増大派に告ぐ
増大派に告ぐを追加
増大派に告ぐの感想・レビュー(140)
悪意のファンタジー。ダークファンタジーとかウンコみたいなヤツじゃない。告げられているのはおれ達で、読者にダメージを与えることを目的に書かれた小説。勿論、そんな目的の小説なんかは往々にして作者の「イヤなら見るな!イヤなら見るな!」なんて絶叫と共に局部を押し付けてくるような作品になりがちだが、バランス感覚に溢れた文体、構成がそれを感じさせない。デビュー作かよ、ちくしょう、すげえ。
統合失調症的な社会の闇、中上健次的な家庭の闇、コーマック・マッカーシー的な狂気、暴力と破壊。多用される比喩表現。デビュー作とは思えない、確かな筆力を持った作家の素晴らしい作品。2009 年 第 21 回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品。(何故ファンタジー?)
八方塞がりの現実の中で自らの過去の幻影を見つめて生きる狂人と、家庭内暴力をふるう親父と暮らす少年。ふたりの人生が、日本の団地を舞台に交差する(あるいはしない)物語。 小説全体を覆っているのは、不穏かつ陰鬱な、狂気を孕んだ空気で、そこから妄想、ノスタルジー、ディスコミュニケーションがときどき顔をのぞかせる。凝った比喩満載の文章が、作者の文章への強いこだわりを感じさせてよい。全体的に暗いのでそういうのが好きな人じゃないと楽しめない気がするが、個性的な作品で個人的には作者の次回作が楽しみになった。
頭の良い人が一生懸命狂気を考えて書きました、という感じのファンタジー小説。酩酊したようなリズムの文章と個々のピースは悪くない。次作もこのノリで行くならある意味小説家としてはアリなんじゃないでしょうか
面白い本だと思います。 力強いし何かメッセージ性があるのではと思わせるところが凄い。 最後はちょっと感心しませんね。 もう少し読者の期待にこたえてくれなくっちゃ。
初っ端から、??となる狂人の語りだし、話は暗いし痛々しいし、ラストもあの通りだし、読後が爽やかとは死んでも言えないけれど、文章の力強さが結構好きかも。
電波系の妄想垂れ流してるホームレスと父親のDVに悩む中学生の出会いと結末。団地は人を狂わすものなのか?痛い狂気のようなものが全編充満してます。これに耐えられる人は凄いです、いや気ちがいです。鬱。
インパクトのあるタイトルに惹かれて読み始めたが、実に難解な作品だった。正直に言って、最初から最後まで意味が分からんかった。作品の重要キーワードである「増大派」「減少派」が、エントロピーに由来するということは分かったが、作者の小田氏が何の象徴としてエントロピーに着目したのかということ自体が、最後まで読んでも結局分からない。う~ん、これは一体何なんだろなあ。俺の理解力というか、感受性がダメなんかなあ・・、という感じで悩みながら読了した一冊。文中には様々なジャンルのいわゆるダメ人間というか問題あり!な人物がわん
文体といいテーマの取り方といい、好みは分かれると思う。一般的な「面白い」の範疇には入らないかもしれないが、筆力は確かなものがあるので、好みから外れても読後に何も残らないということはない。
ファンタジーノベル大賞受賞作とは相性が良い筈なのに、この作品は読み進めるのに苦労した。カテゴライズするなら"団地小説"。でも、同じように団地を扱った作品なら、久保寺健彦さんの『みなさん、さようなら』のほうが好み。浮浪者と中学生の視点で代わる代わる語られるが、2人が出会うまでがどうにも長い。上手な文章だとは思うけど、読みづらかった。ファンタジーというよりも、どちらかといえば純文学寄り。今後どういう作品を描いていくのか、気になる作家ではあります。
前情報として「不穏な小説」ということは知っていたのだけれども、それでも読んでてかなりザワついた。ラストに至っては衝撃的すぎて大混乱。物語を消化するときに、なるべくは中立的な立ち位置で読もうと思っていたはずなのに、この物語のラストの展開で、自分が恣意的なストーリィラインを期待していたことに気付かされる。確かにこの物語の配置では、こういう展開もありうる。でも、コレは、すごいな…。読了後、著者プロフィールの好きな作家でちょっと納得。
この小説の見所はラストの数ページにあるといえるだろう。いや、まさかこんな顛末になろうとは・・・。かなり衝撃的。本当の狂気はあのホームレスではなく、少年のほうにあったらしい。いや、人そのものが狂気だということか。
