の暮らしは廻り続ける。ままならないことも多い。彼らに共通するのは、誰かを愛していること。時に暖かく、時に激しく。ある人の人生を、違う視点から視る。そこが面白かった。
まずタイトルと表紙がとても気に入りました。短編は基本あまり好きではないですが、こうゆうちょっとずつ繋がっていて前回出てきた名前がちょこっと出てきたりする、こういった連作ものは好き。ひとりひとりの何気ない日々も誰かと繋がっていたりする、小さな商店街での毎日。淡々と書かれている文章と少し切ないところがとても良かった。
初・川上弘美…多分。泣くほどは揺さぶられないけれど、ぐらりと来る。もし自分が小説を書くなら、こういう作品を書いてみたい。崖っぷちや急カーブはなくても、見付ける物は沢山ある。
良いですね。小さな町の商店街で、平凡に見えながら実は住民それぞれの悲喜こもごものエピソードが綴られています。大きな事件があるわけではないけれども夜の街を裸足で走って行った魚屋さんの奥さん、変わり者同士の嫁姑、「普通」がよくわからない時代ですが、この作品の中にいる人たちはどこか普通らしく見せかけて普通でないところがある。いや実はそれが普通なのか。平凡と平均は違うと言う女性がいたけれども、普通と平凡も違うのかなあ。ちょっと哀しい感じのする読後感ですが良かったです。
どこから行っても遠い町の
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