変な話。面白いか、といわれると確かに面白い。だがおすすめか、といわれたらこんな本読んじゃいけません、めっ!と言いたくなるくらい奇妙な話。だが「団地こわい」という感情の根底にあるものを凄くうまく表現されてしまって、何となく自分自身の内面をぐわっと掴まれたようで怖い。文章力でもってなんてことはない日常的な場面をこんな風に変えられるのはうらやましい。
思ったよりも読みにくくなく、ラストも「ああ、なるほど」と思えました。大賞受賞もうなづける、こっそりウェルメイドな作品でした。/妄想ノワール(この本はノワールとは違うかもですが)にはやっぱり犬なのか……。
おもしろかったーーー。これを好きだという人は決して多くないだろうし、けしからん!というおしかりの声も多そうだけど、自分にとってはゴツゴツした無骨な手触りの青春小説に感じた。言われているほど後味が悪いとか、描写が酷いとも思わない。これは悲劇でも何でもなく、人生なんてみんなこんなもんじゃないかな。比喩がいちいちカッコよくて唸らされた。
偏執狂的な一人語りはナルシスティックに陥りやすいが本作は狂人と中学生の交互に語りを振り分けることで相対化している。同じ新人ということで、群像文学新人賞『カメレオン狂のための戦争学習帳』丸岡大介と比べると…本作は不穏さから真面目なコミュニケーションに流れていく一方で『カメレオン狂』は深みに嵌まっていく。私は後者が好き。本作では、《増大派》も《減少派》も男の中にあるに過ぎないため、男とともに消えてしまいそうなラストを迎える。カープ帽子はナイス《減少派》的センスだった。
2009年ファンタジーノベル受賞作品です。なのですが、内容は全くファンタジーでないというか、己の中のファンタジーの定義が大きく揺らぐ衝撃作です。父親のDVに苦しむ少年と、父親のいない私生児の浮浪者という共に父性へのコンプレックスを抱える両者の交錯を軸に話は展開するのですが、明確な着地点も無く、奔流のような人間のネガティブな感情を浴びせられます。しかし強くこのドラマにひかれました。たぶん一生忘れられない作品になると思います。。
世界が喉につかえてうまく呑み込めなかった者は社会の外から弾き出されるしかない。そんな人間を、私たち「増大派」は当たり前のように罵り、指をさして嘲り笑いながら生きていく。「普通に生きる」とは、そういうことなのだ。
これをファンタジーと言っていいのかという問題はさておき、ファンタジーノベル大賞の懐の深さは尋常じゃない。この作家が売れるか売れないかは次回作にかかってると思うな。
ファンタジーノベル大賞の懐の大きさを見せ付ける1冊。この作品の前にして、なんと感想を書けば良いのか分からないのだが、電波系のホームレスの男と酒乱の父親のせいで頬に深い傷をつけられた中学生の物語が交互につながり、そして予想を裏切るラスト(いやこれが自然なのか!)。ともかく素晴らしい1冊。次作にこの路線を持ってくるのか、はたまた全く違う作品をもってくるのか期待大。
デビュー作、第21回日本ファンタジーノベル大賞受賞。これは何だろう?電波を受信する男と崩壊寸前にある家庭の少年、二人の視点から交互に語られるのは熱力学?団地に象徴される社会・家庭の閉塞?そして全ての帰結としてのラスト。主人公の少年が平凡であることが恐ろしい。
★★★★☆ 2009年日本ファンタジーノベル大賞。比喩表現が上手くわかりやすい文章で読みやすかった。非現実的なSF物語かと思っていたが、日常にありふれた現実的な物語だった。ラストは賛否両論だが個人的に好きな終り方でした。次回作を読みたい作家がまた1人増えました。増大。
デビュー作とは思えない、文章力と表現力。 しかし、なぜこれがファンタジーノベル対象なのか?何を基準としてファンタジーとするのかがわからない・・とにかく救いがない物語で、序盤は訳がわからず挫折しそうになる。それでも、中盤からはその勢いに飲まれそうになり、ラストは唖然というか、すごいと思わせるものがある。かなり評価がわかれそうな物語で、文学として読むべき本。
後味の悪さだけが、残る。文章のそここに光る表現や心に迫るものはあるのだが…。そもそも、なぜこの小説が日本ファンタジーノベル大賞を受賞したのか分からない。ファンタジーの概念が変わったのか?
増大派に告ぐの
%
感想・レビュー:66件














ナイス!
































